ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡

(2024年11月26日10:30)

ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡
「コール・ミー・ダンサー」ポスタービジュアル

バレエの虜になったインドの遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡を追ったドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」が11月29日より、新宿シネマカリテほかで全国公開になる。

『フラッシュダンス』、『リトル・ダンサー』 など、これまでも多くの傑作を誕⽣させてきたダンス映画の歴史に、またひとつ秀作が加わった。しかもインドで⽣まれ育った主⼈公という“異例”の設定だ。インドとダンスといえば、『ムトゥ 踊るマハラジャ』や『RRR』といった⼈気映画の中のワンシーンを思い浮かべるが、本作に登場するマニーシュは、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンスで才能を開花させた。そのマニーシュ成⻑を追いかけるドキュメンタリー。

18 歳の時にボリウッド映画のアクロバティックな動きに魅了され、⾃⼰流のトレーニングを積み、驚異的なテクニックと柔軟性を⾝につけていくマニーシュ。イスラエル系アメリカ⼈のダンス教師イェフダとの出会いによって、クラシックバレエの技術を短期間で習得した彼は「プロのダンサーとして世界で 活躍したい」「僕をダンサーと呼んで(=コール・ミー・ダンサー)」と、⼈⽣をダンスに捧げる。そんなマニーシュの⽇々を誠実な⽬線で⾒つめ、予想を超えた感動をもたらすのが、この『コール・ミー・ダン サー』。

18 歳からクラシックバレエのレッスンを受けるという明らかな遅いスタート。インド⼈がバレエダンサーになる難しさ。⽇常を必死に⽣きる家族との関係。そしてライバルとして現れる若き天才ダンサーな ど、マニーシュを待ち構える⾼いハードルの数々。そして最もドラマチックなのが、彼の才能に気づいたイェフダとの師弟愛で、技術を受け継ぐ者、若き才能に託す者という 2 ⼈の関係は、ダンスという枠を 超え、『ベスト・キッド』や『ミリオンダラー・ベイビー』、『セッション』など“師弟映画”の名作も彷彿とさせる。

ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡
「コール・ミー・ダンサー」場面写真
ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡
マニーシュを指導するイェフダ㊨
ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡
ドキュメント映画「コール・ミー・ダンサー」 バレエの虜になった遅咲きのダンサー、マニーシュの苦闘と奇跡

ダンス好きな⼈にアピールする側⾯も多数。ナタリア・マカロワやルドルフ・ヌレエフへの指導 経験もあるイェフダのキャリアや、イスラエルやアメリカにおけるコンテンポラリーダンス事情が、マニーシュの成⻑とシンクロ。何より、マニーシュの持って⽣まれた⾁体の資質や、急速な上達ぶりは、ダンスに⽬の肥えた観客をも唸らせる。そして本作は⾳楽も重要ポイント。「海賊」「バヤデール」「くるみ 割り⼈形」といったバレエ⾳楽の使われ⽅が絶妙で、ヒップホップやインドの伝統ミュージックの挿⼊が、ダンスというカルチャーの多様性を代弁する。監督・プロデューサーを務めたレスリー・シャンパインは、⾃⾝も元バレエダンサーで、かつてイェフダ のレッスンを受けた経験もある映像作家。彼との信頼関係が本作を誕⽣させた。 マニーシュの最後まであきらめない不屈のダンス魂が呼び起こす奇跡がエモーショナル。その極限まで鍛錬された肉体で描き出す警戒で独創的なダンスはそれ自体が芸術作品で、ドキュメントでありながらも、ドラマチックなエンターテインメント作品になっている。

【クレジット】
監督 レスリー・シャンパイン ピップ・ギルモア
プロデューサー レスリー・シャンパイン プリヤ・ラマスバン シンシア・カネ
エグゼクティヴ・プロデューサー ジェイ・ショーン ジョン・パトリック・キング ジチン・ヒンゴラーニ エスター・バン・メッセル ダイアナ・ホルツバーグ
撮影監督 ニール・バレット アブヒジット・ダッタ
編集 ジェニファー・ビーマン 編集顧問 ヘマル・トリベジ
作曲 ナイニータ・デサイ ニナ・ハンフリーズ
プロデューサー補 ラクミニ・ムーリク ネハ・シャルマ
原題:CALL ME DANCER/2023 年/⽶/87 分/5.1ch/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:藤井 美佳
配給:東映ビデオ
©2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.
原題:CALL ME DANCER/2023 年/⽶/87 分/5.1ch/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:藤井 美佳
配給:東映ビデオ
©2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.
11 ⽉ 29 ⽇(⾦)新宿シネマカリテほか全国公開