米ゴールデングローブ賞、新会長で再始動 13日ノミネート発表もハリウッドは懐疑的

(2021年11月14日16:30)

米ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)が13日(現地時間)、ノミネートを発表することが分かった。審査員に黒人が一人もいないなどの問題で非難を浴びて存続の危機を取りざたされていたが、HFPAの新チームが運営の改革のプロセスや審査員の新メンバーなどを米誌に明らかにした。だがハリウッドは懐疑的だという。

米誌「VanityFaire」によると、13日(現地時間)、HFPAはロサンゼルスのホテルで今年のゴールデングローブ賞のノミネートを発表することが分かった。最近HFPAの会長に選出されたドイツ人ジャーナリスト、ヘレン・ホーネ氏は、非難された同賞のさまざまな問題を乗り越え、ゴールデングローブ賞を維持するために、自分たちが改革したと主張している。

HFPAのヘレン・ホーネ会長(Instagram/@helen.hoehne)

今回の件で初めて同誌のインタビューに応じたホーネ氏は、「仕事が大変だった分、この変化には感謝しています。これは新しいHFPA 2.0です」と語った。これらの変化の中には、行動規範の更新、チーフ・ダイバーシティオフィサーの追加、理事会、諮問委員会、審査委員会への有色人種および外部アドバイザーの参加、21名の新メンバー(6名の黒人ジャーナリストを含む)と来年の追加予定、全米有色人種地位向上協議会(NAACP)との5年間のパートナーシップなどが明らかにされた。

アカデミー賞の前哨戦として注目が高かったゴールデングローブ賞だが、ロサンゼルス・タイムズ紙が2021年2月現在、HFPAのメンバーは87人の中に黒人会員が一人もいないことを報じたことで批判が集まり、HFPAは改革に取り組むことを発表したが、その後HFPAのフィリップ・バーク会長が、「#BlackLivesMatter」(黒人の命も大切だ)運動について、「人種差別的なヘイト・ムーブメント」とする記事会員に転送していたことが判明し、辞任に追い込まれた。さらには一部の俳優に対して、HFPA会員から性差別的な質問を受けていたことが判明。ワーナーメディアやNetflixなどが本賞関連のイベントに参加しないことを表明したほか、本賞の授賞式を放送しているNBCテレビも2022年の中継を行わないことを2021年5月10日に発表。また、トム・クルーズなど過去の受賞者が抗議の意志を示すためにトロフィーをHFPA本部に送り返すなど波紋が広がった。

NBCは、「意味のある改革」が行われれば、2023年の放送について議論することに前向きであると述べたが、来年1月の授賞式をテレビで放送しないという決定は変えていないという。多くのスタジオ、ネットワーク、エンターテイメントパブリシスト、そして彼らのクライアントであるセレブリティたちは、ゴールデングローブ賞が通常のビジネスを再開するには早過ぎると考えているという。

過去に起きたグループ内の人種差別事件についてホーネ氏は「過去を変えることはできません。私たちにできるのは現在と未来を変えることだけです。HFPAは新メンバーにより物事を違った角度から見て、よりオープンになることを学ぶだろう」と言い、来年はさらに新メンバーを加え、合計125名程度になる予定だと述べたという。
だが、世界の多様性を表現するためには300人が適当であると提案した、改革を推進する連合の要求には及ばないという。また、長年の会員の中には、ほとんど記者として活動していないと思われる者がいることから、会員資格の基準を高めることも求められているという。

ホーネ氏は、賞を授与することは78年の伝統であるため、ゴールデングローブ賞を中止するという選択肢はなかったと言う。「確信を持って言えるのは、通常のアワードショーにはならないということです。2021年に最も優れていたと思われる人々を表彰するという謙虚なアプローチをとっています」としているが2022年の授賞式は波乱含みとなりそうだ。