東京国際映画祭、監督特集で青山真治監督追悼 宮崎あおい、浅野忠信ら登壇

(2022年10 月28日9:00)

東京国際映画祭、監督特集で青山真治監督追悼 宮崎あおい、浅野忠信ら登壇
青山監督をしのんだ、右から浅野忠信、宮崎あおい、中原昌也(25日、都内で)

第35回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now 監督特集」で今年3月に57歳で亡くなった青山真治監督を追悼するイベントが行われ、青山監督の映画に出演した宮崎あおい(36)や浅野忠信(48)らが登壇して撮影中の裏話などを語り合い監督をしのんだ。

青山監督は「EURIKA ユリイカ」が2000年のカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟とエキュメニック賞を受賞。同作の同名ノベライズ小説が第14回三島由紀夫賞を受賞し世界的な評価を集めた。その後「月の砂漠」(2001年)、「レイクサイド マーダーケース」(2004年)、「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」(2005年)、「サッド ヴァケイション」(2007年)、「共喰い」(2013年)、「空に住む」(2020年)などを監督。2022年3月21日、頸部食道がんのために死去した。

今回の追悼特集では「EURIKA ユリイカ」と「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」の2本が上映され、宮崎あおい、浅野忠信らが25日、都内の映画館でトークショーを行った。

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」の上映とトークショーでは、同作に出演した浅野忠信、そして音楽家、映画評論家、小説家など多彩な活動で知られる中原昌也と、同作と「EURIKA ユリイカ」の2本に出演した宮崎あおいが登壇して、青山監督について語った。

■宮崎あおい「私にとって青山監督はお父さんみたいな人」

宮崎は「青山監督と初めて出会ったのが13歳か14歳の時で、まだ子供で、監督は髪の毛も長くて、そんなににこにこしている方という印象ではなかったですね。大人のあまりしゃべらない寡黙な監督っていう印象だったんですけど、それが年を重ねていく中で、あ、監督ってこんなにニコニコ楽しそうにしている方なんだなあっていうのがどんどん印象が変わっていって。今は監督と役者というよりは、お父さんと娘みたいな感覚で。お祝いの席に監督が来てくれた時があってそこで監督と陽一郎さん(「EUREKA」に出演した俳優)が一緒にギターを弾いて歌を唄ってくれて。お仕事とかそういうことを抜きにした私の人生の中でもすごく大事な人。これからも変わらない。私にとって青山監督はお父さんみたいな人です」と青山監督をしのんだ。

■浅野忠信「焼酎を飲まされ二日酔いに」

浅野は「僕はお酒が飲めなくて、監督に聞いたことがあるんです。どういうお酒だったら飲めますかねって。そしたら芋焼酎がいいとか焼酎だったらいいといわれて飲んだんですよ、焼酎を。次の日めちゃくちゃ二日酔いになって、すごい気持ち悪いのが、観てもらえばわかるんですけど草原でギター弾いているシーンです。めちゃくちゃ頭痛くて」と撮影裏話を披露した。

■中原昌也「インテリのジャイアンって呼んでました」

中原は「準主役の中原です「昨日まで出演が決まってなくて、昨日プロデューサーに会って突然出てくれと言われて、こんな華々しい場所に来て緊張してます。もしかして人生のクライマックスかもしれませんね」とジョーク交じりに語った。

宮崎は「お二人がずっとニコニコお芝居をされているのが印象的でした」というと、中原は「それ、俺の演出なんです。監督が怒るまでずっとニコニコしていようって。ここだけまじめにやってと言われたような気がするけど、ずっと勝手にニコニコして洋ってたくらみがあったんですよね、今思い出したけど」と意外なエピソードを明かし、宮崎は「へえ~」と驚いていた。
浅野は「監督は結構真剣にやっていたと思うんですけど、やっぱり、中原さんの勢いに飲まれている部分があったと思いますし、僕は中原さんサイドについちゃったかもしれない、当時は」と笑った。
中原は「2000年あたりで結構一緒に仕事をしていると思うんですよね。怖い印象しかなくて。インテリのジャイアン(「ドラえもん」ののび太の同級生のガキ大将)ってずっと呼んでました」と笑わせな、3人でなごやかに青山監督を追悼した。