Plusalphatodayツイッター

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」 グザビエ・ドランの感性と映像美の奔流

(2020年3月14日)

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」 グザビエ・ドランの感性と映像美の奔流
「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

「Mommy/マミー 」(2014年)でカンヌ国際映画祭の審査委員賞、「たかが世界の終わり 」(2016年)で同映画祭のグランプリを受賞し、独特の感性とストーリーで1作ごとに注目されているカナダ出身のグザビエ・ドラン監督の最新作。

■ストーリー

2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が29歳の若さで死去。自殺か事故か事件か、謎に包まれた真相を解くカギを握る1人の少年がいた。当時11歳の少年ルパートは、ジョンと秘密の文通をしていた。そして10年後、ルパートはドノヴァンと交わした100通以上の手紙を一冊の本にして出版。さらには著名なジャーナリストの取材を受けてすべてを明かすと宣言。ルパートの回想を通して、ジョンの死の真相を描いていく。

■見どころ

ドランは同作の公式サイトに「幼き日、僕はL・ディカプリオに夢中だった。そして憧れの彼へ手紙を書いた。これは、僕の経験から誕生した物語だ」とコメントを寄せている。8歳のときに「タイタニック」(1997年)に出ていたレオに憧れてファンレターを書いたという自身の体験に基づいたストーリーだという。

幼少期のドランがモデルになった少年ルパートを「ルーム」で注目された天才子役ジェイコブ・トレンブレイが、スターに憧れ役者を目指す多感な少年を好演。彼が憧れる俳優ジョンをTVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントンが個性的に演じて存在感を見せている。

また成長してからのルパートをベン・シュネッツアーが演じているほか、ルパートの母親役のナタリー・ポートマン、さらにはスーザン・サランドン、キャシー・ベイツらが脇を固めている。過去と現在を行き交い、少年ルパートとジョンの手紙を介した交流、ルパートと母の複雑な愛憎、俳優ジョンのゲイ・ラブなど独創的な描写やセリフで”ドラン・ワールド”全開の作品になっている。(2020年3月13日公開)