「ティル」黒人少年エメット・ティル惨殺事件と正義を求めた母親の不屈の闘い

(2023年12月14日11:30)

「ティル」黒人少年エメット・ティル惨殺事件と正義を求めた母親の不屈の闘い
「ティル」

1955年に米ミシシッピ州マネーで実際に起きた黒人少年エメット・ティル殺害事件と母親の正義を求めた闘いを描いた実録映画。アフリカ系アメリカ⼈による公⺠権運動を⼤きく前進させるきっかけとなった同事件を題材にして初めて劇映画化した。一人の母親の闘いは20世紀の公民権運動、21世紀の#Black Lives Matter(黒人の命も大切)運動の源流となり、2022年3 月には「エメット・ティル反リンチ法」が成立した。

製作には出演も兼ねた「天使にラブソング」などで知られる女優のウーピー・ゴールドバーグや、『007』シリーズのプロデューサー、バーバラ・ブロッコリらが名を連ねる。同作は世界の主要60映画祭で86部⾨にノミネートされ21部⾨を受賞した。

母親のメイミー・ティルを演じたダニエル・デッドワイラーは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテ ライト賞など数々の映画賞で⼥優賞を受賞。映画批評サイトのロッテントマトで批評家 96%、観客 97%の⾼スコアをたたき出した話題作。

「ティル」黒人少年エメット・ティル惨殺事件と正義を求めた母親の不屈の闘い
「ティル」黒人少年エメット・ティル惨殺事件と正義を求めた母親の不屈の闘い
「ティル」黒人少年エメット・ティル惨殺事件と正義を求めた母親の不屈の闘い

製作︓ウーピー・ゴールドバーグ、バーバラ・ブロッコリ
監督・脚本︓シノニエ・チュクウ
出演︓ダニエル・デッドワイラー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェイリン・ホール、ショーン・パトリック・トーマス、ジョン・ダグラス・トン プソン、ヘイリー・ベネット
2022 年/アメリカ/シネマスコープ/130 分/カラー/英語/5.1ch/原題『TILL』/字幕翻訳︓⾵間綾平/PG-1/配給:パルコ ユニバーサル映画 
© 2022 Orion Releasing LLC.All rights reserved.
公式Xアカウント:@TILL_MOVEI1215
12月15日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

■ストーリー

1955 年、イリノイ州シカゴ。夫が戦死して以来、空軍で唯⼀の⿊⼈⼥性職員として働くメイミー・ティル(ダニエル・デッドワイラー)は、⼀⼈息⼦で14歳のエメット、愛称ボボ(ジェイリン・ホール)と平穏な⽇々を送っていた。しかし、エメットが初めて⽣まれ故郷を離れ、ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れた際に悲劇は起こる。エメットが飲⾷雑貨店で⽩⼈⼥性キャロリン(ヘイリー・ベネット)に向けて「⼝笛を吹いた」ことが⽩⼈の怒りを買い、同年8⽉28⽇、彼は⽩⼈集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺されて川に投げ捨 てられた。我が息⼦の変わり果てた姿と対⾯したメイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある⼤胆な⾏ 動を起こす。そんな彼⼥の姿は多くの⿊⼈たちに勇気を与え、⼀⼤センセーションとなって社会を動かす原動⼒となっていく――。

■見どころ

陽気で屈託がない14 歳の⿊⼈少年エメット・ティルは誰にも愛される少年のはずだったが、1950年代の黒人差別が特に激しいミシシッピ州の雑貨店で店主の妻の白人女性に気軽に口笛を吹いてみせただけで、白人たちの集団にさらわれて凄惨なリンチを受け殺害され遺体を川に捨てるという実際にあった黒人差別の狂気と、それに立ち向かった母親の息子への愛と誇りを懸けた闘いを真正面から描いている。息子の無残な遺体と対面した母親のメイミーが敢然とマスコミに息子がリンチを受けて殺害されたことを訴え、正義を求めていく姿をダニエル・デッドワイラーが熱演して圧倒的な存在感を見せている。メイミーの行動はセンセーショナルに報道され社会を動かし、黒人たちに勇気を与えていくドラマはドラスティックに展開して見る者の胸を打つ。⾃由と⼈権を求めて世界を変えた母親の勇気と誇りを懸けた行動は、やがて「公民権運動」「#Black Lives Matter」運動へと引き継がれていく源流となったとされる。そしていまだに差別が無くならない今の世界に問いかけている。
シノニエ・チュクウ監督は「私は視聴者がこの物語に共感し、私たちの現在の文化的、政治的現実を知ることを望んでいます。そして、メイミーの物語が、私たち自身の中にある、この国のために戦い続ける力に気づくきっかけになればと願っています」とコメントしている。