「さがす」父親の失踪から予想外の展開に発展するサスペンス

(2022年2月1日14:30)

「さがす」父親の失踪から予想外の展開に発展するサスペンス
「さがす」(1月21日(金)よりテアトル新宿ほかで全国公開中)(©2021「さがす」製作委員会)(配給:アスミック・エース)

大阪の下町を舞台に、失踪した父親を探す娘が予想外の事件に巻き込まれてゆくサスペンス。父親に佐藤二朗、娘に伊東蒼のほか清水尋也、森田望智などのキャストで、監督は「岬の兄妹」(2018年)で長編映画デビューした片山慎三。アスミック・エースとDOKUSO映画館による次世代クリエイター映画開発プロジェクト「CINEMUNI(シネムニ)」第1弾作品。第26回釜山国際映画祭 ニューカレンツ(コンペティション)部門に正式出品された。

■ストーリー

大阪の下町でしっかり者の中学生の娘・楓(伊東蒼)と平穏に暮らしていた原田智(佐藤二朗)は、スーパーで万引きして店員につかまり楓が店に行って謝り穏便に済ませてもらうなどダメおやじぶりで楓の手を焼かせていた。ある日「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万円もらえるで」と言い出すが、楓はしょうがないホラ話か冗談だと思って聞き流していたが、父親はその翌日忽然と姿を消してしまう。楓は父親を探し始めるが警察は「大人の失踪は結末が決まっている」とまともに相手にされなかった。それでも必死に父親を探す楓は、父親が犯人を見たという日雇い労働の現場で父親の名前目にする。しかし、その名前の主は見知らぬ若い男(清水尋也)で、しかも連続殺人犯の指名手配の写真の男にそっくりだった。若い男を追跡するうちに楓はとんでもない事件を目撃する。

■見どころ

ダメおやじぶりから失踪後の狂気をはらんだモンスターぶりを見せる主人公・原田智役を佐藤二朗が熱演して濃厚な存在感を見せている。また、宮沢りえ主演の「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)で独特の個性を見せて新人賞を受賞し、NHK「ひきこもり先生」「おかえりモネ」、映画「空白」など話題作への出演が続く女優・伊東蒼が父親を支えひたむきに生きる娘を好演している。さらには指名手配中の連続殺人犯・山内照巳役を清水尋也が狂気をはらんでリアリティたっぷりに演じている。佐藤と清水が繰り広げる嘱託殺人が絡んで「生と死」の境界線を飛び越えてゆく狂気の世界はこの映画のエートスになっており、その飛躍ぶりがこの映画に強烈な個性を与えている。

■片山慎三監督のコメント

「大阪に住む父が指名手配犯を見かけた、という実体験から生まれたオリジナル作品です。商業デビュー作ということもあり、よりエンターテイメントな作品にしたいという気持ちがありました。オリジナルだからこそ立ち帰る場所が常に自分自身でした。自問自答し、自分が作家として試されているような、良い意味での気合いと思いが入っています。本作のワールドプレミアが釜山国際映画祭で迎えられることとなり嬉しく思います。映画を観てどういう反応が返ってくるのか非常に楽しみに思います。ぜひ日本での公開も心待ちにしていてください。」(「さがす」の公式サイトから)
(2022年1月21日より全国公開中)