Plusalphatodayツイッター

「ジョーカー」 ホアキン・フェニックスが狂気をはらんだ演技でジョーカーに変貌

(2019年10月5日)

ジョーカー
「ジョーカー」(TOHOシネマズ渋谷)

DCコミックス「バットマン」シリーズに登場する最凶のヴィラン(悪役)「ジョーカー」が誕生するまでをオリジナルのストーリーで描いた話題作。ホアキン・フェニックスが売れない大道芸人からジョーカーへと変貌を遂げていく主人公役で鬼気迫る演技を見せている。ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞し、本年度アカデミー賞の作品賞・主演男優賞などの有力候補になることが予想される。

一方で、2012年7月、米コロラド州オーロラの劇場で起きた銃乱射事件の犠牲者の遺族が、ワーナー・ブラザースのCEOに同作品の暴力描写が再び銃乱射事件を引き起こしかねないと懸念を表明する手紙を送っていたことが明らかになり、事件があった劇場では「ジョーカー」を上映しないことを決めるなど波紋が広がっている。

■ストーリー

財政難で荒廃するゴッサムシティ(ニューヨークの異名で「バットマン」に登場する架空の都市)に住む大道芸人アーサー・フレックス(ホアキン・フェニックス)は、母親ペニー(フランセス・コンロイ)の介護をしながら、コメディアンを目指しているが売れず、ピエロの格好をして街に立って店の宣伝などをしていた。発作的に笑い出して止まらなくなるという病気を患い福祉センターでカウンセリングを受けていた。

ある日街の不良少年グループに襲われて、同僚から護身用に銃を借りるが、小児病棟でピエロの格好をしてパフォーマンス中にその銃を床に落として子供たちがパニックになったことが原因で会社をクビになってしまう。陰々滅々とした思いで地下鉄に乗ったところ、女性に絡んでいた大手ウェイン産業の証券マンから暴行され、銃で彼らを射殺してしまったことからアーサーがジョーカーへと変貌していく。

■みどころ

「バットマン」の最凶の敵にして悪のカリスマ、ジョーカーはこれまでジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトといった名優が演じてきたが、ホアキン・フェニックスはジョーカーがどのようにして生まれたのかを鬼気迫る演技で見せている。笑いが止まらなくなるという発作を起こす病気を患っていて人間関係もうまくいかず、母親がかつて家政婦として雇われていた大富豪の実業家トーマス・ウェインの隠し子だと知り会いに行くだりや、荒廃するゴッサムシティへの増幅する不満など、ジョーカー形成への内面に深く迫っている。フェニックスの狂気をはらんだ壮絶な“ジョーカー演技”は毒々しく鬼気迫るものがあり圧巻だ。伝説のロックバンド、クリームのヒット曲「White Room」が流れるなか、アーサーがジョーカーとして完成していくラストは映画史に残る衝撃的なシーンになっている。