ケヴィン・スペイシーの強制わいせつ裁判で検察が起訴取り下げる

(2019年7月18日)

ケヴィン・スペイシー(59)が2016年、当時18歳の男性に酒を飲ませて股間を触るなどしたとして強制わいせつ罪などで起訴された裁判で、検察側が起訴を取り下げたことが分かった。

米芸能サイト「TMZ」によると、検察当局は13日(現地時間)、スペイシーに対する強制わいせつ罪と暴行罪の起訴を取り下げたという。同サイトはスペイシーの大きな勝利だと報じた。有罪を立証できるに足りる目撃証言などがなかったという。

この事件では、男性の母親でボストンTVのアンカーのヘザー・ウンルー氏は2017年11月に息子がスペイシーの性的暴行の被害にあったと公表して警察に被害を届けていた。

裁判所の記録によると、スペイシーは2016年7月7日、ナンタケットのバーで当時バーで働いていた男性に声をかけ、「一緒に飲もう」「仕事を世話する」などといってビールやウィスキーを飲ませて、男性のズボンに手を入れて下腹部を触るなどしたという。男性が自分はゲイではないといったが、約3分間のうちに数回触ったという。そのとき、男性は恋人と動画を送信するアプリのスナップチャットを送ったので、その様子は恋人も見ていたという。恋人も警察の事情聴取を受けて、男性の声が震えていたことなどを証言。その後、スペイシーから家に来ないかと誘われたが、レイプされると思い午前1時ごろ家に帰ったという。警察に被害を届け、これを受けて警察が捜査し検察が起訴した。スペイシーは裁判で無罪を主張していた。

裁判では男性がスペイシーに触られていた時にガールフレンドにその様子を伝えたメールや動画を証拠として提出したが、自分の携帯は紛失したと主張。その後メールの一部が削除されていたことが判明したという。スペイシー側は「メールが削除されるなど携帯が洗浄された」などと主張していた。

スペイシーは「ユージュアル・サスぺクツ」(1995年)で助演男優賞、「アメリカン・ビューティー」(1999年)で主演男優賞と2度アカデミー賞を受賞している名優として知られるが、昨年10月、1986年に当時14歳の俳優アンソニー・ラップに性的暴行を加えようとしたと告発され、謝罪してゲイであることをカミングアウトした。さらに十数人の同様の性的暴行疑惑を報じられた。今回は初めて立件されたケースとして裁判の成り行きが注目されていた。