日本映画ペンクラブ賞に古澤利夫氏 著作「全米映画撮影監督協会が選ぶ 20世紀最高の映画100作品」と「世界の名カメラマン大全」

(2025年3月13日22:30)

日本映画ペンクラブ賞に古澤利夫氏 日本映画ベスト1は「侍タイムスリッパー」
古澤利夫氏(13日、都内で)

2024年度日本映画ペンクラブ賞の表彰式が13日、都内で行われ日本映画ペンクラブ賞に選ばれた古澤利夫氏ら受賞者が表彰された。

元20世紀フォックス日本支社の宣伝部長で映画の宣伝・配給、興行・製作の全方位を経験して業界では「伝説の映画人」「全身映画人」といわれる古澤氏は、「全米映画撮影監督協会が選ぶ 20世紀最高の映画100作品」(2024年2月発売、ビジネス社刊)で、1位に選ばれた不朽の名作「アラビアのロレンス」(1962)など、全米映画撮影監督協会が選んだ「撮影技術と芸術において画期的な20世紀の映画100作品」を紹介。さらに、第2弾の「世界の名カメラマン大全」(2024年2月発売、ビジネス社刊)で、ハリウッドを担った撮影の名手たちとヨーロッパのカメラマンとその作品を紹介。長年培った映画人生の卓越した視点で数々名作の見どころや撮影エピソードも含めて膨大な映画の貴重な記録となる2冊の著作を残したことが高く評価されて日本映画ペンクラブ賞に選ばれた。

登壇した古澤氏は、「このような名誉ある賞をいただいで大変光栄です」と述べ、単行本の基になった原稿を連載していた映画雑誌「フリックス」の松下元網編酋長に感謝の言葉を述べ、同著が完成するまでのエピソードを明かした。

映画の撮影カメラマンに強い関心を持っていたが、日本には資料があまりなく、アメリカの資料を集めたという。1975年に「自費で安いチケットを取って、読売新聞の河原畑寧さん、映画評論家の南敏子さん、友人でワーナー映画宣伝部の早川龍雄さんとアメリカに旅行して、その帰りにハリウッドのバーバンク・スタジオで撮影見学をさせていただいた」。そして、ハリウッドの映画や芝居関係の書籍を扱う書店を訪ねるなどして、初めてハリウッドに触れた。そして「50年後にこの本ができた」という。「全米映画撮影監督協会が選ぶ 20世紀最高の映画100作品」では「100位までということだったんですが、それでは収まらないというぐらい資料が増え」2冊の本になったという。「よくこれを生きている間にできたな」と50年越しの労作の完成を振り返った。

日本映画ペンクラブ賞に古澤利夫氏 日本映画ベスト1は「侍タイムスリッパー」
「全米映画撮影監督協会が選ぶ 20世紀最高の映画100作品」㊧と「世界の名カメラマン大全」(ビジネス社刊)



■古澤利夫(ふるさわ・としお)・略歴

10代の頃から映画業界に入り、パラマウント映画での契約を経て、1966年2月、20世紀フォックス映画 日本支社に入社。90年宣伝部長、91年宣伝本部長。97年12月20日公開の「タイタニック」で、当時の日本興行収入史上最高の263億円を記録。20世紀フォックス映画在社37年間に宣伝・配給に携わった作品は502本。その大ヒット作の多くでゴールデン・グロス賞最優秀金賞・銀賞、読売映画・演劇広告賞最優秀賞を受賞。映画界での長年の功績を評価され、98年に第5回南俊子賞、99年に第8回淀川長治賞を受賞。03年に20世紀フォックス映画を退職後も、ジョージ・ルーカスより直接「スター・ウォーズ エピソード3/シスの逆襲」の宣伝を依頼される。また、角川映画、ルーカスフィルム、ソニー・ミュージック、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、UPIからも配給・マーケティングの特別顧問を委嘱された。2018年までの53年間に宣伝・配給、企画・製作に携わった作品が817作品。その売り上げを合算すると6277億8600万円を超える。宣伝・配給、興行・製作の全方位を眺望する稀有の≪全身映画人≫。(「全米映画撮影協会が選ぶ20世紀最高の映画100作品」の著者略歴より)

■2024年度 日本映画ペンクラブ賞
日本映画ペンクラブ賞 古澤利夫氏(元20世紀フォックス映画宣伝部長)
功労賞 大森さわこ氏(映画評論家)
奨励賞 河村光彦氏(ドキュメンタリー映画監督)
奨励賞 中村理恵氏(株式会社パンドラ社長)
■2024年度 日本映画ペンクラブ会員選出ベスト映画
日本映画 「侍タイムスリッパー」(安田淳一監督)
外国映画 「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督)
文化映画 「正義の行方」(木寺一考監督)、「ガザからの報告」(土井敏邦監督)
【日本映画ペンクラブ】映画評論家、翻訳家、監督など映画関係者が加盟。(渡辺祥子代表幹事)