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映画
「ブルータリスト」ホロコーストを生き延び米国に渡った建築家の数奇な半生
(2025年2月20日11:00)

第97回アカデミー賞に作品賞、監督賞(ブラディ・コーベット)、主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)、助演男優賞(ガイ・ピアース)、助演女優賞(フェリシティ・ジョーンズ)など10部門にノミネートされている話題作「ブルータリスト」が2月21日から公開される。
第⼆次世界⼤戦下にホロコーストを⽣き延び、アメリカへと渡った、ハンガリー系ユダヤ⼈建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)の 30 年にわたる数奇な半⽣を、監督・脚本を務めた弱冠 36 歳の気鋭ブラディ・コーベットが描き出した、215 分にわたる壮⼤な⼈間ドラマ。
主⼈公のラースロー・トートを演じるのは、『戦場のピアニスト』(02)で第74 回アカデミー賞主演男優賞を受賞したエイドリア ン・ブロディ。ラースローと共に数奇な運命をたどることになる妻エルジェーベトを演じるのは、『博⼠と彼⼥のセオリー』(14)で第 87 回アカデミー賞主演⼥優賞にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズ。アメリカへ渡ったラースローの運命に⼤きな影響を与え る⼤富豪ハリソンを演じるのは、『LAコンフィデンシャル』(97)、『メメント』(00)などのガイ・ピアース。そのほか、ジョー・アルウィン(『憐れみの 3 章』(24)や、ラフィー・キャシディ(『トゥモローランド』(15)など、ハリウッドを牽引してきたベテラン実⼒派から注⽬の若⼿まで幅広い役者陣が顔をそろえている。
映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で批評家97%(2024年11⽉時点)という⾼スコアをたたき出しており、同サイトでは「エイドリアン・ブロディによる魂の演技と、監督・脚本のブラディ・コーベットにより完璧にデザインされた『ブルータリスト』は、 移⺠体験に対する壮⼤なトリビュートだ」と総評。また、イギリスの⼤⼿新聞 The Guardian は本作を 5 つ星とし、「素晴らし い︕夢中にさせる⼤作」と絶賛レビューしている。
第⼆次世界⼤戦後、無残にもすべてを奪われた建築家が希望を抱いたアメリカンドリーム。⾒知らぬ⼟地と異なる⽂化、その光と 影に苛まれながら、家族への愛と建築への情熱をたぎらせ続けた 30 年――それは決して平坦な道ではなく、美談にまみれた軌跡でもない。移⺠として苦境にさらされ、欲望に弱く、孤独にひしがれた⼀⼈の男の圧倒的なヒューマニティを肌で感じる 215 分。 その切り拓かれていく半⽣と共に旅しながら、極上の没⼊体験をもたらす唯⼀無⼆の人間ドラマの話題作。
第 97 回アカデミー賞(現地時間3月2日授賞式)に作品賞、監督賞(ブラディ・コーベット)、主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)、助演男優賞(ガイ・ピアース)、助演女優賞(フェリシティ・ジョーンズ) など10部門にノミネートされており、なかでもブロディはゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞などで主演男優賞を受賞しており、アカデミー賞でも有力との下馬評が高い。受賞すれば『戦場のピアニスト』(02)に続く2度目の主演男優賞になる。
【ストーリー】
才能にあふれるハンガリー系ユダヤ⼈建築家のラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、第⼆次世界⼤戦下のホロコーストから ⽣き延びたものの、妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)、姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)と強制的に引き離されてしまう。
家族と新しい⽣活を始めるためにアメリカ・ペンシルベニアへと移住したラースローは、そこで裕福で著名な実業家ハリソン(ガイ・ピア ース)と出会う。建築家ラースロー・トートのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、ラースローの才能を認め、彼の家族の 早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築をラースローへ依頼した。しかし、⺟国とは⽂化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が⽴ちはだかる。ラースローが希望を抱いたアメリカンドリームとはうらはらに、彼を待ち受けたのは⼤きな困難と代償だった――。
【見どころ】
ハンガリー系ユダヤ⼈建築家ラースロー・トートの数奇な半生のドラマを3時間35分で描いた大作。ホロコーストを生き延びアメリカに渡ったラースローは、手がけた屋敷の斬新な内装を酷評され、ブタペストで築いた建築家としての才能と名声が、ペンシルバニア州の人々には全く通用しないことを思い知らされる。そうしたなか、裕福で著名な実業家ハリソンに才能を認められたラ―スローは、第2次大戦後東ヨーロッパに残された妻と姪をアメリカに移住させることを条件に、ハリソンが計画する壮大な礼拝堂の建築に挑戦する。コンクリートやレンガがむき出しになったスタイルなどで知られる様式が特徴といわれるブルータリズムと呼ばれる建築手法を取り入れようとしてハリソンと対立するなど紆余曲折の苦難が待ち受ける。
コーベット監督は、「『ブルータリスト』では、芸術的な才能を持つ移民が、斬新で大胆かつ新しいことに挑むと、批判を受けることを描いているんだ。本作ではラースローが建築を担当した建物も批判の対象になる。」「評価されるまでには時間がかかる。」と解説する。ブロディは「本作は過去に向き合いながら、同時に過去をはぎ取られる難民の物語だ。彼は未知の土地で、全く新しいルールに従って生きていこうとする」と語っている。(プロダクションノートから)ラースローの苛烈な生き様とそれを演じるブロディの演技に最後まで目が離せなくなる。
【クレジット】
監督・共同脚本・製作:ブラディ・コーベット/共同脚本:モナ・ファストヴォールド
出演:エイドリアン・ブロディ フェリシティ・ジョーンズ ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン ラフィー・キャシディ
2024 年/アメリカ、イギリス、ハンガリー/ビスタサイズ/215 分/カラー/英語、ハンガリー語、イタリア語、ヘブライ語、イディッシュ語/ 5.1ch/日本語字幕翻訳:松浦美奈/原題『THE BRUTALIST』/配給:パルコ ユニバーサル映画
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2025 年 2 月 21 日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開