「ボーはおそれている」ホアキン・フェニックスが奇想天外な帰省の旅を怪演

■見どころ

ホアキン・フェニックスが異次元の演技で奇想天外の旅をする男の体験を狂気をはらんで、はたまたスラップスティック風にシュールに怪演している。子宮の中とみられる暗闇の中からわずかにのぞく外界の光、そして轟音の中で世界へと出てゆく冒頭のボーの出生シーンから度肝を抜かれる。「落としたでしょう。泣いてないわ」という母親の声が聞こえてから、間もなく泣きだして、そのカオスぶりやホラー、ブラックな笑いはこの映画の主旋律のようにだ。そうしたドタバタぶりが最後まで続く悪夢のような展開に驚かされ翻弄されるコメディ・サスペンスといったところか。
不安と恐怖に悩まされカウンセリングを受けているボーは、いきなり部屋のドアの下から「音がうるさい」と身に覚えがないクレームの手紙を差し込まれる。父親の命日に母親がいる実家に帰省しようとして、キャリーバッグに服を詰め込んで外に出ようとするが、忘れ物を取りに部屋に戻ると、今度はバッグとドアに差し込んだままにしていた部屋の鍵が何者かに盗まれるなど大混乱になる。風呂に入っていると天井から男が降ってきて恐怖で全裸のまま外に飛び出し、車に轢かれて意識を失い、見知らぬ家のベッドで目が覚めて…そして母親が怪死、迷い込んだ森の中で出会った演劇グループが演じていた芝居が自分の一生だったりと、次から次へと目まぐるしく起きるブラックな笑いもちりばめられた怪奇で予測不能の展開の連鎖は「ミッドサマー」を思い起こさせるが、本作はホアキン・ファニックスの極限の怪演でさらに複雑怪奇にパワーアップして、一つ一つのシチュエーションがあり得ない展開の連続に圧倒されて目が離せなくなる。

■マーティン・スコセッシ監督らが絶賛

「キラース・オブ・ザ。フラワームーン」のマーティン・スコセッシ監督らが絶賛のコメントを寄せている。「現代にはこんなレベルの映画を作れるフィルムメイカーはほとんどいない。ファーストカットは、最高にゾッとしたよ！」とスコセッシ監督。「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督は「傑作だ！過去に見た中で一番圧倒された作品」。「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督は「驚異的な作品！アリ・アスターらしさ全開！ユーモアと悪夢が共存し、自由気ままな反面、緻密に描かれている傑作！」。「ラ・ラ・ランド」「哀れなるものたち」のエマ・ストーンは「恐怖が永遠に続くのにめちゃくちゃ笑えるし、ボーに共感してしまう。この映画が大好き。本当に傑作だと思う！」と称賛した。

【クレジット】
監督・脚本：アリ・アスター
出演：ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、パーカー・ポージー、パティ・ルポーン
配給：ハピネットファントム・スタジオ　原題：BEAU IS AFRAID
© 2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
公式HP： https://happinet-phantom.com/beau/
公式twitter：@beau_movie　#ボーはおそれている
2023年/アメリカ映画/上映時間：179分
配給：ハピネットファントム・スタジオ｜R15+｜
2024年2月16日(金)全国公開