「オットーという男」名優トム・ハンクスが嫌われ者の心変わりを熱演

(2023年3月12日12:00)

「オットーという男」名優トム・ハンクスが嫌われ者の心変わりを熱演
「オットーという男」のトム・ハンクス

「フィラデルフィア」(1993年)、「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年)と2年連続でアカデミー賞主演男優賞を受賞している名優トム・ハンクスが、「America‘sDad」(アメリカのパパ)といわれ愛されているパブリックイメージとは正反対の、街で一番の嫌われ者オットーを演じた話題作。フレドリック・バックマンの小説「幸せなひとりぼっち」を原作にした2015年の同名スウエーデン映画のハリウッドリメイク。
オットーの家の向かいに引っ越してきて、オットーに何かと世話を焼こうとするマリソルにメキシコで最も人気があるコメディ女優の一人、マリアナ・トレビーニョ、彼女の夫トミーにマヌエル・ガルシア・ルルフォなどのキャスト。

エグゼクティヴ・プロデュ―サーと監督を務めたのは、ハル・ベリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「チョコレート」(2001年)やジョニー・デップとケイト・ウィンスレットが出演した「ネバーランド」(2004年)、ダニエル・クレイグ主演の「007/慰めの報酬」(2008年)、ブラッド・ピット製作・主演の「ワールド・ウォーZ」(2013年)などのヒット作の監督を務めたドイツ出身の映画監督マーク・フォスター。
ハンクスの妻で女優・シンガーソングライターのリタ・ウィルソンがトムと共に製作に参加して主題歌「Til You’re Home」を手がけた。
アメリカ/英語/原題:Aman Called Otto/126分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント/2022年12月30日NY、LA限定公開、2023年1月13日全米公開、日本2023年3月10日公開

「オットーという男」名優トム・ハンクスが嫌われ者の心変わりを熱演
「オットーという男」オットー㊨とマリソル

■ストーリー

オットー・アンダーソン(トム・ハンクス)は、いつも不機嫌で、曲がったことが大嫌いで、近所をパトロールしてはゴミ出しが正しく分別されているか神経をとがらせ、駐車のルールう守らない人を見つけるとさんざん説教をして、町内の嫌われ者になっていた。そのオットーは最愛の妻に先立たれて孤独で心に闇を抱え、人生にピリオドを打とうとするが、やけに明るく人情家のメキシコ出身のマリソル(マリアナ・トレビーニョ)と夫のトミー(マヌエル・ガルシア・ルルフォ)が向かいの家に引っ越してきて、マリソルが突然家を訪ね来て、実行寸前のところで何度も邪魔されてしまう。オットーとは真逆の陽気でお節介なマリソルは、手料理を持ってきたり、娘たちの子守を頼んだりしてオットーを困惑させるが、マリソル一家と交流するうちにオットーの考えが次第に変化してゆく。

「オットーという男」名優トム・ハンクスが嫌われ者の心変わりを熱演
マリソルの子供の面倒を見るオットー

■見どころ

人と人のつながりやコミュニケーションがいかに大切で素晴らしいものなのかというとてもシンプルなことを、名優トム・ハンクスがリアルにそして深みのある演技で描いて見せる。また、深い喪失からの復活劇でもある。
トムとソーニヤ役のケラーのコンビが絶妙だ。ケラーは「年老いたオットーの生活に欠けている、生き生きとした魔法のような存在を作り上げることができました。彼女は自信に満ち溢れています。オットーはそこに惹かれるんです。明るく楽しい彼女に心底惚れてしまうんです」と語っている。

「オットーという男」名優トム・ハンクスが嫌われ者の心変わりを熱演
トムとの絶妙な共演を見せるマリソル役のマリアナ・トレビーニョ

トム・ハンクスは「我々の人生の空白を埋めてくれるのは、お互い、つまり自分達であり隣人です」と語る。「たとえ嫌い合っていても、たとえ文化、宗教、立場、政治信条がまるで違っていても、遅かれ早かれ彼らは君の助けを必要としますし、君も彼らの助けが必要なときが来ます。ラジエーターの空気抜きのやり方が分からなかったら、誰に頼りますか?竜巻に見舞われたとき、まずどんなことが起きるでしょうか?隣人たちがやってきます。チェーンソーやU-Haul(レンタルトラック)と一緒にね。『オットーという男』は、そういうことを見せています。コミュニティや家族を描いた映画なんです。」
(2023年3月10日から全国公開中)