映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語

(2025年5月20日10:30)

映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
「骨なし灯籠」ポスタービジュアル

大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語の映画「骨なし灯籠」が5月16日、東京・恵比寿ガーデンシネマにて公開になった。さらに6月3日(火)~6月22日(日)に東京都写真美術館ホールにて字幕付き上映(※月曜休館)される。

恵比寿ガーデンプレイス内の2館にて、約1か月にわたる上映は、前例のない画期的な興行となる。主人公は、亡き妻の骨壺を抱え、死に場所を探し彷徨う一人の男。 男は、古き時代の佇まいを残す、熊本豊前街道の温泉町「山鹿(や まが)」に流れ着き、和紙のみでつくられる繊細な「山鹿灯籠」に出会う。そこへ亡き妻の双子の妹が現れて・・・。

本作は、深い喪失から再生へ向かう、美しい「いのち」の物語。昨年3月、本作の舞台となる熊本のミニシアターにて先行上映がスタート、「観終わってしばらく動けなかった」「もうすこし、生きて みようと思いました」といった多くの反響があがりリピーターが続 出。じわじわと口コミが広がり、異例の21週公開というロングランヒットを記録した。その後、神戸や名古屋での公開も実現して大盛況。さらに、国内にとどまらず海外へ。「第18回トロント国際女性映画祭 最優秀初監督賞(カナダ)」「第5回チネチッタ 国際映画祭 観客賞第3位(オランダ)」「ロサンゼルス映画賞 (October2023) 最優秀初監督賞、予告編賞、俳優特別賞(水 津聡)」など、多くの海外映画祭での正式上映、映画賞などを受賞した。

映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
「骨なし灯籠」場面写真
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
ゆかり
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
ゆかりの遺影の前のあかりと佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
さくら湯の前の佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
さくら湯脇を歩く小学生と佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
回想シーンのゆかりと佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
金灯篭制作に打ち込む佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
金灯篭の修正チェックをする佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
亡き妻の骨壺を持ち歩く佑介
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
灯篭娘ポスター
映画「骨なし灯籠」大切な人を亡くしたひとりの男の癒しと再生の物語
灯篭娘

脚本・監督を手掛けるのは、倉本聰主宰『富良野塾』出身の脚本家。現在も放送作家として『おかあさんといっ しょ』(NHK教育)『箱根駅伝』(日テレ)の構成やナレーション台本を担当する木庭撫子。本作が初監督作品となり、元テレビマンの夫と、二人三脚で、資金集めから奔走し、オール山鹿(やまが)ロケでつくりあげた。

ポスタービジュアルを手掛けたのは、『キングダム』『ラストマイル』など、大ヒット作品のポスタービジュアルを次々と生み出している、業界屈指のデザイナー・吉良進太郎氏(熊本県出身)。凛とした亡き妻の横顔に、映画を彩る風景が潜む斬新なデザイン。その横顔に、何かに気づいたような、はっとする表情をみせる主人公の男・・・山鹿灯籠(別名:骨なし灯籠)をモチーフにした幻想的なイメージに、本作 を象徴する「また明日!」の言葉をさりげなくのせている。映画『骨なし灯籠』のミステリアスで、美しい世界 観を体現するポスタービジュアルとなっている。

予告編の冒頭は「大切な人を亡くしたあなたへ。」というテロップからスタート。政治学者の姜尚中より「生と死という重い テーマが、これほど深く、そして清々しく描かれている映画は稀ではないか」というメッセージが続く。亡き妻の骨壺を抱える祐介は、「もう一度、妻に会いたい…」と吐露し、温泉町「山鹿(やまが)」を彷徨います。彼 が彷徨う先に、愛する妻の姿はあるのか・・・?

本作は、「グリーフケア」の観点に立つ作品でもあるという。「グリーフケア」とは大切な人を亡くした悲しみ・悲嘆(Grief)を癒す(Care)こと。山鹿灯籠の世界に出会い、山鹿の子供たちや人々、自然との触れ合いを通して、妻を亡くした喪失感に苛まれた男の心を徐々に癒していく…今作はまさに、グリーフケアの物語になっている。

■キャスト、監督よりコメント到着

水津聡(すいつさとし)
「昨年の春、熊本で。なんの後ろ盾もなく封切られたこの映画は、観た人が、知人を誘って再び観に来てくれて、また 観た人が人を呼んで…というふうに、人から人へとつながった結果、夏まで延長上映が続きました。もしかしたら想 像以上に、この映画を必要としている人が、いるのかもしれません。それはここ東京でも(またこれから展開してゆく だろう地方でも)。だったら一人でも多くの人に届きますようにと、願ってやみません。

まひろ玲希(まひろたまき)
「熊本での舞台挨拶の初日、一番前に座っていらした女性が嗚咽をこらえながら涙を流していました。思いが伝わり、私も会場を後にするまで涙が止まりませんでした。後日、一緒に泣いてくれてありがとうと頂いたお手紙には、「最後 のセリフは主人が私に言ってくれたんだと感じました。映画館を出たとき、少し心が軽くなりました」と。 大切な人を亡くされた方の心が少しでも軽くなり、優しく背中を押すことができるなら私たちも嬉しいです。

木庭撫子(こばなでしこ)監督
「プロデューサーである夫は、24年前に最愛の前妻を亡くしました。時を経ても哀しみは残ることを知るわたしたち が、遺された者の「生」を見つめた映画です。舞台となった山鹿(やまが)に住む人々や生きものだけでなく、路傍の 小さな花や、風鈴を鳴らす風も「生きて」います。周りを見渡せば、そこにある「いのち」の美しさ、優しさを、この作品 を通して感じてもらえたら・・・東京の空も、違う色に見えるはず。あなたの心に、『骨なし灯籠』の灯りがともることを 願っています」

■称賛コメントも到着

姜尚中(熊本県立劇場館長)
「しっとりとした映像と静謐な風景、夜の闇にほんのりと灯る山鹿灯籠の数々・・・ 生と死という重いテーマが、これほど深く、そして清々しく描かれている映画は稀ではないか」

【物語】
亡き妻の骨壺を抱え、死に場所を探し、彷徨う男がいた。男は、元・美術教師の市井祐介。古き時代の佇まいを残す、熊本豊前街道の温泉町「山鹿(やまが)」で、祐介は、祭りのポスターに描かれた「灯籠娘」に、妻・ゆかりの面影を見る。祐介は、灯籠師見習い・直樹に誘われるまま働き始め、一年が経ち、妻の三回忌を迎えても、深い喪失と孤独は拭えない。 町を出ようと決めた、祭りの日。突然、ゆかりの双子の妹だという、あかりが現れる。「あなたにお願いがあって」千人灯籠を踊るために、スペインからやってきたというあかり。彼女の目的とはー。

【クレジット
キャスト:水津聡 まひろ玲希 高山陽平 たむらもとこ にしやうち良 知江崎ハルカ 草野遥 政木ゆか 山本直人 杉本凌士
脚本・監督・編集:木庭撫子
プロデューサー:木庭民夫
音楽:志娥慶香 撮影:萩原章、山野道郎 照明:原田拓海 照明アドバイザー:木村中哉 編集アドバイザー:石松義朗 音響設計:尾方航 カラリスト:黒石信淵 録音:野中拓也、西野隆博、石井良亮 スタジオ録音:千葉一繁 制作:村川智美、西山ゆうこ スチール:上野弘喜 タイトル文字:市川雄大 予告編音楽:豊田小太郎 製作・配給 熊本やまが映画プロジェクト
公式サイト https://honenashi.com/
5月16日(金)~29日(木) 恵比寿ガーデンシネマにて公開
6月3日(火)~6月22日(日) 東京都写真美術館ホールにて上映(※月曜休館)