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スカーレット・ヨハンソン、「ブラック・ウィドウ」の同時配信でディズニーを提訴 ディズニーは反論

(2021年1月15日20:50)

スカーレット・ヨハンソン、「ブラック・ウィドウ」の同時配信でディズニーを提訴 ディズニー反論「訴訟には何のメリットもない」
(スカーレット・ヨハンソン=インスタグラムから)

「ブラック・ウィドウ」に主演したスカーレット・ヨハンソン(36)が29日(現地時間)、ディズニーが同作を映画館での公開と同時に「Disney+」で配信したことは契約違反としてディズニーを提訴したことが分かった。劇場公開だけの契約だったが同時配信したことによりヨハンソンの収入に5000万ドル(約55億円)以上の損害を与える可能性があると主張しているという。ディズニーは「訴訟には何のメリットもない」などと反論している。スカヨハの訴訟の背景にはコロナ禍での配信公開の促進があるとみられる。

■ヨハンソン「劇場公開と同時配信で55億円以上の収入減の可能性」

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ヨハンソンの訴訟を報じたのはウォール・ストリート・ジャーナルで、ヨハンソンはディズニーのマーベル・エンターテインメントとの契約では、「ブラック・ウィドウ」が映画館で独占的に公開されることが保証されており、彼女の収入は映画の興行成績に大きく左右されていたと主張。関係者は「ブラック・ウィドウ」を動画配信サービス「Disney+」で同時配信したことで、ヨハンソンに5,000万ドル(約55億円)以上の損害を与える可能性があると語ったという。ヨハンソンが契約の再交渉を試みたが、ディズニーとマーベルは対応しなかったとしている。

■ディズニー反論「訴訟は何のメリットもない」

ディズニーは同日、ヨハンソンの訴訟には「何のメリットもない」と反論し、「新型コロナウイルス感染のパンデミックの世界的な影響と長期化を無視していることは特に悲しく、心苦しい」とコメントしたという。「ディズニーはヨハンソンの契約を完全に遵守しており、さらに、『ブラック・ウィドウ』がプレミア・アクセス付きのDisney+で公開されたことで、これまでに受け取った2,000万ドルに加えて、彼女が追加の報酬を得る可能性が大幅に向上した」と主張しているという。

■背景にコロナ禍での同時配信の増加

ニューヨーク・ポストは、ヨハンソンの訴訟は映画館での公開と同時期にストリーミングサービスで映画をする配信することを選択するスタジオが増える中、ハリウッドの大きな問題を示唆していると指摘した。コロナのパンデミックの期間中に映画館が閉鎖されるなどしたことから、大手は映画館よりも配信サービスを優先し、話題の新作を配信するようになったという。

ヨハンソンの代理人弁護士は「この訴訟は、ストリーミングの促進が自分たちの犠牲の上に成り立たないようにしたいと考えている俳優、プロデューサー、監督などにとって、経済的に大きな意味を持つ」とジャーナル誌に語ったという。そして「ハリウッドのタレントがディズニーに立ち向かい、同社がどのように見せかけようとも、契約を守る法的義務があることを明確にするケースは、きっとこれが最後ではないでしょう」と語ったという。

■「ブラック・ウィドウ」の興行成績

「ブラック・ウィドウ」は、7月9日に全米で公開され、週末の米国内興行収入が約8,000万ドル(約88億円)、海外興行収入が約7,800万ドル(約86億円)に達したと、米Box Office Mojo社が発表した。当時ディズニーは、この映画がDisney+での自宅での配信の購入(30ドル)からさらに6,000万ドル(約66億円)を獲得したと発表していた。その後興行成績は伸び悩み、米国内で約1億5,800万ドル(約174億円)、海外で約1億6,000万ドル(約176億円)の興行収入を上げているという。全米劇場オーナー協会は「期待外れで独占的な劇場公開の方が収益性が高いことを示している」と述べたという。「ブラックパンサー」、「アベンジャーズ」、「キャプテン・マーベル」などのマーベル作品は、全世界でのチケット売上が10億ドル(約1100億円)を超えるのが当たり前になっているため、コロナのパンデミックの影響で状況が変わったとはいえ、「ブラック・ウィドウ」の興行成績は期待外れとしている。日本では7月8日に劇場公開され翌9日からディズニープラス・プレミアアクセスで配信中。興行通信社の動員ランキングで初登場3位、公開3週目の先週末(24日~25日)は6位とヒットしている。