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「フォードVSフェラーリ」 ル・マンの王者フェラーリに挑んだフォードの男たちの激闘

(2020年1月12日)

「フォードVSフェラーリ」 ル・マンの王者フェラーリに挑んだフォードの男たちの激闘
「フォードVSフェラーリ」 (TOHOシネマズ新宿)

1966年のフランスの24時間耐久レース、ル・マンで王者フェラーリに闘いを挑んだ米フォードのレーサーとメカニックなどの激闘をマット・デイモンとクリスチャン・ベールの2大スターの競演で映画化した話題作。実話に基づいたものでイタリアの名門フェラーリと米国のフォードの企業同士の意地のぶつかり合いなどレースの裏側も描いている。監督はヒュー・ジャックマン主演の「LOGAN/ローガン」(2017年)などを手掛けたジェームズ・マンゴールド。

■ストーリー

1963年、米大手自動車会社フォードはモータースポーツ部門の拡大に乗り出し、イタリアの名門フェラーリを買収しようとするが、創業者のエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)は、フォードをダシにして他社に高く売ろうとして土壇場で買収を断わったあげく、フォード・モーターの社長ヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)を「無能な2代目」などとバカにする。激怒したフォード2世はル・マンで4連覇中のフェラーリを打ち負かすことを決意。莫大な予算を投じてマシンを開発してル・マンに挑戦するが64年65年と勝てずに終わるなか、66年のル・マンに向けて心臓病でレーサーを引退したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)を起用する。シェルビーは気心の知れたレーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)と組んでマシンの改良を重ねながらル・マンでの勝利を目指すが、フォードの副社長がケンを毛嫌いしてチームから外そうとするなど行く手に幾重もの困難が待ち受ける。

■見どころ

1966年の第34回ル・マンをめぐるフォードとフェラーリの因縁の対決の舞台裏が描かれて興味深い。手作りでフェラーリを製造していたイタリアの名門フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリとベルトコンベアを導入して大量生産する米国の自動車産業の最王手フォード・モーターズの意地をかけた壮絶な闘いが繰り広げられる。そしてメカニックとしてフォード・チームを率いる元レーサーのキャロル・シェルビーをマット・デイモンが熱演。クリスチャン・ベールが癖があり破天荒な生き方で周囲とのあつれきが絶えない天才レーサー、ケン・マイルズをスクリーンに蘇らせる。シェルビーとケンの男の友情とレースに賭ける妥協のない挑戦に胸が熱くなる。ケンを支える妻(カトリーナ・バルフ)、息子(ノア・ジョーブ)のファミリーの絆も描かれる。すべて本物というレースカーが繰り広げるレースシーンは圧巻で、時速300キロ超になる直線、シフトダウンしてコーナーに突入し、スリップストリームを使ってオーバーテイクするシーンなど、まるでケンが運転するフォード・GT40に同乗してサーキットを走っているような臨場感がある。
(2020年1月10日公開)