ピエール瀧被告 初公判で起訴事実認め「これからは違法薬物には手を出さないと誓います」 18日に判決(求刑懲役1年6月)

(2019年6月5日)

ピエール瀧
ピエール瀧被告(インスタグラムから)

コカインを使用したとして麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧被告(52)の初公判が5日、東京地裁であり、滝被告は起訴事実を認めてコカインを使用した経緯などについて明らかにして「これからは違法薬物には手を出さないと誓います」と述べた。検察側は懲役1年6月を求刑して結審した。18日に判決が言い渡される。瀧被告の注目の初公判に21の傍聴席に対して約60倍の1266人が並んだ。

瀧被告は、3月12日、東京・世田谷区のマンションでコカインを使用したとして厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に麻薬取締法違反容疑で逮捕され、4月2日、東京地検により麻薬取締法違反の罪で起訴され、保釈金400万円を納付して4月4日に保釈されていた。

黒のスーツに紺色のネクタイをした瀧被告は、職業を聞かれて「ミュージシャンをやっておりましたが事務所を解雇されましたので無職です」と答え、罪状認否で「間違いありません」と起訴事実を認めた。

検察側は冒頭陳述で「20代のころからコカインなどを使用し、仕事が忙しく代わりになるものがなかったのでコカインを使っていた」と指摘。

瀧被告は「近年役者としての仕事が来るようになり、時間的にも精神的にも追い詰められた」「本来ならばストレス解消の手段を見つけるべきだったが心の甘えがあった。そういうものを手に入れられる環境にあった」などと語った。そして「この事件で多くの人に迷惑をかけてしまった。これからは違法薬物に手を出さないと誓います」と語った。

妻が嘆願書「夫が一人で抱え込まないように悩みを共有していく」

妻の嘆願書も提出された。「生活のリズムが合わず会話せず、ストレスやさみしさを抱えて薬物をやめられなかったのかもしれない。夫が一人で抱え込まないように悩みを共有していく。薬物を使っていないか監視していく」などといった内容だったという。 これに対して瀧被告は「こういう事件では離婚や離別もあると聞いていたが、家内はそういったことを一言も言わなかった。これからも支えてくれるといってくれているので感謝している」と感謝の言葉を述べたという。弁護側は、現場となったマンションを解約したことや薬物治療の通院を8回行ったことなどと明らかにした。

初犯なので執行猶予が付くとみられ、懲役1年6月(執行猶予3年)程度の判決が予想されている。

起訴された4月2日に所属事務所を解雇された瀧被告。NHK大河ドラマ「いだてん」は代役を立てて瀧の出演済みの場面を撮り直すなど対応に追われた。またCMの降板や瀧と石野卓球とのテクノユニット「電気グルーヴ」のCDやDVDが出荷停止と店頭在庫の回収、音源とデジタル配信の停止などで損害額は総額で5億円とも報じられた。その対応策や今後の芸能活動をどうするのかなどが注目されている。

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石野卓球は保釈後の瀧とのツーショットを自身のインスタグラムやツイッターに投稿して2人の絆の強いことをアピールした。初公判に情状証人として出廷するのではないかという一部報道もあったが、ツイッターで「ないよ。俺だとおもしろ裁判にしたくなっちゃうし瀧にも迷惑になるから」と独特の言い回しで否定していた。また、電気グルーヴの解散についても否定している。そうしたことから今後は電気グルーヴとしての復帰の可能性が予想される。

一方で、ソニー・ミュージックレーベルズが瀧が逮捕されたのを受けて3月13日に電気グルーヴのCDなどの出荷停止や回収、音源の配信停止を発表したが、ミュージシャンの坂本龍一は翌日にツイッターで「音楽に罪はない」と異議を唱えた。
さらには「誰のためにもならない安易な方策」として撤回を求める署名活動も起きて、すでに6万人以上の人が署名しているという。

そういえば1980年1月16日、ウィングスの日本公演のために成田空港に降り立った元ビートルズのポール・マッカートニーがスーツケースから大麻を押収され、大麻所持で現行犯逮捕されて日本公演は中止になり、国外退去処分になった事件があったが、当時ウィングスやビートルズのレコードが出荷停止になったり店頭回収されたなんていう話は聞かなかった。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーやキース・リチャードもドラッグで逮捕されたことがあるが、ストーンズのレコードが発売中止になったということも聞いたことがない。近年の過剰な「自粛」ムードの是非については今後さらに議論される必要がありそうだ。