山中瑶子監督「ナミビアの砂漠」国際映画批評家連盟賞を受賞 第77回カンヌ国際映画祭

(2024年5月26日21:15)

山中瑶子監督「ナミビアの砂漠」国際映画批評家連盟賞を受賞 第77回カンヌ国際映画祭
国際映画批評家連盟賞を受賞した山中瑶子監督(カンヌ国際映画祭の授賞式で)

第77回カンヌ国際映画祭の「監督週間」に出品された山中瑶子監督(27)の映画「ナミビアの砂漠」が国際映画批評家連盟賞を受賞した。女性監督としては最年少での受賞の快挙となった。

国際映画批評家連盟賞は、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)によって選ばれ、1946 年から授与されている賞で、過去にはヴィム・ヴェンダース監督『さすらい』(76)、『パリ、テキサス』(86)、スティーヴン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』(89)、ケン・ローチ監督『リフ・ラフ』(91)、『大地と自由』(95)、アキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』(11)など、世界の名匠たちの作品も受賞している。

日本映画としてはこれまで小栗康平監督『死の棘』(90)、諏訪敦彦監督『M/OTHER』(99)、青山真治監督『EUREKA』(00)、黒沢清監督『回路』(01)、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』(21)と5作品が受賞。『ナミビアの砂漠』の受賞は、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』に続く快挙となった。(※()は受賞年) <br><br> 「ナミビアの砂漠」は現地時間17日、上映されフランスのリベラシオン(Libération)紙は「間違いなく素晴らしい作品」と絶賛。また、「俳優たちの的確な演技に支えられた魅力的な作品」-Letterboxd(フランスのレビューサイト)、 「生々しくダイナミック。若き映画人にふさわしい作品」-FilmVerdict など、続々と高評価なレビューがあがっていた。

国際映画批評家連盟は「21世紀の日本を生きる登場人物たちの間に絶え間なく存在する距離を捉え、それらのイメージを通して、現代における神経多様性を大胆不敵に探究している」と受賞理由について明らかにした。

山中監督は19歳の時に撮影、初監督した『あみこ』(2017)がPFFアワードで観客賞を受賞。その後第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されるなど国際的にも注目されている子。

25日(現地時間)に行われた授賞式には山中監督が登壇し、「パリに旅行に行っていたのですが、こんなにすぐにまた再びカンヌに戻って来られるとは、うれしいです。そしてとてもびっくりしています」としたうえで、「このような賞をいただきありがとうございます。監督週間、そして私の映画のスタッフ、キャストのみなさんに感謝を伝えたいです。映画を作るとき、まだ感覚に頼るところが大きいのですが、いっぱい勉強して、もっとうまく映画を作れるようになりたいです。まず自分のことを大切にしてから、次に周りの人、そしてそれが全くの他人に届くように、日々優しくありたいです。ありがとうございます」と受賞の喜びを語った。

山中監督は授賞式後に囲み取材に応じて「今回の映画は、ジャン・ユスターシュ監督の『ママと娼婦』に影響されて作ったところがあるのですが、『ママと娼婦』もコンペティション部門ではありますが同じ賞をもらっていますし、日本の監督でも私の尊敬する方たちがいただいてきた賞なのですごくびっくりしています。受賞が決まった時に、グループLINEで、『批評家(連盟賞)だ!』とキャストたちに送ったのですが、本当にみんなで称え合いたいと思っています」と語った。

山中瑶子監督「ナミビアの砂漠」国際映画批評家連盟賞を受賞 第77回カンヌ国際映画祭
カンヌでの㊧から寛一郎、河合優実、山中瑤子監督、金子大地

主演の河合優実は「本当に本当におめでとうございます!これまで国際批評家連盟賞に名を連ねてきた素晴らしい作品たちに『ナミビアの砂漠』がならぶこと、言葉にし難い嬉しさです!この映画を発見してくれたカンヌ国際映画祭と、この度賞を授けて下さった審査員の方々、そして改めて、この作品に力を貸してくれた全ての人にいま最大限の感謝をしたいです。これを最高のプレゼントとして、これから私たちの映画が世界中に自由に羽ばたいていきますように!」とコメント。

金子大地は「山中監督、そしてこの映画に関わった全ての方々、受賞、おめでとうございます!本当に嬉しいです。先日のカンヌ映画祭登壇の興奮がいまだに醒めない中、こんな嬉しい報告を聞くことができて幸せです。このチームで作品を作れた喜びを改めて噛み締めています。日本での公開、どうぞ楽しみにしていてください。多くの方に今作が届くことを願っています」とコメントした。

寛一郎は「受賞おめでとうございます!カンヌに行けるだけではなく、賞までいただけるとは…。すごくいいチームで作れた作品だと映画祭を通して再認識しました。そんなチームで作った作品が、こうやって顕著に結果として現れてくれたこと、とても名誉なことだと思います。山中監督おめでとうございます」とコメントを寄せた。
『ナミビアの砂漠』は今年の夏に日本で公開が決定している。 <br><br>【あらすじ】
21歳のカナ(河合優実)にとって、将来のことを考えるのはあまりに退屈で、自分が人生に何を求めているのかさえわからない。何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶしだ。同棲している彼氏のホンダ(寛一郎)は、家賃を払ったり料理を作ったりしてカナを喜ばせようとする。しかし、自信家のクリエイター・ハヤシ(金子大地)との関係を深めていくうちに、カナは彼を重荷に感じ始める。

【クレジット】
監督・脚本:山中瑶子
出演:河合優実 金子大地 寛一郎
新谷ゆづみ 中島歩 唐田えりか 渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島空 堀部圭亮 渡辺真起子
製作:『ナミビアの砂漠』製作委員会
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会
公式サイト happinet-phantom.com/namibia-movie
公式X   @namibia_movie
2024年公開