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「ばるぼら」稲垣吾郎&二階堂ふみ、幻想と狂気とエロスを熱演 圧巻の官能シーンも

(2020年11月21日11:50)

「ばるぼら」稲垣吾郎&二階堂ふみ、幻想と狂気とエロスを熱演 圧巻の官能シーンも
「ばるぼら」(東京・渋谷区のユーロスペース)

巨匠・手塚治虫氏が1970年代に「ビッグコミック」(小学館)に連載した人気小説家とアルコールに溺れる謎のフーテン少女の幻想的な物語を描いた異色の漫画を、治虫氏の長男の映画監督・手塚眞が稲垣吾郎、二階堂ふみらのキャストで映画化した日・独・英合作の異色の作品。

■ストーリー

人気作家の美倉洋介(稲垣吾郎)はある日、新宿駅の片隅の地下道で酔いつぶれて道端に寝ているホームレスのような少女のばるぼら(二階堂ふみ)を見かけて気になり、家に連れて帰り介抱する。ばるぼらは美倉の小説をけなし、家にある高い酒を飲むなど傍若無人にふるまうが、美倉は彼女に惹かれ、彼女がいると筆が進むようになり、成功して名声を得ても芸術家としての悩みを抱える美倉にとってミューズのような存在になっていく。一方で異常性欲に悩まされる美倉は幻想に惑わされ、狂気で崩壊しそうになる寸前で現れるばるぼらに何度か救われる。やがて2人は愛し合うようになり狂気とエロスとデカダンスへと迷い込んでいく。

■みどころ

ある時はサングラス姿でハードボイルドの主人公のようにクールに苦み走り、また退廃的になったり狂気をはらんだり、異常性欲に突き動かされたり、謎の女ばるぼらとの出会いで幻想的な世界に迷い込んでいく流行作家を稲垣が熱演している。そして魔性の魅力をほとばしらせ、退廃、幻想、禁断のエロス、耽美、ミステリアスといった言葉をそのまま体で表現している二階堂ふみが圧倒的な存在感を見せている。まさにはまり役で新たな境地を見せている。2人の超官能的にして幻想的なセックスシーンにもくぎ付けになった。二階堂は一糸まとわぬ完璧な姿で、これまた全裸の稲垣と激しく絡み合ういくつかのベッドシーンは圧巻でこの作品を象徴する特別なシーンになっている。手塚治虫氏の原作漫画は1970年代に発表されたものだが、その時代の新宿の匂いも醸し出されているが、内容は今も新しく現代的で永遠のテーマのようにも見える。治虫氏と眞氏の別々の”手塚ワールド“がクロスして、撮影監督クリストファー・ドイルのスタイリッシュな映像も相まってアート・シネマというにふさわしい作品になっている。(2020年11月20日よりシネマート新宿、ユーロスペースほか全国公開)