「ファースト・マン」人類史上初めて月に降り立った男の奇跡のドラマ

(2019年2月9日)

  • ファーストマン
  • 「ファースト・マン」(TOHOシネマズ新宿)
  • スタイリッシュなミュージカル「ラ・ラ・ランド」で観客を魅了したデイミアン・チャゼル監督が、再びライアン・ゴズリングとコンビを組んで、今度は史上初めて月面着陸に成功した男のドラマで観客を圧倒した。

    1969年、アポロ11号に乗ったニール・アームストロング船長ら3人が人類史上初めて月面に降り立った実話を映画化した。ジェームズ・R・ハンセン著「ファーストマン:ニール・アームストロングの人生」を原作にし、スティ―ブン・スピルバーグが製作総指揮を務めた。

    ゴズリングが扮するアームストロングは空軍のテストパイロットとして仕事をしていたが幼い娘カレンが重病になり、妻のジャネット(クレア・フォイ)と懸命に看病するが 亡くなってしまう。悲しみを振り切るように、NASA(米航空宇宙局)のジェミニ計画の宇宙飛行士に応募して合格し、ヒューストンのセンターで過酷な訓練を受ける。

    宇宙計画でソ連に後れを取っていた米国は月面着陸を成功させて一気に形勢逆転を狙っていた。母船と小型船の2機で月を目指すジェミニ計画の失敗。1967年アポロ計画のアポロ1号が打ち上げ前に内部に火災が発生して乗組員3人が死亡する大惨事など数々の犠牲や非難を乗り越えて、1969年、アームストロング船長ら3人が乗ったアポロ11号が飛び立つ。

    50年前に世界を驚かせた奇跡の月面着陸がまるでドキュメント映画のように再現されるのは圧巻だ。アポロ11号に一緒に乗り込んで月に向かい月面着陸に挑戦しているような緊迫感、臨場感がある。“宇宙酔い”を体験したかのように錯覚するシーンもあった。NASAの全面協力と徹底的なリサーチで究極のリアリティを追求したという。その意気込みがスクリーンにみなぎっている。 そして俳優たちの顔のクローズアップを多用して”顔面演技”でさまざまな感情を表現させてドラマを展開していく手法も印象的だった。(2019年2月8日公開)