没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映

(2024年5月10日13:30)

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇
「石井隆Returns」ポスタービジュアル

「GONIN」「死んでもいい」「天使のはらわた」シリーズで知られる映画監督の石井隆が、2022 年5月22日に永眠してから今年5月で3年。この度、没後3年に合わせ、6月6 日(金)より、石井監督の特集上映「石井隆Returns」の開催が決定。「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」の4本のHDリマスター版が上映される。

1970年代より、名美と村木の悲しい愛を描いた「天使のはらわた」の劇画家として人気を博し、日活ロマンポルノでは 『赤い教室』(79年/監督:曽根中生)、『ラブホテル』(85年/監督:相米慎二)などの脚本も担当。『天使のはらわた 赤い 眩暈(めまい)』(88年)で映画監督デビューを果たした。その後も、『死んでもいい』(92年)、『ヌードの夜』(93年)などを 脚本・監督し、「名美と村木」という女と男の愛の姿を、性愛と暴力を通して、叙情的に、かつ情熱的に描き上げた。
『死んでもいい』は、第33回ギリシア「テッサロニキ国際映画祭」で最優秀監督賞を受賞している。 また『GONIN』(95年)では、これまでの男女の物語を抑え、社会で行き詰った5人の男たちが仕組んだ強盗計画の顛末を、壮絶なバイオレンス・アクションで描き、新境地を 開く。その後も『黒の天使』シリーズ、『花と蛇』シリーズ、遺作となる『GONINサーガ』ま で、唯一無二の美学、世界観でファンを魅了し続けた。

竹中直人、根津甚八、鶴見辰吾、柄本佑、余貴美子、大竹しのぶ、夏川結衣、川上麻衣 子など、石井監督の作品に常連で出演する俳優も多く、石井隆監督による世界線はどこか地続き、普遍性を持ちながらも、作品それぞれが、強烈な個性を放ち、エネルギーに 満ち溢れている。

上映作品は、『死んでもいい』(92年)、『ヌードの夜』(93年)、『夜がまた来る』(94 年)、『天使のはらわた 赤い閃光』(94年)の4本。

88年の監督デビュー作の『天使のは らわた 赤い眩暈(めまい)』から3本目が『死んでもいい』となるため、映画監督としては初期にもかかわらず、すでに映画監督の成熟期と言っても過言ではない傑作ばかり。これまで複雑な権利関係により、まとめて上映される機会が少なかった4作品を、初めてHDリマスター版でのスクリーン上映が実現した。石井隆が愛し、描き続けてきた<運命の女(ファム・ファタール)>名美を、大竹しのぶ(『死んでもいい』)、余貴美 子(『ヌードの夜』)、夏川結衣(『夜がまた来る』)、川上麻衣子(『天使のはらわた 赤 い閃光』)が、それぞれどのように演じているのか、すでに見ている人も、初めて石井隆監督に触れる人も、大きなスクリーンで確かめる貴重な機会となる。

■HDリマスター版『ヌードの夜』特報 & 場面写真 解禁

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇
「ヌードの夜」場面写真
没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇
没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇

映画『ヌードの夜』は、93年に劇場公開され、今なお多くのファンから根強く支持されている、石井隆監督の代表作の1本。特集上映にて、HDリマスター版で蘇る。 この度、特集上映の開催を記念し、HDリマスター版による『ヌードの夜』の特報が、完成した。 ヤクザを殺した女・名美(余貴美子)と、その女に惚れた何でも屋・紅次郎(本名は村木/竹中直人)によるハードボ イルド・サスペンス。運命的な出会いを果たしたふたりは、その後、大きな事件へと巻き込まれていく。

この度の特報では、「恋人の代行…やっていただけません?」という名美(余貴美子)のモノローグにあわせ、傷だらけの紅次郎、緊迫した表情を浮かべる名美のカットに続き、紅次郎が、ヤクザの仙道(椎名桔平)に拳銃を向けながら「頭がぼーとしてて、あと何十発もぶっ放したくなってきた…」と一触即発の状態。「結婚してくれなんて言いません…」とささやく名美に対し、「いいですよ…おやすい御用だ・・・」と紅次郎。赤いネオンを介しながら「じゃあ…キスしてください」と目を閉じる。
劇作家、脚本家、そして映画監督の石井隆が、幾度となく描き続けてきた、男と女の運命的な捻(ねじ)れた 純愛。村木と名美…男女の運命の行方はいかにー。

■5/23(金) 「石井隆Returns」先行上映イベント 開催

石井隆の命日(5月22日)にあわせ、命日の翌日に、特集上映「石井隆Returns」の「先行上 映イベント」の開催が決定。
『ヌードの夜』HDリマスター版の上映と共に、竹中直人とライムスタ ー宇多丸によるトークショーを実施。当時の撮影当初のエピソードから、監督の人柄や魅力などを語る予定。以下、5月9日(金)よりチケット発売がスタートする。 来場者には、劇作家でもある石井隆監督自らが書き上げた「名美イラスト原画」のポストカー ドを、全4種よりランダムで1枚プレゼント。

イベント名:特集上映「石井隆Returns」 先行上映イベント/ 『ヌードの夜』HDリマスター版上映+スペシャルトークショー
日時:5月23日(金)19:00~ (上映前トーク付)
場所:池袋HUMAXシネマズ [スクリーン4]
ゲスト(予定):竹中直人、ライムスター宇多丸
料金:2500円均一 *チケット販売:5月9日(金)午後0時(正午) https://www.humax-cinema.co.jp/ikebukuro/news/111431/

■竹中直人、ライムスター宇多丸より、コメント到着

数多くの石井隆監督作品に出演してきた盟友・竹中直人と、石井隆ファンを公言している、ライムスター宇多丸より、この度の特集上映の開催に向けて、コメントを寄せた。

竹中直人
「石井隆監督作品はいつも濡れている。そして朽ちている。やるせなくはかなく残酷でかなしい。そしてなんと も言えない毒がある。決して誰もが観る映画ではない。好きな人はめちゃくちゃ好き。嫌いな人は全く嫌い…。 こりゃ一体どう言う事だ…。どう言う事でもない。石井隆監督は永遠って事なんだ。」

宇多丸(RHYMESTER)
「途轍もなく恐ろしく(なんなら“リアルに”!)おぞましいのに、まるで昔から馴染んだ悪夢のように、なぜか繰り返し そこに戻りたくもなる……私にとって石井隆ノワールは、そんな言わば「夢幻的修羅場」に満ちた、魔の時空だ。そし てそれは言うまでもなく、劇場の暗がりに身を潜め、息を殺して、目撃すべきものなのだ。」

■石井隆プロフィール

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇
石井隆監督(「死んでもいい」撮影中のスチールより)

1946年7月11日生まれ。宮城県出身。映画監督を目指して早稲田大学映画研究会に入るために早大商学部に入学、在籍中に監督助手のバイトでダイニチの現場で映画を体験するも、諸般の事情で断念。在学中、劇画家デビュー。「天使のはらわた」(77年)が大ヒットし、78年から日活ロマンポルノにてシリーズ映画化され、原作者・脚本家として映画の現場に舞い戻り、88年、『天使のはらわた赤い眩暈』で監督デビュー。大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男出演『死んでもいい』(92)では、第33回テッサロニキ国際映画祭最優秀監督賞受賞、第10回トリノ国際映画祭審査員特別賞など国内外映画賞多数受賞。『ヌードの夜』(93)年ではサンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94グランプリなどを受賞。『GONIN』(95)はロカルノ国際映画祭、トリノ国際映画祭など数々の映画祭に出品され国内は勿論、海外でも非常に高い評価を受ける。他主な映画監督作品に『夜がまた来る』(94)、『GONIN2』(96)、『黒の天使シリーズ』(98·99)、『フリーズ・ミー』(00)、『花と蛇』(04)、『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07)、『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(10)など。13年は『フィギュアなあなた』、『甘い鞭』2本を監督、『GONINサーガ』(15)が遺作となる。

■特集上映概要
イベント名:没後3年特集上映「石井隆Returns初期監督作4本HDリマスター版上映」
上映作品:『死んでもいい』『ヌードの夜』『夜がまた来る』『天使のはらわた赤い閃光』
開催時期:2025年6月6日(金)より、シネマート新宿、池袋HUMAXシネマズ他、全国順次上映
配給・宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
協力:ファムファタル、キングレコード、日活、キネマ旬報社、中央映画貿易、ダブル・フィールド
公式サイトhttps://mapinc.jp/ishii-takashi公式SNSX:@ishii_ReturnsInstagram:IshiiTakashi_Returns

■上映作品

『死んでもいい』

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇

HDリマスター版上映
監督・脚本:石井隆
原作:西村望『火の蛾』
製作:伊地智啓 企画:佐々木史朗、宮坂進
プロデューサー:榎本靖
撮影:佐々木原保志
照明:金沢正夫
美術:細谷照美
編集:菅野善雄
録音:本田孜
音楽:安川午朗
出演:大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男、清水美子、岩松了、竹中直人
(C)サントリー/日活/ムービー・アクト・プロジェクト
(1992年10月10日公開/117分)
西村望『火の蛾』を原作に映画化。石井監督は本作のテーマについて「女と男の愛のありか(在り所)を三角関係という愛の形の中で探ろうとするものです」とコメント。純愛としての三角関係が招いた悲劇を描く。大竹しのぶが、2人 の男から愛される人妻・名美を演じる。挿入歌に、ちあきなおみの「黄昏のビギン」が使用されている。第33回ギリシア「テッサロニキ国際映画祭」で最優秀監督賞を受賞。

『ヌードの夜』

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇

※HDリマスター版上映
監督・脚本:石井隆
プロデューサー:成田尚哉、新津岳人 撮影:佐々木原保志
照明:安河内央之
美術:山崎輝
編集:川島章正
録音:杉山篤
音楽:安川午朗
出演:竹中直人、余貴美子、椎名桔平、速水典子、 岩松了、根津甚八
(1993年12月18日公開/110分)
(C)日活
ヤクザを殺した女・名美と、その女に惚れた何でも屋・紅次郎によるハードボイルド・サスペンス。石井隆監督が劇画家時代から描く名美のイメージにそっくりな余貴美子が、監督第2作『月下の蘭』(90)に続き出演。石井監督のデビ ュー作から出演する竹中直人が、紅次郎(実は村木)を演じる。サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94グランプリを受賞。

『夜がまた来る』

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇

監督・脚本:石井隆
撮影:笠松則通
照明:市川元一
美術:山崎輝
編集:北澤良雄
録音:杉山篤
音楽:安川午朗
出演:夏川結衣、根津甚八、寺田農、椎名桔平、 竹中直人、余貴美子、永島敏行
(1994年10月22日公開/108分)
(C)テレビ東京/キングレコード/ムービー・アクト・プロジェクト
ヤクザ組織に潜入した麻薬Gメンの夫が殺され、組織に復讐しようとする未亡人・名美と、その彼女を助けるヤクザ の男・村木によるネオ・ノワール作品。名美役を映画デビュー間もない夏川結衣、村木役を、監督第2作『月下の蘭』 (90)から石井作品の常連となる根津甚八が演じる。ほぼナイトシーン、長回しで展開する、名美と村木の物語の集 大成的な作品。

『天使のはらわた 赤い閃光』

没後3年特集上映「石井隆Returns」開催 「死んでもいい」「ヌードの夜」「夜がまた来る」「天使のはらわた 赤い閃光」4本HDリマスター版上映壇

※HDリマスター版上映
監督・脚本:石井隆
撮影:笠松則通
照明:市川元一
美術:山崎輝、金勝浩一
編集:北澤良雄
録音:杉山篤
音楽:安川午朗
出演:川上麻衣子、速水典子、鶴見辰吾、根津甚八
(1994年9月10日公開/87分)
(C)テレビ東京/キングレコード/ムービー・アクト・プロジェクト
忌まわしい過去に悩まされ、男性恐怖症となった雑誌編集者・名美をヒロインにした、エロティック・サイコミステリ ー。泥酔しラブホテルのベッドで目が覚めると、隣には見知らぬ男の死体があった...。現実と妄想に翻弄される名美 を川上麻衣子、その相手役となるフリーライターの村木役を、同年に公開された『夜がまた来る』と同じ根津甚八が 演じている。
6/6(金)より シネマート新宿、池袋HUMAXシネマズ他 全国順次上映