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映画
「ボレロ 永遠の旋律」 不朽の名曲「ボレロ」をめぐるラヴェルの栄光と懊悩
(2024年8月8日13:30)
パリ・オペラ座で初演されて以来100年近く、時代と国境を越えて愛され続けている不朽の名曲「ボレロ」の誕生秘話を描いた「ボレロ 永遠の旋律」が9日からTOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショーとなる。
1928年、スランプに陥っていたフランスの作曲家モーリス・ラヴェルは苦闘の末、傑作「ボレロ」を作り上げ、世界的に大ヒットする。音楽史上最も成功した名曲といわれる同曲の誕生をめぐる数奇なドラマや、天才ラヴェルの生き様、孤高の作曲家魂を描いた本格的な音楽映画。
監督は『ドライ・クリーニング』でヴェネチア国際映画祭の金オゼッラ賞に輝き、『ココ・アヴァン・シャネル』や『夜明けの祈り』でセザール賞にノミネートされたフランスを代表する実力派アンヌ・フォンテーヌ。
主人公ラヴェルを演じるのは、デビュー作『黑いスーツを着た男』(12)でアラン・ドロンの再来とフランスメディアに絶賛され旋風を巻き起こしたラファエル・ペルソナ。繊細かつ病弱なラヴェルがその才能を振り絞って音楽を生み出す姿を、⻘い炎のごとく表現した。
ラヴェルのミューズにして魅惑的なミシアには『ベル・エポックでもう一度』でセザール賞主演女優賞にノミネートされたドリヤ・ティリエ。イダには自身もダンサーとしても活躍、『バルバラ〜セーヌの黑いバラ〜』でセザール賞主演女優賞を受賞したジャンヌ・バリバール。また、ミシアの弟でラヴェルを温かく支え続けるシパに、『ダリダ〜あまい囁き〜』のヴァンサン・ペレーズが扮している。さらに、ヨーロッパを代表するピアニストの一人であるアレクサンドル・タローが、本作のサウンドトラックのピアノを担当すると共に出演も果たした。
そして、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「ボレロ」に加え、「亡き王女のためのパヴァーヌ」「道化師の朝の歌」などの名曲をアレクサンドル・タローが披露、ラヴェルの今なお輝く多彩な音楽が観る者を魅了する。さらに、元パリ・オペラ座のエトワール、フランソワ・アリュが、生命力が爆発するような跳躍で踊るエンディングの「ボレロ」も見逃せない。
【STORY】
1928年、狂乱の時代のパリ。深刻なスランプに苦しむモーリス・ラヴェルは、ダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエの音楽を依頼されたが、一音もかけずにいた。失った閃きを追い求めるかのように、過ぎ去った人生のページをめくる。戦争の痛み、叶わない美しい愛、最愛の母との別れ。引き裂かれた魂に深く潜り、すべてを注ぎ込んで傑作「ボレロ」を作り上げるが──。
【見どころ】
クロード・ルルーシュの「愛と悲しみのボレロ」(81)のクライマックスシーンで、モーリス・ベジャール振り付けによるジョルジュ・ドンのバレエのボレロは秀逸だったが、バレエ公演だけでなく映画やドラマで登場するボレロが、どのようにしてラヴェルによって生み出されたかの過程を詳細に、リアル描いていて、濃密なドラマになっている。孤高な芸術家にして時にエキセントリックで、閃きの中から稀有の楽曲を生み出していく旋律の魔術師ラヴェルを、ラファエル・ペルソナが繊細にリアルに演じて圧倒的な存在感を見せている。完成した「ボレロ」を依頼主のダンサーのイダが踊るエロティックな踊りに曲と違うと激高するが、初演では観客がスタンディングオベーションになり、大ヒットしていく過程なども興味深い。ラヴェルのミューズとなるミシアとの関係や、最愛の母の死、ラヴェルを支える友人や使用人とのエピソードもラヴェルの一面を描き出す。そしてブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏により「ボレロ」がスクリーンに蘇る。
【クレジット】
監督:アンヌ・フォンテーヌ(『ココ・アヴァン・シャネル』『夜明けの祈り』)
出演:ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール、ヴァンサン・ペレーズ、エマニュエル・ドゥヴォス
配給:ギャガ
原題:BOLERO|121分|フランス|カラー|シネスコ|5.1chデジタル|字幕翻訳:松岡葉子|映倫G
©2023 CINÉ-@-CINÉFRANCE STUDIOS-F COMME FILM-SND-FRANCE 2 CINÉMA-ARTÉMIS PRODUCTIONS
公式HP:gaga.ne.jp/bolero公式X:@公式Instagram
8月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開