「寝ても覚めても」東出昌大が個性が違う2人の青年を2役で好演

(2018年12月17日)

  • クリス・プラット
  • 「寝ても覚めても」
    (渋谷・シネクイント)

柴崎友香の恋愛小説を東出昌大、唐田えりかのキャストで濱口竜介監督が映画化した。5時間を超す長編インディーズ作品「ハッピーアワー」で数々の国際映画賞を受賞した同監督の初めての商業映画。

泉谷朝子(唐田)は偶然出会った不思議な雰囲気の青年バクこと鳥居麦(東出)にひかれてやがて2人は付き合うようになり同棲する。パンを買いに行くといって家を出たまま途中で会った知人宅に上がり込んだりして帰らなかったりする麦は、ある日上海に行くといったまま消えてしまう。

3年後、大阪から東京に引っ越してカフェで働いていた朝子は、ある日、同じビルにある会社で働く麦そっくりのまじめなサラリーマン・丸子亮平(東出の2役)に出会い、心が揺れ動く。2人は恋に落ちて同棲するようになり結婚の約束をするが、そこにモデルとして成功した麦が現れ、朝子は瓜二つの顔をしているが、性格も雰囲気も全く違う2人の男性の間で激しく揺れ動く。

東出が個性が違う2人の青年を2役で好演している。唐田は消えた恋人とそっくりの男と恋に落ちながら、昔の恋人の影を引きずっている複雑な心境のヒロインを不思議な透明感のあるキャラクターを地で行くような感じで演じている。一見してありそうもない非現実的なシチュエーションだが、バクが再び現れてから、3人がどうなるのかと緊迫したドラマが続きスクリーンに引き込まれて、次第に3人の世界にはまっていくところが見どころになっている。
(9月1日公開)