-
映画
映画「海の沈黙」舞台挨拶付き先行上映 倉本聰、若松節朗監督、本木雅弘、小泉今日子らキャスト登壇
(2024年11月1日11:30)
倉本聰原作・脚本、若松節朗監督、本木雅弘主演の新作映画「海の沈黙」(11月22 日公開)の舞台挨拶付き先行上映が10月31日、都内で行われ、倉本氏、若松監督、本木をはじめ小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオル、佐野史郎、菅野恵ら豪華キャストが登壇した。
本作は「前略おふくろ様」「北の国から」「やすらぎの郷」など数々の名作を手がけてきた巨匠・倉本聰が長年にわたって構想し、「どうしても書いておきたかった」と語る渾身のドラマを、『沈まぬ太陽』や『Fukushima 50』などを手がけた若松節朗がメガホンをとり映画化した。
北海道・小樽を舞台に、人々の前から姿を消した天才画家が秘めてきた想い、美と芸術への執念、そして忘れられない過去が明らかになる時、至高の美と愛の全貌がキャンバスに描きだされる。
孤高の画家・津山竜次を本木雅弘が演じ、小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオル、清水美砂、菅野恵、萩原聖人、村田雄浩、佐野史郎、田中健、三船美佳、津嘉山正種が共演。日本映画界の豪華キャストが集結した作品。
本作で 32 年ぶりの共演を果たした本木と小泉が演じるのは、30 数年ぶりに再会するかつての恋人同士の役。手を取り合って客席通路からステージに登壇。続いて俳優陣、監督、倉本も続々と壇上に登壇した。
ある事件を機に人々の前から姿を消した天才画家 ・津山竜次を演じた本木は「こうして公開に先駆けてお披露目できることを嬉しく思います。僕にとって初めての倉本聰作品という光栄なお誘いでしたが、役者として、もがくばかりの日々でした。それでも若松監督、スタッフ、小泉さんや中井さんに救われ包容力に助けられ、なんとか出来ました」と胸を張って挨拶した。
原作・脚本の倉本は「やっと完成しました。演技者が素晴らしい。これだけ凄い人たちが集まってくれて感激しています。ゆっくりご覧になってください」と観客に語り掛けて、「よく完成したなと思った」と感慨もひとしおだった。
世界的な画家であり、安奈の夫・田村修三役の石坂とは『ラストソング』(1994)以来約 30 年ぶりの共演という本木。「約 30 年前なので僕は 20 代。そんな距離感だったものが本作では画壇で同期のような役。自分のキャリアでそんな瞬間が来るとは思わなかった。(メイクや芝居で)必死に老けました」と振り返ると、石坂は「私も必死に若返ろうとしたのに本木さんはどんどん老けて」と笑わせた。
津山竜次のかつての恋人・田村安奈を演じた小泉は、倉本の脚本に触れて「説明的な無駄なセリフがない中で、少ないセリフでどのように情感を乗せればいいのかを考えたり演じたりするのが楽しかった」とニッコリ。
小泉を「40 年来の同志」と表す本木は「倉本作品というエベレストの頂きを目指すには小泉さんの胸を借りたいという気持ちがあった。そして小泉さんとの共演はこれまで仕事を続けてきた事へのご褒美のようなありがたさがあった」と喜んでいた。
一方の小泉も「変わっていないと言えば変わっていない。16 歳からいまだに自己肯定感が低い。いつも悩んで反省ばかり。だからこそこういう役が出来る。私みたいにざっくりしているとできません」と本木の変わらぬストイックさに目を細めていた。
竜次に仕える謎のフィクサー・スイケン役の中井は、倉本とは『波の盆』(1983)からの付き合いで「倉本先生から美に対する違和感に対するお話を聞いていたので、ついにそれを映画化する時が来たのかと思った」としみじみ。
一方、美術鑑定の権威・清家役の仲村は「小泉さんとは 20 年前に夫婦役で共演していて、その時も小泉さんには忘れられない人がいるという設定だった。さらに(現在放送中のドラマ)「団地のふたり」では僕が小泉さんの初恋相手なのに、小泉さんはそれを忘れているという設定。なかなか僕らは上手くいかないなあ」とぼやいていた。
文部大臣・桐谷役の佐野は「なぜ私が!と驚いたのが正直なところ。自分は場違いではないかと思ったけれど、脚本を読んで納得しました」とニヤリ。また、倉本伝説のひとつとして 「一字一句脚本通りに言わせる」というものがまことしやかにささやかれていたが、これを撮影前に直接倉本に確認したという本木。「倉本先生は、それは噂の独り歩きだと仰って。解釈がずれていなければご自分の感じたようにおやりになればよろしいと言われた」と証言すると、佐野は「しまった~!台本通りに、てにをはを間違えずに言ってしまった~」と冗談を飛ばしていた。
小樽のバーに勤め、竜次とスイケンと交流する女性・あざみ役の菅野は映画初出演。「倉本先生の映画に出られるチャンスはそうないぞと。『やるか?』と言われて『やります!』と出演させていただきました」と元気はつらつ。
倉本作品 2 回目の若松監督は「倉本さんには怖い印象があって、シナリオには間だとか音楽の入るタイミングまで書いてある。しかし今回はとても優しい倉本さんでした」と舞台裏を紹介すると、倉本は「誤解されていますねえ!僕みたいにこんなに優しい人間はいません」と柔和な表情だった。
さらに、本木と小泉が演じる、30 数年ぶりに再会する元恋人同士の物語にちなんで「30 数年ぶりに再会した元恋人に会ったら何と声をかけるか?」を聞くと、小泉は「普通に『元気だった?』と聞く」、本木は「あ~...誰?」と意外とドライだった。佐野は「変わらないね」、菅野は「ヤッホー!」、仲村は「声をかけないと思う。会釈くらいかな」、中井は「ゆっくり目をそらすか、ハグするか...」、石坂は「健康について聞いたりするかな」と笑わせた。そして倉本は「越前の方で昔芸者だった人が旅館の女将になっていて...。僕は忘れていたのだけれど、向こうが両手をついて 『おはるかぶりでございました』と言われたときは痺れた。それは時間を距離に変えての言葉で、このような日本語は良いなとゾクッときた」と実体験エピソードを話して、小泉を 「素敵...」とウットリさせ、会場からも拍手が巻き起こっていた。
【STORY】
世界的な画家、田村修三の展覧会で大事件が起きた。展示作品のひとつが贋作だとわかったのだ。連日、報道が加熱する中、北海道で全身に刺青の入った女の死体が発見される。このふたつの事件の間に浮かび上がった男。それは、かつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、突然人々の前から姿を消した津山竜次だった。かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻・安奈は北海道へ向かう。もう会うことはないと思っていた竜次と安奈は小樽で再会を果たす。しかし、病は竜次の身体を蝕んでいた。残り少ない時間の中で彼は何を描くのか? 何を思うのか? 彼が秘めていた想いとは?
【CREDIT】
出演:本木雅弘 小泉今日子 清水美砂 仲村トオル 菅野恵 / 石坂浩二
萩原聖人 村田雄浩 佐野史郎 田中健 三船美佳 津嘉山正種 中井貴一
原作・脚本:倉本聰
監督:若松節朗
製作:曵地克之
プロデューサー:佐藤龍春
アソシエイトプロデューサー:谷山一也 増子美和 中村和夫 牛田直美
音楽:住友紀人 絵画協力:高田啓介 企画協力:フラノ・クリエイティブ・シンジケート
製作会社:インナップ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD
公式HP:https://happinet-phantom.com/uminochinmoku/
公式X:https://x.com/uminochinmoku
11月22日(金)全国公開