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「ミッドウェイ」 日本の連合艦隊が大敗したミッドウェイ海戦の舞台裏

(2020年9月13日12:00)

 「ミッドウェイ」 日本の連合艦隊が大敗したミッドウェイ海戦の舞台裏
「ミッドウェイ」(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

1942年6月4日(日本時間同5日)、ハワイ諸島のミッドウェイ島付近で起きた戦闘でその後の日米の戦況に決定的影響を与えたとされるミッドウェイ海戦を、「インデペンデンス・デイ」(1996年)などで知られるドイツ人監督のローランド・エメリッヒ(製作・監督)が20年をかけてリサーチして映画化した戦争大作。米軍のキャストにウディ・ハレルソン、デニス・クエイド、アーロン・エッカート、パトリック・ウィルソン、エド・スクライン、日本軍に豊川悦司、國村隼、浅野忠信などのキャストで歴史的な激戦を描く。

■ストーリー

1941年12月7日(日本時間同8日)、艦船から飛び立った日本軍の戦闘機の大群がハワイ・オアフ島の真珠湾(パールハーバー)に停泊していた米軍の艦隊を奇襲し、数多くの艦船を大破させる。山本五十六大将(豊川悦司)、南雲忠一中将(國村隼)、山口多門少将(浅野忠信)らが率いる空母機動部隊による奇襲作戦は戦果を収める。大打撃を受けた米軍は、反撃するために太平洋戦線の新たな総司令官に、ミニッツ大将(ウディ・ハレルソン)を任命。ニミッツは情報将校のレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)に「山本大将の考えを読み、彼の次の動きを教えろ」と命じる。真珠湾攻撃を予測しながら強く上司を説得できなかったレイトン少佐は、日本軍の通信を徹底的に傍受して暗号の解読を進めるうちに、日本軍の次の攻撃目標がミッドウェイ島の米軍基地だとキャッチ。日本軍は空母4隻、戦闘機250機以上、後方に山本が乗る世界最大の戦艦大和も控え「無敵」といわれていた。「ミッドウェイで負ければロサンゼルスやサンフランシスコは火の海になる」と米軍を恐れさせていた。米軍はミッドウェイ島の北東に空母3隻や潜水艦を配置し同島の基地にも戦闘機や爆撃機を配置。親友を真珠湾攻撃で亡くし報復に燃える血気盛んな戦闘機乗りのディック・ベスト大尉(エド・スクライン)は、ミッドウェィ海戦が火ぶたを切って落とすなか、空母に帰還することを度外視しているような猛攻撃で日本軍の戦艦に爆弾を命中させ戦局を一変させる。

■見どころ

「インデペンデンス・デイ」のほかにも「GODZILLA」(98年)、「デイ・アフター・トゥモロー」(04年)、「ホワイトハウス・ダウン」(13年)などの大作ヒット作で迫力ある特撮を見せているエメリッヒ監督だけに、戦闘シーンはリアルで現場にいるような迫力がある。日本軍の壮絶な艦砲射撃をかいくぐって戦艦に向かって真っすぐ急降下して爆弾を投下し急上昇するベスト大尉らの戦闘機の攻撃シーンはこれまで戦争映画を超えるものを感じさせる。日米の明暗を分けたミッドウェイ海戦の舞台裏が描かれているのも興味深い。山本大将ら日本軍の将校や兵士は日本語のセリフ(英語の字幕)で丁寧に描かれている。そして、戦闘機を米国から爆買いしてトランプ大統領に賞賛された上に、首相の座を”談合“ですでに決まりの新首相に明け渡すというのに、またぞろ「敵基地攻撃能力」の保有の必要性を言い出しているご時勢だけに、おびただしい殺戮と破壊を繰り返す戦争を2度と起こしてはならないと改めて考えさせられる映画でもある。(9月11日公開)