第78回カンヌ国際映画祭 パルムドールはイランの監督作品 「ルノワール」受賞逸す

(2025年5月26日10:00)

第78回カンヌ国際映画祭 パルムドールはイランの監督作品 「ルノワール」受賞逸す
パルムドールを受賞したジャファル・パナヒ監督㊧とプレゼンターのケイト・ブランシェット㊥、審査委員長のジュリエット・ビノシュ(カンヌ国際映画祭の公式サイトから)

第78回カンヌ国際映画祭の授賞式が24日夜(日本時間25日未明)、フランのカンヌで開催され最高賞のパルムドールにイラン出身のジャファル・パナヒ監督の「シンプル・アクシデント」(英題:It Was Just an Accident)が選ばれた。早川千絵監督の「ルノワール」は賞を逸した。

「シンプル・アクシデント」は、当局によって投獄され拷問された男らが復讐を試みる様を描いたもの。パナヒ監督は、イランの体制批判の作品で知られ自身が当局に拘束された経験もこの作品を手がけたきっかけになっているという。
パナヒ監督は、「いま最も大事なのは私たちの国の自由だ。誰も何を着るかや、何を言ってはいけないかを指示することはできない」などと訴えた。パナヒ監督は2000年にベネチア国際映画祭の金獅子賞、15年にベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞しており、世界3大映画祭の全てで最高賞を獲得する快挙を達成した。

パルムドールに次ぐグランプリはヨアキム・トリアー監督の「Sentimental Value」が受賞した。コンペ部門に出品されていた早川千絵監督の「ルノワール」は受賞しなかった。

独立部門の「批評家週間」で上映された瀬戸桃子監督のフランス・ベルギー合作映画「ダンデライオン・オデッセイ」が国際批評家連盟賞を受賞した。

■第78回カンヌ国際映画祭の主な受賞

パルムドール 「シンプル・アクシデント」(ジャファール・パナヒ監督)
グランプリ  「センチメンタル・バリュー」(ヨアキム・トリアー監督)
審査員賞   「シラット」(オリヴァー・ラクセ監督)、「サウンド・オブ・フォーリング」(マシャ・シリンスキー監督)
監督賞   クレベール・メンドンサ・フィリオ(「シークレット・エージェント」)
脚本賞   ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟(「ヤング・マザーズ」)
女優省   ナディア・メリッティ(「ザ・リトル・シスター」)
男優賞  ヴァグネル・モウラ(「ザ・シークレット・エージェント」)
特別賞   ビー・ガン(「レザレクション」)