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伊藤詩織さん勝訴 英BBC「性的暴行を訴えることがまれな国で#MeToo運動のシンボルになった」

(2019年12月19日)

伊藤詩織さん性的暴行裁判で勝訴 「#Me Too運動のシンボルになった」と英BBC
(伊藤さん勝訴を報じる英BBC・電子版)

ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が元TBSワシントン支局長の山口敬之(53)から性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を請求した民事裁判18日、東京地裁は「合意のないまま性交した」と認定して山口氏に330万円の支払いを命じた。この裁判は海外でも注目されていたが「#MeToo運動のシンボルになった」(英BBC)、「日本の#MeToo運動のシンボルが勝訴」(CNN)と報じるなど、米国から世界に広がる「#MeToo運動」と結び付けて報道じた。

■英BBC「彼女は薬物を投与されたかもしれないと疑っている」

英BBC(電子版)は「シオリ・イトー:日本人ジャーナリスト、レイプ裁判で3万ドルの損害賠償を認められる」とのタイトルで「伊藤さんは性的暴行を訴えることがまれな国で#MeToo運動のシンボルになった」と報じた。
記事では「伊藤さんによると、安倍首相と協力関係にある山口氏は2015年、就業機会の可能性について話すために食事に誘った。彼女は薬物を飲まされたかもしれないと疑っている。意識を取り戻したときに『ホテルの部屋にいて彼が私の上にいた』という」「男性警察官が見ている前で等身大の人形を相手に彼女が主張するレイプを再演するよう強要された」など伊藤さんの主張の詳細を報じた。薬物の使用については山口氏は全面否定している。

さらに「政府の調査によると2017年、レイプの被害を警察に報告したのは被害者の4%に過ぎなかった」と日本ではレイプ被害を訴えるハードルが異常に高いことも報じた。

■米ワシントン・ポスト「日本の古いレイプの法律と性的な不適切行為を訴えようとする女性の前に立ちはだかる保守的で男性優位の制度」

米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、「日本人ジャーナリスト、シオリ・イトーは有名なレイプ裁判で損害賠償を認められた」とのタイトルで「日本の民事裁判の法廷は有力なテレビ局のチーフにレイプされたと主張するジャーナリストに対して約3万ドルの損害賠償を認めた。この裁判は日本の古いレイプの法律と、性的な不適切行為を訴えようとする女性の前に立ちはだかるこの国の保守的で男性優位の制度があることを際立たせた」と報じた。
そして「認められた賠償はシオリ・イトーが求めた金額の約3分の1だったが、判決は日本の女性の権利とこの国で発生しようとしている#MeToo運動にとっての勝利となった」と評価した。

また事件の経緯について「イトーは2015年の夜著名なジャーナリストのノリユキ・ヤマグチから周章句の援助をするといわれて飲食していた時に目が回り意識を失ったという。数時間後に目が覚めてレイプされているの知った。そして彼女は薬物を飲まされたと信じていると主張している」と報じた。また「東京の警察は最初彼女に告訴を思いとどまらせようとした。そして事情聴取するのに女性の警察官を担当させなかった」など警察の対応などについても報じた。
さらに伊藤さんが2017年に実名顔出しで記者会見してレイプ被害を訴えたときに「日本の男性中心で政権寄りのメディアは、彼女の主張を擁護することを嫌がり告発の足りないとみなした。彼女は脅迫やSNSやメール、電話での中傷にさらされた」などと報じるなどかなりの長文の記事で伊藤さんのレイプ裁判について報じた。

■英紙ザ・ガーディアン「レイプ被害を公にしたことでSNSでバッシングに直面したイトーは『勝訴』の紙を掲げた」

英紙「ザ・ガーディアン」(電子版)は、「シオリ・イトー、日本のMeToo運動のシンボルがレイプ裁判で勝訴」とのタイトルで「レイプ被害を公にしたことでSNSでバッシングに直面したイトーは(判決後)法廷の外で『勝訴』の紙を掲げた。『私たちは勝ちました。(山口氏の)反訴は退けられました』と彼女は語った」などと報じた。そして判決の内容や事件の経緯について伊藤さんのコメントを盛り込みながら長文の記事で報じた。

■判決の内容と今後の展開

山口氏から「意思に反して性行為をされた」と主張する伊藤さんと、「合意のもとだった。違法行為は一切していない」とする山口氏が争った事件は、刑事事件では東京地検が不起訴処分にし、検察審査会でも「不起訴相当」になっていたが民事ではどうなるのかが注目されていた。判決では「酩酊状態で意識のない伊藤氏に対し、合意がないまま性行為に及んだ」と認定して、330万円の支払いを命じた。山口氏が伊藤氏の会見や著書で名誉を棄損されたとして1億3000万円の損害賠償を求めた反訴については「公益目的で公表した内容も真実」として請求を棄却した。山口氏は「一方的に伊藤さんのいう事を事実と認定した」「法に触れることは一切していない」などとして控訴する方針で、裁判は東京高裁で第2ラウンドを迎える。