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映 画
「スーパーノヴァ」と「ゴジラVS コング」のとっておき情報
(2021年6月30日15:00)
映画評論家・荒木久文氏が、「スーパーノヴァ」と「ゴジラVS コング」のとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月28日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー NEO」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 荒木さん!! 今日もよろしくお願いします。
荒木 6月も終わりですね。 あっという間に一年の半分ですものね。
ここにきて 映画界もようやく渋滞していた作品が続々と公開されます。7月の公開予定作品はなんと100本を超えています。すごい数です。…そんなわけで今日は、7月1日からの作品の中から注目作を、サクサクっと紹介していきます。何本できるかな?
1日木曜日から3日土曜日まででなんと19本もの作品が封切りです。
鈴木 お願いします。
荒木 7月1日公開作品は1本ですが、この作品注目です。「スーパーノヴァ」。二人の大物有名俳優の共演が話題です。一人目の俳優はイギリスの名優コリン・ファース。ご存じですよね。「マンマ・ミーア!」「シングル・マン」、吃音障害を克服していくジョージ6世を演じた「英国王のスピーチ」)でアカデミー賞主演男優賞のイギリスの名優ですよね。その後も、スパイシリーズ「キングスマン」シリーズなんかにもね、出ています。
もう一人はスタンリー・トゥッチ、「プラダを着た悪魔」などの話題作でバイプレイヤーとして活躍しました、顔の濃い、頭の薄いおじさんです。「ラブリーボーン」でアカデミー助演男優賞にノミネートされ、SFアクション大作やカデミー作品賞受賞作「スポットライト 世紀のスクープ」にも出ていました。
鈴木 いい味出してる人ですよね。
荒木 映画の中でこの二人が演じるのは、ピアニストにファース、小説家がトゥッチの20年間以上連れ添った、もう老年に近いゲイカップルです。
トゥッチのほうが認知症を患っていて、最近はいよいよまともな生活が送れなくなり、二人はキャンピングカーで、まあ 最後の旅に出ます。 イギリスの広大な情景、湖水地方が舞台なのですが、田舎の美しい風景の中、二人と二人を取り巻く人々との温かい交流、そして ほぼ二人の会話と表情だけで進む、愛情溢れた とても静かな映画です。
二人の主役、ファースとトゥッチの演技がとても自然です。この二人は私生活でも親友ということで、お互いをいたわりあう、まるで熟年夫婦かのように息のあった掛け合いがとてもいい感じです。
大物同士の同性愛の物語というと今年4月でしたか、「アンモナイトの目覚め」というケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという大物女優が初共演し、19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いた愛のドラマがありました。
この作品は二人の強烈なラブシーンが印象的だったのですが、今回はそういう展開は全くありません。どっちかというと精神的な愛の交流に重きを置いた、あっさりした作品でしたね。 とても愛情あふれるいい話です。
タイトルの「スーパーノヴァ」という言葉は、星がその生涯を終える際に起こす大爆発を示す言葉です。超新星爆発。 カップルの愛が見せる“、眩いほどの最後のきらめき”という意味で、まさに愛の物語です。「スーパーノヴァ」7月1日公開です。
鈴木 楽しみですね。
荒木 そして2本目 延期 延期の末 ここにきてようやくの公開です。
「ゴジラVSコング」7月2日公開です。
その「ゴジラVSコング」に行く前に、前置きです。かって日本で1962年に公開された「キングコング対ゴジラ」という東宝の映画がありました。
だいちゃんは見たことありますか?
鈴木 見てないんですけど、常に話題になっている作品ですよね。
荒木 そうなんですよ。この作品はで大きな意味を持つ作品でした。1954年から始まった東宝のゴジラシリーズの第3作でアメリカの怪獣キャラクターの元祖「キングコング」をゲストに迎え、ゴジラが7年ぶりに復活して戦うという、政治的メッセージがなくなっちゃった、明快な娯楽作品となり、初めてのカラー製作、さらにシネマスコープ形式で上映され、そのうえ ゴジラの体色や放射能火炎の青白い色がここで初めて披露されたんですね。そして大ヒット。ゴジラシリーズ中では歴代1位になったんですね。
鈴木 当時 衝撃的だったんでしょうね。
荒木 なんでこんな作品が作られたかというと…一説によると、このゴジラとキングコングの対決(日米対決ですよね)は、1958年前後のプロレス、力道山対ルー・テーズにヒントを得たものだともいわれていますよね。
ということで さあ、50年の時を超えゴジラとキングコングが戦います。
前回は 勝ち負けがはっきりしなかったんですよね。いろいろ大人の事情があって。
プロレスでいうなら 50年待ってた、史上最高の遺恨試合。
さあ今度こそ、決着がつくのか?!!!!というところなんですが…。
ストーリーはまあどうでもいいんですが…よくはないか…。
舞台は近未来の地球です。ゴジラが海から出現、世界を危機へ陥れます。人類は対抗措置として、キングコングを髑髏島(スカルアイランド)から連れ出して、ゴジラ対コングという未曽有の対決を引き起こす。というこれだけのことですよ…。
ほんとは意外なサプライズキャラクターの登場なんかもあって、しゃべりたくてしょうがないんですが、ネタバレになってしまいますので絶対に言えません。怒られます。
そうそう一つだけ…日本の俳優小栗旬が出演しています。ハリウッドデビューですが、いつものかっこいい小栗さんとちょっとね、イメージ違いますよ。まあ見てのお楽しみですが…。
ところで だいちゃん、ゴジラとキングコング 体の大きさ どっちがどれだけ大きいと思います?
鈴木 圧倒的にゴジラのほうが大きいイメージなんですけどね…僕は。
荒木 そうなんですよ。ゴジラなんですが 初代から1975年までの15回のゴジラは決まっていて、身長55m 2万トンでしたが、1984年から次第にでかくなっていきます。理由はね、日本の都市部のビルが高層化して、バランス取れなくなっちゃって、もっと大きくしないとビルを壊せない…1990年前後には 80メートルから100メートル体重6万トンになっちゃったんです。
鈴木 ほぼ倍じゃないですか!!
荒木 それからちょっと大きくなったり、小さくなったりしましたが、シン・ゴジラの時には120メートルになりました。今回はこのサイズ。
これは あくまで実写シリーズの話です。アニメ映画シリーズのゴジラというのもあるんですが、これはもう別シリーズで、体長300メートル 体重100万トンとかになっていて別物なので。あくまで実写ね。
ではキングコングは?というと、これまでの何十作もの映画に登場するコングの大きさは、約7.5メートルというでかいサルぐらいのサイズから約17メートルまでさまざまなんですね。
鈴木 ちっちゃいね。
荒木 2017年の『キングコング:髑髏島の巨神』では、それまでの映画では最大のバージョンだったんですがそれでも約32メートル。
32メートルというと 鎌倉の大仏様…知ってますよね? 座っていますが…。
あの大仏様がもし立ち上がったら 32メートルほどだと言いますよね。
自由の女神が立っていて40メートルというんで、彼女よりも小さいんですね。
これじゃゴジラには太刀打ちできないというので、ご都合主義ではありますが、大きさを合わせてきましたよ。
今回のコングはこれまでスクリーンに登場した中で最大の大きさ。なんと、103メートル
今までの約3倍です。さあこれで互角になりました。
鈴木 ちょっと育ちすぎ。
荒木 どちらが勝つかということで、戦い、これまで以上に町やビルをぶっ壊します。今回 メインにぶっ壊される都市は「香港」。「香港」、たいへんですよね。
いろんな意味でぶっ壊されています。
取っ組み合いで、とにかくめちゃくちゃ派手に壊す、壊す、でも一説によるとこの映画に出資している中国企業のビルや巨大なネオンサインは不思議に避けていてずーと最後まで壊されずに映っているなんていう話もありますね。ほんとかどうか、わかりませんが。
鈴木 帳尻合わせてくるね。
荒木 まあ、筋立てで ちょっと支離滅裂?と思ったりする場面もあったりしますが、あまり考えずに 大きなスクリーンで繰り広げられる大迫力のバトルと映像に浸ってください。「おー がんばれー」とか応援して…。あ、応援は声を出しちゃいけないんだね。拍手かね? あはは、オリンピックみたいになっちゃいましたね。
鈴木 なんだかなー。
荒木 何度も延期、延期でじらされた「ゴジラVS コング」ようやく公開ですよ。
だいちゃんの場合は「キングコング対ゴジラ」を見てからのほうがいいですね。
鈴木 ところで 体重身長が同じくらいとして、実際 どっちが強いの?
荒木さん的には?
荒木 放射能の火炎だとか、そういうところから見ると、まあゴジラでしょうね。
鈴木 そうでしょうねー。
荒木 だけど 頭脳戦というか、頭もありますからね。そうすると脳みそ的にはトカゲよりサルかな?ということもあるしね…まあ、見ていただいて…意外な展開がありますからね。
鈴木 気になるなー 見るしかないね。
荒木 是非見てください。
荒木 その他には 珍しくカナダの映画で あの釈由美子さんが出演しているホラー「ロックダウンホテル 死霊感染」というホラーとか、石井裕也監督の「アジアの天使」。これもとってもいいです。それから笑福亭鶴瓶師匠を17年間にわたって記録したドキュメンタリーの「バケモン」という作品。さらに、例のジャニス。ジャニス・ジョブリンを描いたブロードウェイのミュージカルのスクリーン上映「ジャニス・ジョブリン」も公開されます。たくさんありますから、どれを見たらいいか、迷っちゃいますよね。
鈴木 不思議な余韻のある終わり方だね。今回は。
荒木 東宝の思うつぼだね。
鈴木 荒木さん ありがとうございました。
■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。