「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
ジェンダーを超えた世紀のテニス対決

(2018年7月6日)

  • バトル・オブ・セクシーズ
  • キング夫人とボビー(上)
    エマとカレル(下)
    (Instagram/@emmastone)

1960年代から80年代初期にかけて女子プロテニス界に君臨したビリー・ジーン・キングがテニス界の男女差別に風穴を開けたビッグ・イベントの実録映画で、「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが髪形やメガネなどをまねてキング夫人を熱演した注目作。

女子の優勝賞金が男子の8分の1だった時代に、男女平等を求めてテニス協会を脱退して女子テニス協会を立ち上げて、数々の試練に立ち向かっていたキング夫人は1973年、”男性優位主義”の代表で元男子チャンピオンのボビー・リッグス(スティーブ・カレル)の挑戦を受けて立つ。「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(性別を超えた戦い)と呼ばれた世紀の一戦はテレビが中継して全世界で9000万人を超える人々をくぎ付けにする。 スポーツ界を超えて政治・社会、学校や家庭まで男女の関係を変えたキング夫人の偉大にして爽快なドラマは最後まで目が離せなくなる。

キング夫人は地方を遠征するうちに美容師と密会を重ねるようになり、それが夫の知るところとなり離婚する。映画で描かれている時代よりかなり後になっていからレズビアンであることをカミングアウトして世間を騒がせたのは有名だ。まだLGBTの運動も活発でなかったころのキング夫人の密愛も描かれている。

ウィンブルドン6勝、全米オープン4勝、全仏オープン1勝、全豪オープン1勝という輝かしい戦績を誇るキング夫人は現在74歳で、エマにコートでエマにテニスの手ほどきをしたという。キング夫人仕込みのエマのテニスシーンも見どころの一つだ。(2018年7月6日公開)