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ハリウッド特急便
アレック・ボールドウィン、「ラスト」誤射死傷事件でスタッフ4人を提訴 撮影現場の安全確保を怠った
(2022年11月14日10;15)
アレック・ボールドウィン(61)が、映画「ラスト」の撮影中に誤射で撮影監督のハリナ・ハッチンズさん(当時42)が死亡し、ジョエル・ソウザ監督(48)が負傷した事件で撮影スタッフを提訴した。米メディアが報じた。
米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ボールドウィンは、セットで実弾が装填された銃を渡したために、映画の撮影監督ハリナ・ハッチンズさんが死亡したとして、過失で「ラスト」の兵器係と複数のスタッフを11日(現地時間)、撮影現場の安全確保を怠ったとして提訴した。訴えた相手は小道具の武器担当ハンナ・グティエレス=リードさんのほかデイブ・ホールズさん、サラ・ザクリーさん、セス・ケニーさんの4人のクルー。
ボールドウィンの弁護士ルーク・ニカス氏は「この悲劇は、実弾がセットに届けられ、銃に装填されたために起こった」と主張している。
ニカス弁護士は「グティエレス=リードは弾丸や銃を慎重にチェックしなかった。ホールズは銃を慎重にチェックせずボールドウィンに渡す前に銃は安全だと語った。ザックリーはグティエレス=リードがセットの外で無謀な行動をとりるなど周囲の人々にとってリスクになっていることを明らかにしなかった」と主張している。
そして、ボールドウィンは「自分の汚名を晴らし」、4人の被告が「不正行為に対する責任を取る」ことを求めると付け加えた。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ボールドウィンの訴えは、映画で使うすべての小道具の銃を供給したケニーが弾薬を「無造作に」保管していたと非難している。また、小道具の専門家であるザックリーと武器係のグティエレス=リードさんが、撮影現場で実弾が混じっていたことを確認していなかったとするFBIの報告書も引用している。
事故は、ボールドウィンが銃をホルダーから抜いて撃つ練習をしていた時、空砲が装填されていたと思っていた銃に実弾が入っていて暴発した時に起こった。弾丸はハッチンズさんの胸を貫通した後、監督のジョエル・ソウザの鎖骨に当たった。ハッチンズさんは死亡しソウザ監督は負傷した。
ハッチンズさんの夫は2月にボールドウィンを提訴した。ボールドウィンはハッチンズさんの死について一切の責任を否定しているが、夫のマシュー・ハッチンズさんら遺族と非公開の和解に達し、マシューさんは今後、映画のエグゼクティブプロデューサーとして、利益の一部を受け取ることになった。
マシューさんは「私は(プロデューサーやボールドウィンへの)逆恨みや責任の所在に関与することに興味はありません。私たち全員がハリナの死は恐ろしい事故だと信じています」と声明を発表している。ボールドウィンは遺族と和解したものの、他にも訴訟を起こされて裁判中だという。一方でニューメキシコ州の検察当局がボールドウィンらを訴追することを視野に捜査を進めているといわれ、刑事事件の捜査の成り行きも注目されている。ボールドウィンやほかの関係者がどのような罪に問われるかは不明だが、地方検事は地元メディアに、銃刀法違反だけでなく殺人罪を検討していると語ったと報じられた。
■映画「ラスト」の誤射事件
事件は2021年10月21日(現地時間)、米ニューメキシコ州のロケ地で西部劇「ラスト」のリハーサル中に起きた。教会のセットでボールドウィンが小道具の銃を発砲し、撮影監督のハリナ・ハッチンズさん(当時42)の胸に当たり死亡、彼女を貫通した銃弾が近くに居たジョエル・ソウザ監督(48)の当たり負傷した。
昨年12月、ボールドウィンは米ABCニュースのインタビューで「引き金は引いていない」「銃に実弾が入っていたとは知らなかった」などと語った。ハッチンズさんの死は事故であり、自分に責任はないと主張。スタッフは銃に実弾が入っておらず、適切に空砲が装填されていることを確認するべきだったとしている。また、引き金は引いてなく、拳銃の撃鉄を戻した後、銃が勝手に暴発したなどと主張しているという。