12月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2020年12月6日17:00)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画雑誌「SCREEN(スクリーン)」の編集長・鹿志村和仁さんの3人が12月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は11月22日の放送で「ただ悪より救いたまえ」「偶然と想像」「ラストナイト・イン・ソーホー」などが紹介された。

12月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、「SCREEN」編集長・鹿志村和仁氏、上地由真)

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。 今日は月に一度の映画をフューチャーする「今月のシネマログ」の日ですが、今回は年末年始に観たい映画をご紹介します。前半は映画ソムリエの東紗友美さんと12月注目映画を、後半は映画雑誌「SCREEN(スクリーン)」の編集長・鹿志村和仁さんをお迎えして、誌面でも取り上げられている注目の映画についてお話をお聞きします。 よろしくお願いします!

東     よろしくお願いします!

上地    さゆみん、12月公開のおすすめの映画は?

12月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ただ悪より救いたまえ」(12月24日(金)よりシネマート新宿、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国ロードショー)(配給:ツイン)(© 2020 CJ ENM CORPORATION、HIVE MEDIA CORP. ALL RIGHTS RESERVED)

東     はい。年末年始はいわゆる大作と言われるものや、シリーズ作品なども多いんですけども、私が今回おすすめするのは、観たら絶対ハマる個性派の作品です。まずは12月24日から公開の『ただ悪より救いたまえ』という韓国映画です。
凄腕の暗殺者インナムは引退前の最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害します。コレエダの義兄弟だった冷酷な殺し屋レイは復讐のためインナムを執拗に追い続け、関わった人すべてを手にかけていきます。そういうことで、暗殺者と殺し屋、まさかの・・・なんて言ったらいいんですかね?設定センス抜群の二者による戦いが始まっていく・・・という作品なんですけども。これね、私ベスト3に入る、今年の!韓国のアクションノワール映画なんですけど、由真さんて『イカゲーム』観ました?

上地    『イカゲーム』観た!

東     あっ!ねえ、『イカゲーム』の主人公の人だって気付きました?

上地    いや~、あのね、はじめわからなかった。それぐらい顔が全然違う。

東     そうなんです。違うんですよ。そこをね、まず観てもらいたくて。いま『イカゲーム』ね、1億1100万世帯が見たと言われているNetflixの作品なんですけど、それの主人公のギフンを演じたイ・ジョンジェという人がいて、このイ・ジョンジェが今回、冷酷な殺し屋を演じているんですけど。実はこれね、私の周りの映画ライターさんが観ても、本人って気付いてないんですよ。韓国の演者さんって、もちろん兵役とかで体は鍛えているんだろうけど、顔の筋肉まで鍛えてるのか?!っていうふうに表情の作り方が違うんですよね。だからそんなところもまず見てほしいですし。『ただ悪より救いたまえ』は社会派の臓器売買とか人身売買ですとか、暴力とか殺人とか、そういったものを織り交ぜながらも4ヶ月にわたってタイ、韓国、東京、いろんなグローバルな撮影をしているから、旅欲みたいなものも満足させてくれるような作品になっていて。そしてこのアクションですよ!

上地    派手なアクション、ね~!痺れた~。

東     そうなんですよ。もうね、刀使いが段違いなんですよね。

上地    すごかったです。

東     すごいんですよ!

上地    痛々しかったもん。

東     痛々しくて、もはやホラーぎりぎりなんじゃないっかていうくらい、すごいアクションなんですけど。そのイ・ジョンジェともう一人、ファン・ジョンミンという演者さんが刀で戦うシーンなんて、もはやある種のラブシーンなんじゃないかって思うぐらい息がピッタリで。

上地    ねえ、それちょっとマニアックよ(笑)アハハハ!

東     でも、もうラブシーンなんだもん。こんなに息合わないから、普通!いやちょっと私、すごい映画観たなぁ・・・って思ったんですけど。これはぜひ、特に劇場で観ていただきたいなと思いましたね。由真さん、どこ刺さった?

上地    いやこれさ、あの二人のコンビが『新しき世界』・・・さゆみんの好きな、そのコンビでしょ? 東     いや~、それ言っちゃう?言わせてくれる?

上地    うわ~って思った、観た瞬間。

東     会話のバトン取るよ、こっちに。いいですか?

上地    アハハハ!

東     私、映画ソムリエやっているじゃないですか。この長い映画の人生で一番好きな映画が、2013年の韓国のノワール映画『新しき世界』っていう映画なんですよ。で『新しき世界』、2人、主人公がいます。それがそのファン・ジョンミンとイ・ジョンジェ。この2人が、潜入捜査ものなんですけど、主人公だった作品で、今回それがね、日本で公開した時はそこまでヒットしなかったんですけど、今でも人気でパッケージめちゃくちゃ動いていて。で由真さんにも貸し付けました、私。観させました、だいぶ前にね。それでこの映画、絶対アツイからって言ったら、やっぱり今回その2人によって、同じ主人公2人が呼ばれて新しい作品が殺し屋VS暗殺者っていう設定でね。昔は『新しき世界』で義兄弟だったので、また全然違う作品になって2人が戻ってきてくれたから、これ韓国映画ファンはたまらないと思うんですよ。

上地    この2人見た瞬間、うお~!って、結構上がりましたね、私。

東     上がるんですよ、そうなんですよ。そして、監督。監督、大変なことになっています。『チェイサー』『哀しき獣』、これの脚本をやっていたホン・ウォンチャン。今回、監督も脚本も手掛けています。そしてホン・ギョンピョっていう方が撮影監督手掛けていて、この人ね、『パラサイト 半地下の家族』でカメラを担当された方なんですけど、アジアのカラッとした天気を撮るのも上手いですし、アクションの描写の激しいのを撮るのも上手いですし、やっぱりすごい才能が集まった作品だなと思いましたよ。12月24日、由真さん…。

上地    クリスマスイブですね~。

東     死闘、バトルを選んでくれますか?

上地    選ぶー!選びますよ、そりゃあ~(笑)

東     ありがとうございます。アハハハ!デートじゃなくてね、バトル行っちゃってもらいたいんですけど。これ、本当におすすめです!まず一本目、12月24日から公開の『ただ悪より救いたまえ』という映画でした。

上地    さゆみん、続いてのおすすめは?

12月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「偶然と想像」(©︎ 2021 NEOPA / Fictive ) (2021年12月、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー)

東     はい、続いては12月17日公開の邦画、『偶然と想像』という作品です。この作品ね、まず拍手してください。ベルリン国際映画祭で銀熊賞獲りました!おめでとうございまーす!審査員グランプリ獲っていまーす!これね、なかなか凄いことですよ。この賞を獲った時にね、さらっとニュースで流れていたんですけど、この濱口竜介監督、この前に『スパイの妻』でベネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲っていた方ですね。

上地    ああ、『スパイの妻』!うんうん。

東     そうそう。その賞が、しかも世界的な評価が上がってきていて。黒沢監督ですとか、三池監督ですとかいろんな世界的に評価されている監督っていると思うんですけど、濱口さん今まさにそういうルートを辿っているんじゃないかなっていう監督さんなので注目していただきたいんですけどね。濱口監督による3本の短編オムニバスの作品になっています。
3話からなるオムニバスになっていて、知り合いが気になっているという男性が2年前に別れた元彼だったと気付いていく『魔法(よりもっと不確か)』という作品と、50代にして芥川賞を受賞した大学教授に落第させられた男子学生が逆恨みから彼を陥れようと、女子学生を彼の研究室に訪ねさせる『扉は開けたままで』という作品と、仙台で20年ぶりに再会した2人の女性が、高校時代の思い出話に花を咲かせながら、現在の置かれた環境の違いから会話が次第にすれ違っていく『もう一度』という作品。この3つから成っている作品なんですけども、濱口作品の面白いところって、私はね、特有の映画観ていると居心地が悪くなってくるんですよね。なんて言ったらいいんだろう、なんかリアル過ぎて居心地が悪くなるんですよ。自分の人生でもないのに、登場人物の会話っていうのかな、会話と距離感みたいなのがなんかわかってしまって、妙に共感できてしまうっていうのがあると思うんですけど。今回もだからね、この3つの作品…。

上地    どれも気になるタイトルだね。どれもすごく観たくなるよ。

東     そう、そうなんですよ!もうどこの現場にも自分がいるようなリアリティがあって。もうね、早く扉を開けて今すぐここから抜け出したい!って思うような・・・なんだろうな、そういうリアリティがあって。ああ、これだけ会話で、しかも短編で見せるのは濱口さん凄いなと思いまして。ちょっと本当にこれ観ていただきたいですね。世界的にも絶賛されていますので。しかもね、偶然によって・・・もうなんてことない偶然なんですよ、人と人がすれ違うとか。それによってその後の人生が180度変わっていくようなお話なので面白いんですよ、これ。 由真さんは何かそういう偶然的な出来事って、びっくりしたこととか、偶然の再会とかあります?

上地    偶然?私、この東京というこの人がいっぱいいる広い都会の中で、私は奈良出身なんですけど、奈良の友達と何回も会うんですよ。何人も。この間も西武の地下で買い物してたんですよ、スーパーで。そしたら小学校、中学校の時の後輩から声をかけられて。

東     じゃあね、たぶんこの映画観た後はそういう再会した後、ちょっと一歩踏み込んで話してみよう、もうちょっと、「今何やってるの?」って話してみようとなるような、偶然を大事にしたくなってしまうような。でもある種、偶然にちょっと怖い、偶然で起きてしまう出来事がちょっと怖いって思ってしまうような描写もあったりもして。とにかく人間って面白いなあっていうふうに思って、心地よい作品でした。

上地    絶対観に行きます。

東     これ本当に面白かったから。そんな感じで、私がおすすめさせていただいたのは、12月17日から公開の『偶然と想像』です。

上地    今日は「今月のシネマログ」の特別編です。年末年始に観たい映画をご紹介しています。後半は映画雑誌「SCREEN(スクリーン)」の編集長・鹿志村さんにお話をお聞きします。よろしくお願いします。

鹿志村   よろしくお願いします。

上地    お久しぶりですね。

鹿志村   お久しぶりです(笑) 上地    発売になったばかりの最新号でも年末年始の映画を特集されているんですよね。

鹿志村   はい、そうですね。

上地    中でも「これは注目!」という映画はありますか?

12月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ラストナイト・イン・ソーホー」(公式サイトから)

鹿志村   はい。まず一本目は『ラストナイト・イン・ソーホー』という映画なんですが、「SCREEN」の紙面でも1月号で年末年始のイチオシ作品として掲載しております。『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督の最新作ということで、彼はイタリア版タランティーノと呼ばれるくらいの鬼才として名をはせています。第一の着目点として今までの彼の作品で言うと、やはりダメ男を代弁したものとかアクションを主流としたユーモア溢れる作品が多かったんですが、今回は女性を主人公にした、しかもサスペンスということで、果たしてどんなものに仕上がるのかなあというところもありました。先日試写を観てあまりの素晴らしさに、ベネチアでスタンディングオベーションを浴び、評論家からも素晴らしいコメントをいただいている作品なんだということがよくわかりました。

東     鹿志村さん、もう観たんですか?

鹿志村   観ました。

東     うわぁ~、羨ましい!!絶対これを観ると決めています。

鹿志村   そうですね。本当に今年観た作品の中でも上位にくる作品じゃないかと思うし、ここに出てくるトーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイなんかに関しても本当に素晴らしい女優だなと再認識した映画になっています。見どころとしてはいくつかあるのですが、60年代ロンドンのソーホーのセット。例えばエドガー・ライトと言えば劇中の音楽に凝ったものが多いのですが、今回は60年代の極上のレパートリーも含めて、そのカルチャーというものに愛が込められている作品なんだなあということが随所で見られます。

東     60年代のイギリスと言ったら、スウィンギング・ロンドンなんていって…ねえ?

鹿志村   そうですね。まさしく今出た話の中で、たぶん『007/サンダーボール作戦』の上映中の劇場のセットとか、またはロンドンの街並み、ここについては本当にどれも60年代にタイムスリップしたようないい作品になっています。またやっぱり出演者には元ボンドガールのダイアナ・リグも出ています。『007』へのオマージュがかなり多い作品になっているのかなあと気はしています。そういったところでエドガーは次回『007』の監督にも興味を示しているということが発表されました。

東     待ってください、エドガー・ライトが『007』ですか?

鹿志村   そうなんです、だからちょっと驚いてはいるのですが。

東     びっくりですね…。

鹿志村   ある意味、今回の映画を撮ったというところも驚いている一つなので、それについてはあんまりびっくりしないでもいいのかなあという気もしています。

東     なるほど~。なんか彼の作品の中で分岐点になりそうですよね。美女2人を主人公に、って…。

鹿志村   そうですよね、まさしくそういう作品になると思います。簡単に物語を言うと、物語の舞台はロンドンの歓楽街・ソーホー。ファッションデザインを夢見る田舎暮らしの少女エロイーズ、これをトーマシン・マッケンジーが演じております。都会の専門学校に入るのですが、同級生や寮生活に馴染めないといった、よくあるストーリーなのですが、そこで一人暮らしを始めることから彼女の身にいろんな悪夢が降り注いでいく・・・というストーリーになっています。また彼女には誰にも言えない能力があり、そこについて夢の中で出会ったサンディという女性、これをアニャ・テイラー=ジョイが扮しているのですが、その女性と映画の中で身体も感覚もシンクロをさせていく。60年代のソーホーと現代のソーホーをタイムリープしながら、エロイーズ扮するトーマシン・マッケンジーがサンディの壮絶な人生を体験していくという物語になっています。

東     そしてやっぱり私と由真さん的に注目したくなるのは、アニャ・テイラー=ジョイ。由真さん、Netflixの『クイーンズ・ギャンビット』っていうチェスの・・・映画見ていましたよね?

上地    見た!見ました、見ました。

東     あのヒロインの方が今回も、主人公ですよね?

鹿志村   そうですね。

東     ですよね。アニャ・テイラー=ジョイは今、絶対押さえておきたい女優さんですよね。

鹿志村   そうですね。見どころとしては主演のトーマシン・マッケンジー、素晴らしいんですが、夢の中に出てくる女性・サンディを演じるアニャ・テイラー=ジョイは本当に素晴らしい。特に60年代の名曲で『恋のダウンタウン』という曲があるのですが、それをアカペラで歌うんです、劇中で。

東     聞きたいです~!!

鹿志村   もう本当にそれが上手くて。オリジナルを忘れてしまうようなほどということと、やっぱり演技ですね。なかなか難しい演技だとは思うんですけど、狂気に満ちた人生を大胆に演じ切っているというところにすごく好感が持てますね。

東     彼女は本当にこれからも、ものすごく作品が続いていて『スーパーマリオブラザーズ』のボイスキャストに2022年にキャスティングされていたり、あと個人的に楽しみなのは『マッドマックス』のスピンオフ、シャーリーズ・セロンが坊主になったことで話題の“フュリオサ”っていうキャラクターがいるじゃないですか?『フュリオサ』の主人公も決まっているんですよね。一緒に今、彼女の成長を見届けて・・・まだ25歳ですよ、大人っぽいんですけど。

鹿志村   そうですね。本当ですね~。

東     世界的スターになっていく過程を…もうなっているんですけど、見ていくのが楽しみですよね。

鹿志村   そうですね。

上地    楽しみ!続いての作品ありますか?

鹿志村   もう一つはですね、「SCREEN」の読者なんかは本当に好きだな・・・この映画を観て思った作品なんですけど。『ディア・エヴァン・ハンセン』という…。

東     おっ!観ました、私~!

鹿志村   観ましたか?本当にミュージカル大作として、映画としても非常に楽しめる作品だなあという気がします。どんな映画なんだろう?と知らない方はワクワクしてくるようなタイトルなんですけど。実際言わずと知れたブロードウェイを席巻した大ヒットミュージカル。2016年トニー賞で約6部門、グラミー賞では最優秀ミュージカルアルバム賞、そしてエミー賞も受賞した、ミュージカルでは知る人ぞ知る『ディア・エヴァン・ハンセン』を映画化したものとなっています。簡単に物語を説明しますと、日常に支障をきたさない、ただ心身に影響が出てしまう、まさしく友達もいない、家族にも心を開けないといった高校生のエヴァン・ハンセン。これをブロードウェイでも初代エヴァンを演じたベン・プラットが演じております。ある時、彼がセラピーの一環として自分への手紙を書きます。その手紙を同級生のコナー、これをコルトン・ライアンが演じているのですが、彼に持ち去られてしまいます。その手紙には決して知られたくないエヴァンの心の叫びが書かれていた。後日、エヴァンはコナーが自殺したことを知る。その矢先に彼の両親から呼び出され、彼の服から出てきたエヴァンの手紙についてコナーの両親はコナーが書いた遺書だと思う。そこから物語は急速に展開していくといった内容で、亡くなったコナーを悲しむ両親に話したコナーとの思い出、これは作り話なんですけど、思いやりでついた噓が現代の今出てきたSNSを通じて拡散し、彼の人生もコナーの家族も狂わせていく。ただ最後に本当の自分に辿り着くといったストーリーが展開していく、非常に社会性も含んだ映画になっていますけれど、中には本当に音楽もミュージカル映画なので歌とかとてもいい作品になっています。この映画のいいところはとてもわかりやすいというところで、すべての感情を歌で表現できる、すべての出来事に人と人の繋がりは重要であるということを再認識させてくれる、それを共感できるバイブルのような作品に仕上がっているところが、一番のいい映画だなあというところです。

東     ただ楽しいだけじゃなくて、こんなに考えさせられるミュージカル映画って、ちょっと久しぶりだったなという感じで。

鹿志村   そうですね。本当に現代においても問題になっているSNS、いじめ、それを守る術、家族や近所との希薄な関係とか。そしてもう一つ、クラウドファンディングのあり方なども示している。

東     たしかにそれはありますね。

鹿志村   ありますよね。だからそんな社会的な一面も要素として大きく伝えている作品だという気がしました。まあ今、聞いているとね、なんか難しいのかな?という気になりますけど、そうじゃなくて本当に観て感動して涙が出るような素晴らしい映画なので。

東     楽しみですね、どれも。

上地    皆さんご覧になってみてください。そろそろ終わりの時間になってしまいました。「SCREEN1月号」、鹿志村さん、他にどんな内容になっているんですかね?

鹿志村   まあ話には出なかったんですが、この中で一番話したいのは『マトリックス』ですね。新しき世界『マトリックス』がくるということなんですが、これについてもまだまだ何も出てこないというところはあるのですが。映画の予告編の中で一つだけ、モーフィアスから実際前作で、ネオは赤いピルを飲めば真実を知る、で青いピルを飲めば現実に戻れる、というシーンがあるんですけど…。

東     もう最初の最初ですよね。始まりの始まりですよね、『マトリックス』の。

鹿志村   はい。そのシーンを今回は逆になっていましたね。予告編で。ネオは青いピルを飲む、というところから始まる予告編だったので、実際そこが今後の謎解きの一つになるのかなあということと、今回そうなってくると、じゃあ救世主じゃないのか?みたいな話になったんですが、予告編の中でネオとモーフィアスが戦うシーンがあって、その中でネオが「僕は誰だ?」と言うセリフがあるんですけど、そのセリフから紐解くとやはりまた救世主としてネオは戦うんじゃないかっていうところが見えてきます。

東     これ本当に楽しみ過ぎて。『マトリックス』シリーズ、1999年ですよ、初回。私たち13歳ですよ。

上地    ねっ!

東     ね~!私たち共に育ってきた感がありますよね~。こうやってこの年齢になってもどんどん最新作が出てきてくれてめちゃくちゃ嬉しいんですよね。

鹿志村   ある意味、全世界同時ということで。

東     そうなんですよね~。

鹿志村   中を教えてくれてないというか、もどかしいというのはあるのですが。みんな楽しんで、12月17日を過ごしてください。

上地    「SCREEN1月号」は近代映画社より発売中です。ぜひチェックしてみてください。
< 映画雑誌編集長・鹿志村和仁さん、映画ソムリエの東紗友美さんにお越しいただきました。ありがとうございました!

鹿志村・東 ありがとうございました。