「コーダ あいのうた」4人家族で1人健聴者のヒロインの家族愛と歌う夢への挑戦

(2022年1月20日13:10)

「コーダ あいのうた」4人家族で1人健聴者のヒロインの家族愛と歌う夢への挑戦
「コーダ あいのうた」(2022年1月21日(金) TOHOシネマズ 日比谷他、全国ロードショー)( © 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS)( 配給:ギャガGAGA)

両親と兄妹の4人家族の中で1人だけ健聴者のヒロインが、家族を支えながら「歌うこと」を夢見て様々な問題に直面ししながらも乗り越えていこうとするドラマを描いたヒューマンドラマ。ヒロインに「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」(2011年)や「ゴーストランドの惨劇」(2018年)などに出演している英女優エミリア・ジョーンズ。聴覚障害者の両親をマリー・マトリン、トロイ・コッツアー、兄をダニエル・デユラントが演じている。3人は聴覚障害者の俳優。監督は「タルーラ~彼女たちの事情~」(2016年)などのシアン・ヘダー。2021年1月にサンダンス映画祭でワールドプレミアされ、観客賞、審査員賞、監督賞、アンサンブルキャスト賞の4冠を獲得。Appleが同映画祭史上最高額の2500万ドル(約28億6000万円)で配給権を獲得した。2021年8月13日に全米で劇場公開され同時にAppleTV+で配信された。日本は今月21日公開。

■ストーリー

マサチューセッツ州の漁師町で、漁師の父フランク・ロッシ(トロイ・コッツアー)と兄レオ(ダニエル・デュラント)、母ジャッキー(マリ―・マトリン)の3人の聴覚障碍者を支え、早朝から一緒に船に乗り、通訳をしたりしている高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、歌を歌うことが好きで高校のクラブで歌っていた。クラブの顧問のベルナド先生(エウヘニオ・デルべス)は、ルビーの歌の才能を見抜いて、秋のコンサートでマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)とデュエット曲を歌うよう指名。さらには、名門のバークリー音大の受験を勧める。そうしたなか、政府からの通達で漁獲高を制限されることが決まるなど一家に様々な問題が持ち上がり、ルビーはクラブの講習に遅刻しがちになり先生に怒られるなど挫折しそうになるが、兄や先生、仲間に励まされながら夢に向かって進んでいく。

■見どころ

タイトルのコーダ(原題=CODA:Children of Deaf Adults)は、耳の聴こえない両親に育てられた子どもという意味だという。また音楽用語としてはひとつらなりの構成の終結部分を指し、同時に次の新しい構成の始まりでもある。その2つの意味が込められたタイトルになっているようだ。
  エミリア・ジョーンズが、ルビー役で手話を巧みに操りながら家族と話し、夢や悩みや恋を繊細に演じ、さらには圧倒的な歌唱力を見せている。ルビーの家族には実際に耳の聴こえない俳優マリ―・マトリン、トロイ・コッツアー、ダニエル・デユラントの3人が起用された。視覚障碍者のヒロインを演じた「愛は静けさの中に」(1986年)で史上最年少(当時21歳)のアカデミー賞主演女優賞を受賞したマトリンが、父親と兄役に聴覚障碍者を起用することを強く主張して実現したという。その結果、リアルで迫真のドラマになっている。高校のコンサートでルビーとマイルズが歌ったときに、父親のフランクが、ルビーの歌は聞こえないが、周りの観客に受けているのを目で感じて、娘を応援するようになるシーンなど感動的でハートウォーミングな内容になっている。
(2022年1月21日公開)