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映画
「リュミエール!リュミエール!」蘇る映画の原点“シネマトグラフ”が映し出す世界
(2024年11月21日21:00)
映画「リュミエール!」(2017年)の続編で、新たなリュミエールの作品群をまとめた長編映画「リュミエール!リュミエール!」が、映画誕生から130年後の現在、新たに完成して、22日から東京・銀座のシネスイッチ銀座ほか全国順次公開になる。
前作『リュミエール!』は、2017年1月25日、フランス国内の映画館45館で公開され、13万人6千人を動員、世界では日本(2017年10月28公開)を含む33か国以上で公開され、映画ドキュメンタリーとして大成功を収めた。その続編である新たなリュミエールの作品群をまとめた作品が長編映画『リュミエール!リュミエール!』(英題:“LUMIÈRE! THE ADVENTURE CONTINUES”)。
監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーションを務めるのは、前作同様、リヨンにあるリュミエール研究所所長、カンヌ国際映画祭総代表、ティエリー・フレモー氏。本作は前作同様、リュミエール作品のみをつなげたドキュメンタリーであり、これらの魅力あふれる“映像”が映画全体を構成している。
リュミエール映画は、1895年の『工場の出口』から始まり、1905年まで続く史上初の映画作品であり、全部で約1400~1500本存在する。この豊富な作品の中から、110本が厳選され、完璧な修復が施され、その魅力がフレモー氏の解説と共に紹介されていく。
本作は、リュミエール兄弟の代表的な作品をより深く考察することができる構成となっている。そして、前作では世界的に有名な作品が取り上げられたのに対し、本作では、これまで全く知られていない珍しい作品など、世界初お披露目となる作品等も紹介している。これらの作品の多くは、極めて優れた想像力、独創性、技術的な斬新さを示し、被写体はより珍しく、より特異であり、映像は最高品質の素材から作られた素晴らしいものとなっている。
さらに、フレモー氏の解説は、これらのあまり知られていない映像を、より詳細な歴史的観点から、そして哲学的・美学的観点から探求している。 例えば、当時の映像における、優れた技術を強調する一方で、スケール、芸術的意図、映画的視点について、 リュミエール兄弟の作品に深く思いを馳せている。
1895年12月28日パリ、ルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟が発明した“シ ネマトグラフ”で撮影された映画『工場の出口』、『水を撒かれた散水夫』等が 世界で初めて有料公開された。全長17m、幅35mmのフィルム、1本、約50 秒、演出、移動撮影、トリック撮影、リメイクなど数多くの撮影技術を駆使した作品は、その当時の人々を歓喜させ、心を動かした。1895年から1905年 の10年間にリュミエール研究所によって製作された作品は1422本。“シネマトグラフ”は、動く写真を理想とし、撮影し、現像し、そして上映できる 画期的装置。当時専属の撮影=上映技師(カメラマン)たちは30~50 人いたといわれている。
フランス、リヨンにあったリュミエール工場の出口を撮影してから10 年、交通・通信手段がまだまだ開発途中であるにも関わらず、スイス、イギリ ス、イタリア、ロシア、アメリカ、エジプト、スペイン、メキシコ、カナダ、ベトナ ム、カンボジア、日本と多くの国を訪れ、現地の人々の生き生きとした姿を情感豊かに撮影し、映画として各国で上映をした。
ルイとオーギュストのリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明したのは 1895年。兄弟は3月19日に世界初の実写映画『工場の出口』を撮影。3月22 日には国策産業振興協会においてそれを上映する。この年、おもにルイが指 揮を執り、数十本の映画をリヨンやラ・シオタなどで撮影する。12月28日には 世界で初めての有料上映会を開催し、大成功を収める。このとき初めて、映 像がスクリーンに映し出され、観客が入場料を支払って映画というものを観ることになった。
2025年が映画誕生130周年にあたるため、映画生誕130周年を記念する、フランス国内および国際的な祝典の先駆けとして世界の映画ファンへお披露目となる。日本は、130周年を前に、世界最速の公開となる。本作は、この革新的な芸術の誕生、 想像を絶する結末をもたらした重大な歴史的瞬間、今も私たちの生活の中に 存在し、非常に重要であるこの瞬間を、新たな手法で再現している。映画の形態、空間、そして問題は高速で変化していくが、映画は絶えず更新され続け、驚 異的な永続性を示している。これはすでにリュミエール映画にも存在していたとされる。
■劇場初公開の2作品
「水宮の落成式」 カメラマン:ルイ・リュミエール 特徴:幅75ミリのフィルム(1900年4月のパリ万博でルイ・リュミエールが発見 したフィルム) (当時の技術では上映できなかった作品)
「動く歩道の光景」 カメラマン:ルイ・リュミエール(最後の映像) 特徴:幅75ミリのフィルム
【クレジット】
監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーション:ティエリー・フレモー(リュミエール研究所所長、カンヌ国際映画祭総代表) 音 楽:ガブリエル・フォーレ エグゼクティブ・プロデューサー:マエル・アルノー(Sorties d’Usine Production) コ・プロデューサー:ナタナエル・カルミッツ(MK2)、マーゴット・ロッシ(リュミエール研究所) 映画史アドバイザー:ファブリス・カルゼトーニ、ジャン・マルク・ラモット 編 集・サウンド:ジョナサン・カヴシアル、シモン・ジェメリ プロダクション:ソルティ―・ユージーヌ・プロダクション、リュミエール研究所
映像:1895年~1905年リュミエール研究所(1,400本110本より)
LUMIERE! THE ADVENTURE CONTINUES(英題)/2024年/製作国:フランス/フランス語/105分/ビスタ 5.1chデジタル/モノクロ/字幕翻訳:高部義之/字幕監修:古賀太 後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本 提供:ギャガ、ティー ワイ リミテッド
配給:ギャガ gaga.ne.jp/lumiere2
© Institut Lumière 2024
11/22(金)シネスイッチ銀座他全国順次公開