スパイク・リー監督のアカデミー賞受賞スピーチにトランプ大統領が反撃ツイート

(2019年2月26日)

第91回アカデミー賞の脚色賞を受賞したスパイク・リー監督が受賞スピーチで人種差別の問題について語り、2020年の大領領選挙に触れて「正しいことをしよう」と名指しはしなかったがトランプ批判をしたことに対して、トランプ大統領がツイッターで反撃するなど波紋が広がっている。

「ドゥ・ザ・ライト・シング」、「マルコムX」など人種差別問題をテーマにした映画で知られるリー監督が製作・脚本・監督を務めた「ブラック・クランズマン」が作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞など6部門でノミネートされていたが、脚色賞を受賞した。 同作は1979年、街で唯一採用された黒人刑事が白人至上主義の過激派団体「KKK」(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査するというノンフィクション小説を映画化した。


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 名前を読み上げられ共同の脚本家と登壇した監督は、プレゼンターのサミュエル・L・ジャクソンに飛びついて喜んだ。用意していたメモを読み上げての受賞のスピーチで「世界を前にして今夜、我が国を築いた先祖たちを、大量虐殺の犠牲になった先住民とともに称賛します」と語り、「400年にわたって私たちの先祖はアフリカから盗まれてどれにされました」と人種差別問題について語った。そして大統領選に触れて「我々の人間性を取り戻したときそれはパワフルな瞬間になるでしょう。2020年の(大統領)選挙が間近に迫っています。みんなで結集して歴史の正しい側にいましょう。愛と憎悪が対決する中で道義をわきまえた選択をしましょう」といい、自身の映画のタイトルを引用して「ドゥ・ザ・ライト・シング!」(正しいことをしよう)と有権者に呼び掛けた。

会場はスタンディングオベーションとなったが、リー監督のスピーチを気に入らなかった人が少なくとも一人いた。

 トランプ大統領はすぐにツイッターで反撃。「君の大統領を人種差別主義と攻撃したときに、メモをちゃんと読むか、メモなしならもっとよかった」と皮肉たっぷりにジャブをかまし「刑事司法制度の改革、史上最低の失業率、減税など、これまでのほとんどの大統領よりアフリカ系アメリカ人に対して行ってきた」と反撃した。

トランプ大統領は2017年、バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義と反対派が衝突したさいに、反対派の集団にナチのシンパが運転する乗用車が突入して1人が死亡する事件が起きたときに「暴動が起きた当初はこの国にとってひどい出来事だと考えたが、言い分は双方にある」と発言して物議をかもしたことがある。いずれにしてもいまだに人種差別が残るアメリカの現状を象徴する2人の“舌戦“だ。