第17 回アジア・フィルム・アワード 濱口竜介監督「悪は存在しない」が作品賞 是枝裕和監督が2年連続で監督賞 役所広司は主演男優賞

(2024年3月12日10:30)

第17 回アジア・フィルム・アワード  濱口竜介監督「悪は存在しない」が作品賞 是枝裕和監督が2年連続で監督賞 役所広司は主演男優賞”
2年連続で監督賞を受賞した是枝裕和監督

アジア全域のアカデミー賞として知られる第17回アジア・フィルム・アワードの授賞式が10日、香港の戯曲センターで開催され、濱口竜介監督の「悪は存在しない」が作品賞を受賞した。また是枝裕和監督が「怪物」で2年連続の監督賞を受賞。「PERFECT DAYS」の役所広司が主演男優賞を受賞した。

昨年の韓国映画「ベイビー・ブローカー」に続き、「怪物」で2年連続で監督賞の受賞となった是枝監督は、「尊敬する黒沢清監督からこのようなトロフィーを頂くなんて、本当に光栄です。出会う才能ということで言えば、今回は坂元裕二さんという尊敬する脚本家の方の素晴らしい脚本があって、もう20年近く一緒に仕事をしている美術の三ツ松けいこさんが、今日一緒にスタッフを代表してここに来ていただきました。そんなスタッフとキャストと出会えたことが、この賞を頂けた一番大きな僕の才能ではないかと思います。昨年に続いてこの壇上に立たせていただくことができて、本当にうれしいです。来年は、作品はないのですが、ノミネートされていなくても、またこの場で映画を愛する皆さんとこの時間を共有できたらうれしいです。ありがとうございました」と語った。

濱口監督はスケジュールの都合で欠席したため、監督に代わり、高田聡プロデューサーと石橋英子さんがコメントを述べた。
高田聡プロデューサーは「私たちの映画にこのような非常に光栄な重みのある賞を頂きまして、代表してまずは感謝を申し上げます。同じくノミネートされた撮影の北川喜雄さん、共同編集の山崎梓さん、またこの映画に関わったすべての皆さん、おめでとうございます。そして、この場に残念ながら来ることができなかった濱口竜介監督、そして濱口監督に一番最初にこの企画の話を持ってきて、素晴らしい音楽で共同制作をされた石橋英子さん、おめでとうございます」と語った。
石橋さんは「濱口監督が来ることができなかったのは残念です。でもこうやって、撮影の北川さんや編集の山崎さん、今もしかしたら日本で見ているかもしれない主演のおおみかさん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当に皆さんの力のおかげでできました。もちろん、ミュージシャンの皆さん、ミックスをしてくださったジム・オルークさん、本当に皆さんのおかげで、今こうやって、私たちはここに来られて、楽しい時間を過ごせていると思っています。ありがとうございました。関わった全ての皆さんのおかげ。ミュージシャンの皆さんもありがとう」と語った。

「PAREFECT DAYS」で主演男優賞の役所は、同作が第96回アカデミー賞の長編国際映画賞にノミネートされてロサンゼルスに滞在中で欠席した。アカデミー賞では受賞を逸した。

また、アカデミー賞で日本映画初の視覚効果賞を受賞する快挙を成し遂げた「ゴジラ-1.0」が特殊効果賞と音響賞を受賞した。
さらに、優れた才能を持つ映画人にスポットを当てアジア映画界、アジア文化における業績と貢献を称える「Excellence in Asian Cinema Award」に選ばれた鈴木亮平は、英語でピーチ。「ここに来ることができて本当にうれしいです。とりわけ、著名なイ・ヨンエさんと一緒にここに立つことができて、とても光栄です。偉大な映画監督、偉大な映画プロデューサー、映画製作者、偉大な俳優、アジアの伝説の俳優たち、皆さんの前に立つことができて、本当に光栄に思っています」と喜び、「このイベント、この大きなイベント、AFAの素晴らしいところは、皆さんに出会い、新しい人たちに出会い、アジア各地の映画制作者と出会い、語り合い、学びあうことだと私は考えています。そして願わくは、今後一緒に新しいプロジェクトを始めたい。今日、あるいは今夜が、未来の新しいプロジェクトの始まりになるかもしれません。そして、いつか一緒に映画を作れることを本当に願っています。なぜなら、"私たちは一緒に物語を紡ぐ(Together we tell story)"からです」(和訳)と述べた。「Together We Tell Story」は今年のAFAのテーマ。

■第17 回アジア・フィルム・アワード 主な受賞

作品賞   「悪は存在しない」(濱口竜介監督)
監督賞   是枝裕和(「怪物」)
主演男優賞 役所広司(「PARFECT DAYS」)
主演女優賞 ジアン・チンチン(「満江紅(マンジャンホン)」
助演男優賞 パク・フン(「12.12:The Day」)
助演女優賞 レイチェル・リョン(「白日の下」)
新人監督賞 ニック・チェク(「年少日記」)
新人俳優賞 テルゲル・ボルドエルデネ(「シティ・オブ・ウインド」)
脚本賞   濱口竜介(「悪は存在しない」)

[アジア・フィルム・アワード】
主催:アジア・フィルム・アワード・アカデミー。2007年に創設されたアジア映画を対象とした映画賞。東京国際映画祭は2013年より、香港国際映画祭、釜山国際映画祭と共にアジア・フィルム・アワード・アカデミーを創設し、アジアの映画業界と連携し、その年のアジアの映画人を表彰しスポットライトを当てることでアジア映画ファンの創出、世界へのアジア映画の振興、文化交流を図っている。
アジア・フィルム・アワード公式サイト:http://www.afa-academy.com