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ノーベル化学賞吉野彰氏が明かした「研究開発とランナーズハイ」 妻・久美子さんは吉野氏の意外な素顔を公開

(2019年10月10日)

ノーベル化学賞吉野彰氏が明かした「研究開発とランナーズハイ」
記者会見する吉野氏と妻の久美子さん(TBS「ひるおび!」より)

リチウムイオン電池開発で今年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)が発表から一夜明けた10日午後1時から、妻の久美子さん(71)と都内のホテルで記者会見して受賞の喜びなどを語った。その中で吉野氏は「研究開発とマラソンのランナーズハイの共通点」について含蓄のある見解を披露するなど”吉野ワールド“を展開した。

「研究開発の道のりというのはマラソンのレースと非常によく似ている部分があるかと思います」という吉野氏。 「マラソンの場合には42.195キロ先には必ずゴールがあります。それは決まってるもんですから、選手はその目標に向かって、少々苦しくなっても頑張って最後まで走り抜けれるんだと思います」<br> 「苦しいときっていうのは意外と本当に苦しいんですけども、その苦しさをちょっと乗り越えた時にふわっと、ランナーズハイっていうんでしょうかね、さっきまでの苦しさが嘘みたいに楽になる」という。<br> 吉野氏は、高校時代(大阪府立北野高校)に、学校の近くの淀川沿いに往復で13キロ走る恒例の行事があったという。折り返しまではとても苦しかったが、折り返して途中でへばるのではないかと思った瞬間に「ふわっと楽になりました。これがランナーズハイだなと。人生で一回だけ経験しています」。

■「必ずどっかにゴールがありそこには必ず宝物がある」

「苦しいところを乗り越えると楽になれるんだと思うんですね。研究開発も基本的には全く同じです。距離は42.195キロと決まっていないんですけど、必ずどっかにゴールがありますよと、そこには必ず宝物がありますよと。これさえ自信を持てればですね、途中どんな苦しいことがあっても何とか何とか乗り越えることが出来ると思います」<br><br> 「そういう事でマラソンでも研究開発でも、明確なゴールが自分で確信できれば、最初は確かにちょっと苦しい時があるんですけどね。ある時期を乗り越えたら逆に、あ、研究ってこんなに楽しいのかなとか。壁にぶつかって一つ越えた、一歩ゴールに近づいたということになりますんでね。むしろ早く壁が次から次に来てくれた方が、早くゴールにたどり着けるんだなと」と「研究開発とランナーズハイの共通点」について語った。そしてゴールにたどり着いた今は「ノーベル賞ハイ」を迎えているのかもしれない。

■妻の久美子さんが明かした吉野氏の意外な素顔

記者会見に同席した妻の久美子さんは「夢のようです。良かったなあって」と率直に夫のノーベル賞受賞を喜んだ。かなり前からノーベル賞の候補に挙がっていた吉野さんだが「いつ?いつ?今年もダメ、今年もダメ…」と毎年気をもんでいたという。「私、山(登り)やってるんですけども、10月の紅葉のいい時に山に行きたいという気持ちを抑えて(発表を待って待機していた)。やっとそこから解放されて、安心していけますね」と笑顔になった。

また結婚当時、吉野氏がノーベル賞を受賞することを予想していたかと聞かれて「結婚するにあたって、私はサラリーマンの人と結婚するんであって、学者の妻になろうとは思っていなかった」と語り、「こうなるんだったら、もっとちゃんとしっかりとやっておくんだったと何事もと思っています」などというと吉野氏は「私をもっと大事にしておけばよかったなという意味だと思います」とフォローするなど夫婦仲のいいところを見せた。
そして久美子さんが「お疲れさまでしたっていうのはまだ早いかな。健康に十分に気を付けてください」というと、吉野氏は「やるべきことをちゃんとやりました」と答えて満面の笑顔を見せた。<br><br> 久美子さんが吉野氏の意外な一面を明かす場面もあった。
「好き嫌いが結構激しいですよ。体のために緑黄色野菜をとってほしいのに、それをどけていくんですよね。食べないんです。1個食べて『ああ、もう食べたからいい』ってな感じです」というと吉野さんは苦笑。

「タバコに関しても吸っちゃいけない体であるにもかかわらず、隠れてタバコを吸ってる。『タバコを止めたら俺はストレスを抱えてほかの病気になる』と豪語してました。これには吉野氏も「その通りです」と笑っていた。
一方で「要所ではきちっと固めてくる。大事な場面ではガッと言ってくる。だから安心してついていける…てな感じですね」と信頼ぶりを明かした。