米歌姫オリヴィア・ロドリゴ、「中絶権利」否定した保守派の最高裁判事を非難「彼らは女性の自由など気にしていない」

(2022年6月26日11:50)

米歌姫オリヴィア・ロドリゴ、「中絶権利」否定した保守派の最高裁判事を非難「彼らは女性の自由など気にしていない」
コンサートで保守派の最高裁判事5人を批判したオリヴィア・ロドリゴ(「TMZ.COM」から)

米国の連邦最高裁が24日(現地時間)、人工妊娠中絶を女性の権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆して中絶を憲法で保障された権利として認めない判断をしたことで全米に抗議デモが広がる中、歌手で女優のオリヴィア・ロドリゴ(19)が、イギリスのグラストンベリー・ミュージックフェスティバルで、今回の判断に賛成した最高裁判事を非難して「彼らは女性の自由など気にしていない」などと痛烈に非難した。

米サイト「TMZ」によると、オリヴィアはリリー・アレン(37)をステージに呼び彼女の有名な曲「ファック・ユー」を今回の判断に賛成した最高裁の5人の判事に捧げた。賛成したのは保守派の5人で、保守派の1人は反対。リベラル派の3人の判事が反対意見を述べて判決に「女性の自由と平等な地位を守る50年来の憲法上の権利を消し去るもの」と批判した。

全米で人工妊娠中絶の権利を認めた46年前の判例を覆した最高裁に対して、オリヴィアは打ちのめされ、恐怖を感じていると観客に語り、その変化のために多くの女性や少女が死ぬことになると警告したという。

オリヴィアが「ファック・ユー」を5人の判事たちに捧げ、彼女が「1日の終わりに、彼らは本当に自由のひとかけらも与えないことをわたしたちに示した」と言うと、会場の大観衆は歓声を上げたという。

リリーはアメリカの最高裁判所にも2本の中指を立てた。オリヴィアは判事たちに「私たちはあなたたちを嫌悪する」と言い、リリーの「ファック・ユー」を熱唱した。

リリーは2009年の同ミュージックフェスでイギリスの極右政党で人種差別的な政策を標榜するイギリス国民党(BNP)に抗議して観客全員に中指を立てることを要求し、観客が大歓声を上げて中指を立てるとステージで喜んで笑い転げてから「ファック・ユー」を歌った。

今回の最高裁判断をめぐっては、中絶に反対するキリスト教徒にアピールするため歴代の共和党大統領は73年の判決を見直す判事を指名することを公約し、今回の判断に賛成した判事の5人は共和党の大統領が指名。そのうちの3人はトランプ前大統領が指名したという。その意味で今回の判決はトランプ前大統領の”負の遺産“ともいわれている。

■オリヴィア・ロドリゴ

2003年2月20日生まれ。米カリフォルニア州テメキュラ出身。女優としてディズニー・チャンネルの「やりすぎ配信! ビザードバーク」(2016年)のペイジ役や、ディズニー・プラスのシリーズ「ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル」のニニ役で人気に。歌手としては2021年1月にリリースしたデビューシングル「ドライバーズ・ライセンス」が全米全英のチャート初登場1位など世界的に大ヒット。同年5月にファーストアルバム「Sour」をリリース。今年4月に開催された第64回グラミー賞で最優秀新人賞、最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞(「Sour」)、最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス(「ドライバーズ・ライセンス」)の3部門を受賞。