「ちひろさん」有村架純が弁当屋さんで働く元風俗嬢の役で新境地

(2023年2月22日15:40)

「ちひろさん」有村架純が弁当屋さんで働く元風俗嬢の役で新境地
「ちひろさん」(©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014)

海辺の小さな町を舞台にお弁当屋さんで働く元風俗嬢のちひろと、周囲の住人たちとの交流や生き様を描いた作品。ヒロインのちひろに有村架純のほか、弁当屋の主人に平田満、その妻でちひろが母親のように慕う多恵に風吹ジュン、風俗店の元店長役にリリー・フランキー。さらに女子高生のオカジ役に豊嶋花、少年マコトに嶋田鉄太、マコトの母親のシングルマザー、ヒトミに佐久間由衣、ニューハーフのバジル役にvan、青年谷口に若葉竜也などの多彩なキャストが脇を固めている。
監督は「愛がなんだ」(2019年)、「アイネクライネナハトムジーク」(同)、「街の上で」(2021年)、「かそけきサンカヨウ」(2021年)、第35回東京国際映画祭で観客賞を受賞した稲垣吾郎主演の「窓辺にて」(2022年)など数多くの話題作を手がける今泉力哉。脚本は澤井香織と今泉力哉。原作はドラマ化されてヒットした「ショムニ」などの漫画家・安田弘之氏の漫画「ちひろさん」(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)。
2023年/日本/132分/製作:Netflix、アスミック・エース/制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア/配給:アスミック・エース

「ちひろさん」有村架純が弁当屋さんで働く元風俗嬢の役で新境地
「ちひろさん」(©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014)

■ストーリー

風俗嬢の仕事をやめて、海辺の小さな町にある弁当屋で働いているちひろ(有村架純)は、風俗嬢の過去を隠すでもなく、感じるまま思うまま自由な風を漂わせながら生きている。自分を色目で見る若い男やホームレスのおじさん、孤独な小学生や女子高生など、誰に対しても分け隔てなく接するちひろに様々な人が集まってきていた。厳格な家族に息苦しさを感じ、学校の友達にもうまく溶け込めない女子高生のオカジ(豊嶋花)、シングルマザーのヒトミ(佐久間由衣)に育てられながらも愛情に飢えている小学生のマコト(嶋田鉄太)。さらには父親との確執を抱えて過去の父子関係に悩む西南・谷口(若葉竜也)たちとご飯を食べたり言葉をかけたり、優しくまた時には素っ気ない言葉をかけながら背中を押してゆく。そしてちひろ自身も、幼い頃の家族との関係から、孤独を抱えて生きていた。母親の死、勤務していた風俗店の元店長・内海(リリー・フランキー)との再会や、入院している弁当屋の店長の妻・多恵(風吹ジュン)との交流などを通じて少しずつ変わってゆく。

「ちひろさん」有村架純が弁当屋さんで働く元風俗嬢の役で新境地
「ちひろさん」(©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014)



■見どころ

優しさと厳しさの両方を併せ持ち、どこか陰がありながらもひょうひょうとして思うままに生きているヒロインのちひろを、有村架純がしなやかにまた繊細に演じて新境地を見せている。そんなちひろと彼女が出会う人たちが繰り広げる人間模様は孤独と癒しの独特の世界が広がる。第58回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞した「映画 ビリギャル」(2025 年)、第45回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した「花束みたいな恋をした」(2021年)など着実に実力派女優として進化を遂げている有村のエポックメイキングな作品になった。また、恋愛映画の旗手といわれている今泉監督が、恋愛とは距離を置く登場人物たちの人間模様を繊細に描いている作品としても注目される。
(2月23日(木・祝)Netflix世界配信スタート&全国劇場にて公開)