Plusalphatodayツイッター

「ジュディ 虹の彼方に」 レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞の熱演

(2020年3月8日)

「ジュディ 虹の彼方に」 レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞の熱演
「ジュディ 虹の彼方に」(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

ハリウッドの伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランド(1922年~1969年)の波乱の生涯を描いた映画。「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)で人気になり「コールドマウンテン」(2003年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞。そして今作で同主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガーがジュディを熱演。「オズの魔法使い」でジュディが歌って大ヒットした「オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に」などを熱唱している。死去する直前のロンドン公演を中心に、彼女をスターダムにのし上げた子役時代の「オズの魔法使い」(1939年)をめぐるエピソードなども登場する。

■ストーリー

1968年、ジュディは友人の勧めもあり再起をかけてロンドンに飛んで大きなホールで歌うことになるが、滞在先のホテルで不眠症に悩まされる。「オズの魔法使い」でデビューした子役時代に撮影所の幹部からタイトな撮影をこなすために薬を飲まされたことや、反抗して撮影を拒否して叱られまた薬を与えられたことなどが回想される。彼女を慕いロンドンにやってきたフィン・ウィットロック(ミッキー・ディーンズ)と恋に落ちて結婚。また彼女の熱狂的なファンのゲイのカップルに自宅に招待されて料理をふるまわれるシーンも。ジュディは1960年代のアメリカで同性愛者に対して理解を示していた数少ない著名人の一人だったという。そしてステージでの圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了するが、ロンドン公演に思わぬ波乱が待ち受ける。

■見どころ

「オズの魔法使い」の少女ドロシー役が大ヒットしたジュディは、演技力と歌声でハリウッドの黄金時代を代表するトップスターとして一世を風靡するが、少女時代から過密なスケジュールをこなすために薬物を与えられ、不眠症や神経所に悩まされていたという “ハリウッドの闇”も描かれている。薬物の影響で遅刻や撮影拒否を繰り返し薬物治療のために、入退院を繰り返したこともあり、ロンドン公演の半年後の1969年6月22日、睡眠薬の過剰摂取で47歳の若さで急死した。一方、5人の男性と結婚・離婚を繰り返し、「キャバレー」(1972年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した歌手で女優のライザ・ミネリ(73)は2人目の夫で映画監督ヴィンセント・ミネリとの間の娘。

圧倒的な歌唱力で観客を魅了するジュディのパフォーマンスと薬物依存症と神経症に悩まされ苦悩するジュディの「明と暗」をレネ―が繊細に大胆に熱演して、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞、放送映画批評家協会賞、そしてアカデミー賞の主演女優賞を総なめにした。ジュディの波乱の生涯、ハリウッドに残した大きな足跡を思い起こさせる映画だ。
(2020年3月6日公開)