「カメラをとめるな!」 口コミで大ヒットしたB級ゾンビ映画の実力

(2018年8月21日)

  • クリス・プラット
  • 「カメラを止めるな!」
    (TOHOシネマズ新宿)

6月に都内2館で公開されたが連日満員となり8月に入ってTOHOシネマズなど大手劇場で拡大公開され、上映館が全国で100館以上に膨れ上がるという異例の盛り上がりを見せて大ヒットしたゾンビコメディ映画。監督・俳優養成スクール・ENBUゼミナールの「シネマプロジェクト」第7弾作品で、上田信一郎監督の初の劇場長編作品。俳優もほとんど無名だ。

ゾンビ映画を撮影中に本物のゾンビが出現して監督や俳優が逃げまどいパニックになるという前段の劇中劇では手持ちカメラで追いまわし疾走感のあるパワフルな37分の短編ゾンビ映画が完成するのだが、その1か月前に戻って映画の準備段階からのドラマがこの映画のすごい部分である。監督が見た小演劇にヒント得たという前代未聞の構成はなんともユニークだ。そして爆笑シーンが連続的に観客を襲う。映画館で見たが、観客がゲラゲラ笑うのは久しぶりに見た。ネタバレになるので詳しくは言えないが、とにかく文句なしに笑えるし、「この映画は二度はじまる」という宣伝文句がまさにふさわしい構成に拍手だ。この映画が異例のヒットを見せている秘密はそこにあったようだ。

監督役の濱津隆之、映画製作に足を踏み入れるが空回りしている監督の娘(真魚)、元女優でゾンビ映画に代役で出演することになる監督の妻(しゅはまはるみ)、主演役のアイドル女優(秋山ゆずき)、男優役のイケメン俳優(長屋和彰)などなど俳優陣の熱演ぶりも見どころ。(6月23日公開)