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「聖なる蝶 赤い部屋」 波岡一喜が前張りなしで少女との耽美的関係に溺れる男を熱演

(2021年4月19日10:45)


「聖なる蝶 赤い部屋」 波岡一喜が前張りなしで少女との耽美的関係に溺れる男を熱演
「聖なる蝶 赤い部屋」(シネマート新宿)

江戸川乱歩の小説「悪魔人形」を現代風にアレンジした作品。窪田将治監督の「赤い部屋」シリーズ第3弾で、波岡一喜が少女におぼれる元高校教師役を熱演。ヒロインに若手女優の登竜門「美少女図鑑」で注目を集め芸能界デビューした栗林藍希が抜擢された。その他木下ほうか、草野康太、柳憂怜などが出演している。

■ストーリー

気に入った女子生徒を盗撮したことが発覚してすべてを失い自暴自棄になっていた元高校教師・杉浦(波岡一喜)の前に女子高生のルミ(栗原藍希)が現れ、家までついてくる。彼女の魅力にひかれて結ばれた2人は同棲生活を始める。杉浦はルミにのめりこんでいくようになり玄関のドア縄で縛って拘束するなど異様な執着を見せていくようになる。ある日宅配便の配達の男(柾木玲弥)がルミを助けようとして、悲しくも美しい結末に向けて動き出す。

■見どころ

映画は「赤い部屋」に舞踏会の仮面をかぶった男女が集まった中で、杉浦がルミとの官能的な体験の話をするところから始まり、ミステリアスでエロティックなドラマが始まることを予感させ引き付ける。杉浦の家に飾られた大きな蝶の標本がシンボルとしてしばしば登場するが、ルミを標本にしたくなるほどに執着する元高校教師を波岡が狂気をはらんで熱演して存在感を見せている。栗林藍希も全裸ベッドシーンなど体当たりの熱演を見せエロティック・サスペンスを盛り上げている。

■舞台挨拶で波岡一喜が「前張りなしの熱演」を明かす


「聖なる蝶 赤い部屋」 波岡一喜が前張りなしで少女との耽美的関係に溺れる男を熱演
(左から窪田将治監督、栗原藍希、波岡一喜、柾木玲弥)(16日、東京・新宿区のシネマート新宿)

東京・新宿区のシネマート新宿で16日、初日の舞台挨拶が行われ、窪田将治監督(46)、ヒロイン役の栗原藍希(あいの=19)、波岡一喜(42)、柾木玲弥(26)らが出席した。

窪田将治監督は「3部作ということで始めてようやく3作目が公開できたということで一映画人として嬉しく思っています」と語った。
同作は窪田監督による江戸川乱歩の小説を原案にした「赤い部屋」シリーズの3作目で、乱歩の「悪魔人形」を現代に置き換えて映画化したエロティック・サスペンス。同シリーズの前2作は「メビウスの悪女 赤い部屋」(2020年)と「裸の天使 赤い部屋」(2021年4月2日)。ほかにも「D坂の殺人事件」(2015年)、「屋根裏の散歩者」(2016年)など江戸川乱歩原作の作品を数多く手がけている。

窪田監督は「もともと昭和、大正を設定として3本続いたんですけど、都市開発とかいろいろとご時世で、昭和、大正時代の建物が減ってきて、国の重要文化財とかじゃないと撮影出来なくなって、そうなるとめちゃめちゃお金がかかって物理的に難しいんじゃないかということもあって、現代に置き換えてやってみましょうかというのがスタートにあった。乱歩って非現実の割合がでかいんですね、8―2ぐらいで非現実が強い。それを現代に置き換えるとなると、ファンタジーが減ってきて乱歩じゃなくてもいいじゃんってなって来ちゃうんで、そこのバランスが難しかった」という。
そして「あのラストシーンがやりたくてこの脚本を書いたんです、ある意味で。これに合う(乱歩の)原作がないかを探した。今までのと違って真逆のやり方なんで、それこそ蝋人形になるくらいのタッチが欲しかった」と製作エピソードを明かした。

監督のラストシーンへのこだわりを受けて少女におぼれる元高校教師・杉浦を演じた波岡一喜は「そうですね脚本読ましていただいたときにまあこうだろうなあという感じがあったんで。最後のシーンを撮るときは100倍ぐらい気合入って、ちょっと空回りしたぐらいの感じはあった」と振り返った。
オーデイションでヒロインの少女・ルミ役に選ばれた光岡と激しいベッドシーンを演じた栗原は「波岡さんがサポートしてくれたので、たくさん大変なことはありましたけど、全部無事に終われたかなと思います」といい、波岡の印象について「ちょっと見た目が怖いのでびくびくしてたんですけど、誰よりも優しかったです」と語った。

波岡は「見返したんですけど官能的なシーンはちょっとビビってましたね。もっと行けるところがあったな」というが、前張りなしで栗原との全裸ベッドシーンを熱演したという。 監督は「前張りをしようといったけど、本人は前張りしたくない」と前張りなしでのベッドシーンの撮影となった。波岡は「別にスタッフに見られても恥ずかしくもなんともないし」という。
ただ、ラブホテルで風俗嬢に口でされるというシーンでは「夜に撮影したんですけど、お風呂に入っていない状態で、僕の下半身にお顔を持ってくるので、お芝居といえども、前張りをしないのはちょっとまずいなと。あのシーンだけはガーゼを置かせてもらいました。ほかはなし」だったと撮影の㊙エピソードを披露した。

最後に栗原は「見るまでドキドキしていたんですけど、すごく面白いなって本当に思いました。なので、今日から公開でぜひ見てほしいです」と語った。
波岡は「3人それぞれが抱えて生きて、一生懸命愛し合って、本気で惹かれるものがあって、それぞれが行動していた結果、ああいうことになって。僕の中では純愛というか、それすらなくて崩壊してしまうというところを見てもらえればいいなと思います」とアピールした。
そして窪田監督は「映画人なんで、映画人というのはほとんどそうなんですけど、スクリーンあってこそ存在できる人種なので、こういう時代でなかなかスクリーンにかけれないとか、いろんな制約がある状態の中でこうやってシネマート新宿さんがかけて頂けることはとても幸せでありがたいと思っています。いつもいつも助けてもらってます。これでとりあえず船出として皆さんに届きましたんで、これからこの映画が育つか育たないかというのも皆さんにかかっているので、僕の手から離れちゃったんで今後とも応援していただければ嬉しいと思います。本日は本当にありがとうございました」と締めくくった。