リチャード・ドレイファス、アカデミー賞の多様性に関する新基準を非難「吐き気がする」

(2023年3月29日13:00)

リチャード・ドレイファス、アカデミー賞の多様性に関する新基準を非難「吐き気がする」
アカデミー賞の新規人について語るリチャード・ドレイファス (米PBSの公式サイトから)

「ジョーズ」などで知られる米俳優リチャード・ドレイファス(75)が、来年のアカデミー賞で実施される多様性の新基準を非難し、「吐き気がする」などと語った。米メディアが報じた。

米紙ニュヨーク・ポスト(電子版)によると、ドレイファスは米公共放送PBSの「ファニング・ライン・ウイズ・マーガレット・フーバー」に出演して、来年からアカデミー賞の候補になるためには一定の多様性基準を満たす必要があるとの新しい基準が設けられたことについて「これ(映画)は芸術の一形態だ。商業の一形態でもあり、お金を稼ぐものでもある。そして、誰も芸術家である私に、道徳とは何かという最新の考え方に屈しなければならないと言うべきではありません」と異議を唱えた。

「アメリカン・グラフィティ」(73年)、「ジョーズ」(75年)、「未知との遭遇」(77年)などの数多くのヒット作に出演し。「グッバイガール」(70年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したドレイファスは、アカデミー賞の新しい基準が人々の感情を規制しようとするものと主張した。

「私たちは何を危惧しているのでしょうか?人の気持ちを傷つけることになるのでしょうか?それを法制化することはできない。そして…人生は人生として受け止めなければならない。そして、申し訳ないが、この国の少数派や多数派を、そのように配慮しなければならないとは思わない」とドレイファスは付け加えた。

2024年から、映画芸術科学アカデミーが定めた4つのカテゴリーにおいて、一定の多様性と多様性の受け入れの基準を満たさなければ、アカデミー賞で「作品賞」を受賞することはできないとしている。

このカテゴリーは、それぞれ映画製作の異なる側面に関わるもので、「画面上の表現」、「創造的なリーダーシップとプロジェクトチーム」、「業界へのアクセスと機会」、および「観客の進歩」を通じて、新しい多様性対策を満たすことが求められることになるという。

「画面上の表現」は、少数派の人種や民族からなる主役が少なくとも1人いること、副主役の30%以上が代表的な2つのグループの属しているか、主要なストーリーラインが少数派のグループに焦点を当てている必要があるという。

アカデミーによると、少数派のグループとは、女性、有色人種、LGBTQ+を自認する人々、障害者を指し、新基準はスクリーン内外の多様性を奨励することを意図しているという。 来年のアカデミー賞から、映画は一定の多様性基準を満たさなければ、アカデミー賞の候補にすらならないことになるという。

ドレイファスは、シェイクスピアの「オセロ」でムーア人の軍師を黒塗りで演じたローレンス・オリヴィエを擁護しました。「(オリヴィエは)1965年にそれをやったんだ。しかも黒塗りで。そして、彼は見事に黒人を演じたのです」とドレイファスは語っている。

「私は、黒人を演じるチャンスはないと言われているのでしょうか?ユダヤ人でないなら、『ヴェニスの商人』を演じるべきではないと誰かが言われているのだろうか?クレージーではないか?芸術は芸術であることを知らないのでしょうか?これはとても恩着せがましいことです。人を子供のように扱う軽率な行為だ」と指摘し「吐き気がする」と非難したうえで、「映画は、誰が出演しているかという基準を満たすために操作するのではなく、ストーリーの現実に焦点を当て続けるべきだ」と提案した。

いずれにしても、アカデミー協会が来年から実施する、アカデミー賞での多様性を高めるために、代表的なマイノリティグループから一定割合の人材(スクリーン上またはスタッフ)を採用しなければならないとする新ガイドラインは、今後様々な論議を呼びそうだ。