「ザ・フォーリナー/復讐者」ジャッキー・チェンが復讐に燃える男をシリアスに熱演

(2019年5月5日)

  • ザ・フォーリナー
  • 「ザ・フォーリナー 復讐者」(新宿ピカデリー)

ジャッキー・チェンが、無差別テロで娘を失い元特殊部隊の経験を生かして犯人を追い詰めていく復讐劇を熱演しているサスペンスアクション。これまでのアクション映画で見せてきた笑いの要素を一切排除して、孤独で不屈な復讐者をシリアスに演じて新境地を見せている。5代目ジェームズ・ボンドとして「007 ゴールデンアイ」(1995年)などに出演しているピアース・ブロスナンが北アイルランド副首相役で共演してドラマにスケール感を加えている。

クァン・ノク・ミン(ジャッキー)は、ロンドンのレストランのオーナーとしてつつましく平和に暮らしていたが、ある日、高校生の愛娘が無差別テロで死亡してしまう。怒りに燃えるクワンは警察に押しかけて犯人が誰なのか聞きまわるうちに、北アイルランドの副首相リーアム・ヘネシー(ブロスナン)が事件の真相を知る人物とみて執拗に尋ねるが追い返される。クァンは元米軍特殊部隊に所属していた経験を生かしてゲリラ戦を展開して壮絶な復讐劇へとエスカレートしていく。

ジャッキーの体を張ったアクションは健在で、凄腕のテロ組織のメンバーとの死闘など年齢を感じさせない過激なアクションで見せ場を作っている。また娘の命を奪った無差別テロの爆破シーンなどがリアルで仕掛けも大きい上に、ロンドンでの爆弾テロを計画する北アイルランドの過激派組織内部の対立や裏切りなども描かれているのも見どころになっている。ブロスナン主演の「007 ゴールデンアイ」やダニエル・クレイグ主演の「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年)を手掛けたマーティン・キャンベル監督ならではの演出とジャッキーとブロスナンの2大スターの対決で、スケールの大きなサスペンスアクションになっている。