Plusalphatodayツイッター

東京五輪開閉会式ディレクター小林賢太郎氏が過去の「ユダヤ人大虐殺ネタ」で解任 米人権団体が抗議声明 前代未聞の”辞任・解任ドミノ“

(2021年7月22日14:45)

東京五輪開閉会式ディレクター小林賢太郎氏が過去の「ユダヤ人大虐殺ネタ」で解任 米人権団体が抗議声明 前代未聞の”辞任・解任ドミノ“
(小林賢太郎氏=ツイッターから)

東京オリンピックの開会式・閉会式の演出を担当する元お笑いコンビ、ラーメンズの演出家・小林賢太郎氏(48)が過去にナチスによる「ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)」をネタにしていたとして、米ロサンゼルスに本部を置くユダヤ人の人権団体サイモン・ウィーゼル・センター(SWC)が22日、抗議声明を発表した。これを受けて組織委は同日小林氏を解任し、小林氏は謝罪声明を発表した。相次ぐ不適切発言の辞任、解任で波紋が広がっている。

■米SWCの抗議声明「反ユダヤ的発言を非難」

サイモン・ウィーゼル・センターは公式サイトで「SWC、東京オリンピック開会式のディレクターによる反ユダヤ的発言を非難」と題する英文の声明を発表。「サイモン・ウィーゼンタール・センターは、東京オリンピック開会式のショーディレクターを務めるコメディアンの小林賢太郎氏が過去に行った反ユダヤ的なジョークや、障害者に対するいじめを非難します」としている。

「報道によると、小林氏は1998年に、ナチスによる600万人のユダヤ人虐殺をネタにしたコントを披露しました。その際、"Let's play Holocaust "(ホロコーストをプレイしよう)など、悪意に満ちた反ユダヤ的なジョークを飛ばしていました。小林氏は、障害者に対しても不快なジョークを飛ばしたとされています」と指摘した。

「 『どんな人でも、どんなにクリエイティブな人でも、ナチスの大虐殺の犠牲者をあざ笑う権利はありません。ナチス政権は、障害のあるドイツ人も虐殺しました。この人物が東京オリンピックに関わることは、600万人のユダヤ人の記憶を侮辱し、パラリンピックを残酷に嘲笑することになります』とSWC副学部長兼グローバル・ソーシャル・アクション・ディレクターのラビ・アブラハム・クーパー氏は述べています」としている。

SWCについて「40万人以上の会員を擁するユダヤ系の国際人権団体です。国連、UNESCO、OSCE、欧州評議会、OAS、ラテンアメリカ議会(PARLATINO)の協議資格を有しています」と説明している。

■問題の1998年のコントの内容

小林氏がホロコーストをネタにしたとみられるコントの動画がインターネット上で拡散しているという。動画は1998年に発売されたビデオに収録されたラーメンズのコントとみられ、小林氏は、人の形に切った紙が数多くあることを説明するのに「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」と発言したという。小林氏は、3月に女性タレントの容姿蔑視とされる演出が問題になり辞任した前責任者の佐々木宏氏の下でナンバー2として演出を担当していたという。20年11月には芸能界引退を表明している。 小林氏は1996年にコントユニット「ラーメンズ」としてデビュー。劇場公演を中心に活動を続け2020年に芸能界からの引退を表明して、ラーメンズとしての活動は事実上終了。現在は作家として活動している。

■小林氏の謝罪声明全文

小林氏は22日、ショーディレクター解任を受けて謝罪声明を発表した。以下全文。

「小林賢太郎と申します。私は元コメディアンで、引退後の今はエンターテインメントに裏方として携わっています。

かつて私が書いたコントのセリフの中に、不適切な表現があったというご指摘をいただきました。
確かにご指摘のとおり、1998年に発売された若手芸人を紹介するビデオソフトの中で、私が書いたコントのセリフに、極めて不謹慎な表現が含まれていました。

ご指摘を受け、当時のことを思い返しました。思うように人を笑わせられなくて、浅はかに人の気を引こうとしていた頃だと思います。その後、自分でも良くないと思い、考えを改め、人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました。

人を楽しませる仕事の自分が、人に不快な思いをさせることは、あってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省しています。
不快に思われた方々に、お詫びを申し上げます。申し訳ありませんでした。

先ほど、組織委員会から、ショーディレクター解任のご連絡をいただきました。ここまで、この式典に関わらせていただいたことに感謝いたします。

小林賢太郎」

■辞任・解任ドミノの経緯

23日に行われる東京五輪の開会式をめぐっては、開会式の作曲を担当していた作曲家の小山田圭吾氏(52)が、過去に同級生や障がい者をいじめていたことを雑誌のインタビューで告白していたことが明るみに出て19日に作曲担当を辞任したばかりだった。

組織委員会は、「行為は断じて許されるものではないが、開会式が迫る中、引き続き、準備に努めていただく」などと続投させることを表明していたが、批判が相次いで辞任の申し出を受けるという形で辞任を発表するなどドタバタ劇を露呈した。
さらにはイベント「東京2020 NIPPONフェスティバル」に参加する予定だった絵本作家・のぶみ氏が20日、過去の著作物やSNSでの発言が物議をかもし出演を辞退した。教師に傷んだ牛乳を飲ませたり、女性教師を恫喝したりするなどの嫌がらせを自伝に記したことが批判されていたという。

「2月には森前会長が『女性が多い会議は時間がかかる』などと女性蔑視発言で辞任。さらに4月には開閉会式の演出総合統括を担当するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、女性蔑視の演出案が発覚して辞任した。そして今度は開会式の直前になって小山田氏と小林氏の辞任と解任。こうも不適切な演出案や過去の問題発言が相次いで発覚すると、選考基準や身体検査がずさんというしかない。組織委はありきたりの陳謝でお茶を濁すのではなく、誰がどんな基準で選んだのか調査して国民に報告すべきだしトップの責任の取り方も問われる」(五輪ウオッチャー)という声が上がっている。