ジョージ・フロイドさんの遺族、29億円でミネアポリス市と和解

昨年５月、黒人男性ジョージ・フロイドさん（当時＝43）が白人警官に膝で首を押さえつけられ窒息死した事件で、ミネソタ州ミネアポリス市は遺族に2700万ドル（約29億4300万円）支払うことで和解に達した。

米サイト「TMZ」によると、フロイドさんの遺族は、フロイドさんの死を招いた5月25日の事件に関与した市、首を押さえつけた警官のデレク・ショーヴィンとその場にいた他の3人の警官を相手取り、昨年7月に不法死亡訴訟を起こした。市議会は12日（現地時間）、全会一致で和解案を承認したという。

遺族の訴えでは、市と警官がフロイドさんの権利を侵害したとしており、特にフロイドさんを逮捕した際に行われた首の圧迫を指摘した。フロイドさんの逮捕時のビデオには、白人警官のショーヴィンが8分46秒にわたってフロイドさんの首を膝で圧迫し、フロイドさんが「息ができない」と訴えている様子が映っていた。その動画がネット上に拡散し、人種差別に抗議する「＃BlackLivesMatter」（黒人の命も大切だ）の運動が全米に広がったのは記憶に新しい。

和解が発表された後、フロイドさんの姉のブリジット・フロイドさんは、「5月25日、ミネアポリスの警察官によってジョージの命が不当に奪われ、私たち家族はかけがえのない損失を被りました。最愛のジョージを取り戻すことはできませんが、私たちはこの世界をすべての人にとってより良い、より安全な場所にするために、たゆまぬ努力を続けていきます」とコメントした。そして「今後、ジョージ・フロイド記念財団の創設者としての私の活動は、ジョージの生まれ故郷であるノースカロライナ州フェイエットビルと全米の両方で行われるでしょう」 と述べたという。ショーヴィン被告は、この事件に関与した警官の中で最初に裁判を受けることになるという。同被告は第2級殺人、第3級殺人、過失致死の罪で起訴され、現在陪審員の選定が行われているという。