第33回フランス映画祭 ジョディ・フォスター主演「A Private Life」上映
レベッカ・ズロトヴスキ監督がQ&A

(2026年3月22日18:30)

第33回フランス映画祭 ジョディ・フォスター主演「A Private Life」上映 レベッカ・ズロトヴスキ監督がQ&A
登壇したレベッカ・ズロトヴスキ監督(22日、東京・渋谷区のユーロライブで)

第33回フランス映画祭(3月19日〜3月22日)にて、ジョディ・フォスター主演の「A Private Life」が22日、東京・渋谷区のユーロライブで上映され、上映後にレベッカ・ズロトヴスキ監督が質疑応答を行った。 本作は、ジョディ・フォスター演じる著名な精神科医リリアン・シュタイナーが担当していた患者の一人が亡くなり、その夫や娘から、責任を問われて動揺するなか、患者の死がはらむ謎を解明しようと精神科医が元夫に助けを得ながら奔走する異色のサスペンス。フォスターがフランス語で話し精神科医の心理的な内面の葛藤や、彼女の息子、離婚した夫との人間関係、患者たちとの対応などを繊細に演じて圧倒的な存在感を見せている。
監督のレベッカ・ズロトヴスキは1980年パリ生まれのフランス人映画監督・脚本家。エコール・ノルマル・シュペリウールとフェミスで学び、フランス文学研究者の経歴を持つ。『美しき棘』(10)『グランド・セントラル』(13)『プラネタリウム』(16)『わがままなヴァカンス』(19)などを監督。現在はパリを拠点に活動している。
本作ではオスカー俳優のフォスターを主演に迎え複雑に絡み合う人間関係の機微を軸に、患者の死をめぐる緊迫したサスペンスをまじえて見ごたえのある作品になっている。

上映後に登壇したレベッカ・ズロトヴスキ監督は「こんにちは」と日本語で挨拶してから「私の作品を東京で上映することができてて、とても光栄に思っています」と語った。
司会から、最初からジョディ・フォスターを念頭においていたのかとの質問に、「ジョディ・フォスターのフランス語は完ぺきでした。ジョディ・フォスターと一緒に仕事をするということは私にとっても昔からの念願だったんです。本当に尊敬する俳優です」と明かした。

その後観客から「精神科医が、催眠療法、それも前世療法というものを体験していくというストーリーから、ミステリーに展開していくというのは、なかなか考えられないことだと思ったが、どうやって興味を持ったのか」との質問に「私は全然催眠療法は信じません」と言って笑わせ「でも信じたいんですよね。催眠療法とかトランス状態とか、あるいは精神分析の診察室で起こっていることっていうのは、そこでは抑圧された欲望であるとか、あるいはリビドーとかが浮かび上がってくる場所なので、まさにそういう言語は映画的言語だなというふうに私は思っています」と語った。
自分でも体験したが「私の場合は催眠療法はうまくいかなくて、どっちかというと失敗という感じだったんです。私にとってのセラピストというのはデヴィッド・リンチだったり、あるいはフェデリコ・フェリーニだったりするんです」という。

そして、「この映画には珍しいものが沢山詰まっていますが、まずキャスティングが本当に豪華キャストで素晴らしいと思います」と、「そしてトーキング・ヘッズの音楽を使ったことも素晴らしいと思います」と語った。

第33回フランス映画祭 ジョディ・フォスター主演「A Private Life」上映 レベッカ・ズロトヴスキ監督がQ&A
「A Private Life」について語るレベッカ・ズロトヴスキ監督

キャスティングでは、フォスターの他にも、元夫役でフランスを代表する俳優のダニエル・オートゥイユ、フランスの俳優で監督のマチュー・アマルリックなどフランスの名優がそろっているが、「キャスティングをするときは、整合性というか、一貫したキャスティングを、まるで建築物を作るように構成していくということがとても大事だなと思った。ジョディ・フォスターという大黒柱があるとしたら、しかも知名度としてもちょっとトップクラスですよね。共演者がおじけづかないというのが必要だった」という。
そして「私自身もフランス映画で一番敬愛する俳優たちを揃えることの喜びもありました。これは比喩ですけれども、フランスに来られる外国人のお友達がいたら、パリの一番いいモニュメントを回りたいという気持ちがありますよね。見てくださいジョディ・フォスター、フランス映画界にはこんな素晴らしい俳優がいるんですよということを提示することができたかなと思っています」と胸を張った。

また、フォスターが演じる精神科医が、自身が住むマンションのらせん階段を上るシーンがしばしば登場するのが印象的だが、そのことについて質問があり、「映画監督としてのフェティシズムがあり、これを絶対にやりたいとというのがあるんですが、今回の作品の場合は、特に前世に入っていくときの階段というのが非常に重要だったので、造形的にもかなり作り込みました」という。
また主人公の前世がオーケストラの楽団員だったという設定がユニークだったが、どのように思いついたのかと聞かれ「昔から下手なんですけどチェロを弾いているんです。私の過去や前世にとってはなじみ深いエレメントなんです」と明かした。

映画監督になったことについては「映画に対する情熱ですね。それと映画を作ること以外の他に、私は何もできないなというふうに思ったんです。映画監督っていうのは、撮影現場でいると大して何もしないんですね。他の人たちがみんなやってくれる。 だから映画監督っていうのは結構いい職業なんですよね」という。
そして「女性監督がどんどん増えて、女性監督の作る作品というものが素晴らしいものがとても増えていて、才能ある女性監督が出てきているな、というふうに、私自身も実感しています。そういう女性監督の今のジェネレーションの一部として、一人としてすごく連帯感というのを感じている。どんどん増えてくれるから、私はそれを願っています」と語った。レベッカ・ズロトヴスキ本作と映画造りに渇して大いに語りQ&Aは大盛況のうちに幕を閉じた。

第33回フランス映画祭 ジョディ・フォスター主演「A Private Life」上映 レベッカ・ズロトヴスキ監督がQ&A
「A Private Life」場面写真

【ストーリー】
著名な精神科医リリアン・シュタイナーは、担当していた患者の一人が亡くなったことを知り、深く動揺する。それが殺人だったと確信した彼女は、真相を突き止めるため自ら調査に乗り出す。

【クレジット】
タイトル:A Private Life(英題) 原題:Vie privée
監督:レベッカ・ズロトヴスキ
出演:ジョディ・フォスター、ダニエル・オートゥイユ、マチュー・アマルリック
2025年/フランス/107分/フランス語、英語/カラー/スコープ/5.1ch
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
©LES FILMS VELVET - BUENOS HAIR - FRANCE 3 CINEMA


■第33回フランス映画祭
開催期間:2026年3月19日(木)〜3月22日(日)
場所:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ユーロライブ
国内最⼤級のフランス映画の祭典「フランス映画祭」。33回目を迎える今年は、開催地を横浜から渋谷へ移し、新たな扉を開いた。若者文化とエンターテインメントの中心地である渋谷で、五感で楽しめるフランス映画を通し、多様な文化や新たな価値観・感性に出会う体験を創り出す。最新のフランス映画の上映や、監督・俳優の来日など、多彩なプログラムで、河合優実が公式アンバサダーを務めた。