クオモNY州知事がセクハラ疑惑で辞任　被害者の１人が告発し刑事事件に発展か

アンドリュー・クオモNY（ニューヨーク）州知事が１０日（現地時間）、セクハラ疑惑でついに辞任を発表した。そうしたなか被害者の１人がクオモ氏を告発したことで今後刑事事件に発展するのは必至とみられている。

米紙ニューヨーク・ポスト（電子版）によると、8月3日（現地時間）にジェームズNY州司法長官がクオモ氏のセクハラを認定した報告書に記載された疑惑をめぐって少なくとも5つの地方検事が捜査しているという。

ジェームズ氏によると、クオモ氏がセクハラをしたという11人の女性のうちの1人のエグゼクティブアシスタント、ブリタニー・コミッソさん（32）が先週、アルバニー郡保安官事務所にクオモを告発した。

これを受けて、クレイグ・アップル保安官は、クオモ氏がブリタニ―さんの胸を触ったり、尻をつかんだりしたという疑惑について「2、3の」軽犯罪の容疑の可能性があると述べたという。

ジェームス氏は、クオモ氏が自身の回顧録「American Crisis」の制作やプロモーションを州職員に手伝わせ、政府の資源を不正に使用したかどうかについて、現在も捜査中だとも述べたという。

また、FBIとブルックリン連邦検事局は、コロナウイルス危機時の老人ホームへの対応について、クオモ氏らを調査しているという。当時の知事の側近だったメリッサ・デローサ氏が民主党議員に対し、新型コロナウイルスによる老人ホームの総死亡者数をNY州当局が隠蔽していたことを認めたという。

クオモ氏の辞任発表は、カール・ヒースティ下院議長（民主党）が、3月に開始した弾劾調査を「大急ぎで終了させる」と述べた翌日のことだったという。また、議会司法委員会のチャールズ・ラヴィーン委員長（民主党・ロングアイランド）は、クオモ氏に対する弾劾条項は「完璧なものになる」と宣言した。もし州議会上院での弾劾裁判で有罪となった場合、再び公職に就くことを禁じる判決が下される可能性があるという。一方で「知事でなくなった者を弾劾する必要があるのかという問題がある。実質的な措置としては、今後の公職追放が考えられる」（関係者）ともいわれている。