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「ロケットマン」 エルトン・ジョンの波乱万丈の歌手人生をミュージカル仕立てで描いた伝記映画

(2019年8月24日)

「ロケットマン」
 「ロケットマン」(TOHOシネマズ渋谷)

「僕の歌は君の歌」「クロコダイル・ロック」など数々のヒット曲で知られるミュージック界のレジェンド、エルトン・ジョン(72)の幼少時代からデビュー、大ブレイク、同性愛者としての苦悩、酒とドラッグ依存症との闘いなどをミュージカルジ仕立てで描いた話題作。エルトンを「キングスマン」シリーズなどに出演しているタロン・エガートン(29)が熱演し、エルトンのヒット曲を歌っている。

■ストーリー

映画はド派手なステージ衣装を着たまま治療施設に駆け込んだエルトンが、グループのセッションの輪の中に入って、告白し始めるところから始まる。子供時代に父親に冷たくされ、母親は若い男と浮気して離婚。そうしたなかラジオで流れる曲をそのままピアノで弾いて見せて天才ぶりを発揮する。そしてエルトンの数多くのヒット曲の作詞を手掛けることになる盟友の作詞家バーニー・トービン(ジェイミー・ベルが演じている)との運命的な出会い。バーニーが書いた「僕の歌は君の歌」(原題:Your Song、1970年)の詩にピアノを弾き歌いながらその場で作曲していくシーンは、大ヒット曲誕生の瞬間が再現される。そして米国に進出して大成功をおさめ頂点に上り詰める。マネージャーのジョン・リード(リチャード・マッデン)との情熱的な同性愛と破局。大豪邸でのパーティ三昧と酒とドラッグにおぼれる日々が続く―。

■見どころ

この映画の製作総指揮を担当したエルトンは「キネマ旬報」(8月下旬号)のインタビューで「僕の人生を映画にするなら、ただの伝記にはしたくなかった。この映画は僕の子供時代から、麻薬治療のリハビリ明けまでを描いている。自分で言うのもおかしいけど、波乱万丈の人生だよ」と語っている。エルトンの綺羅星のようなヒット曲の数々が散りばめられたミュージカルであるだけでなく、スーパースター、エルトンの内面を克明に描き”エルトン・ワールド“の核心に迫っていて見ごたえのある作品になっている。

エルトンを演じたタロン・エガートンの熱演と圧倒的な歌謡力で歌うシーンは圧巻だ。監督のデクスター・フレッチャーは、クイーンのフレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)のブライアン・シンガー監督が撮影終了直前に解雇された後を引き継いで完成させた監督としても知られる。「ボヘミアン・ラプソディ」はクイーンの日本での根強い人気もあって、昨年の日本での興行収入が104億円でNo.1を記録したが、「ロケットマン」はどこまでヒットするかも注目される。
(2019年8月23日公開)