「きみの鳥はうたえる」柄本佑ら個性派俳優が函館を舞台に熱演

(2018年9月3日)

  • きみの鳥はうたえる
  • 「きみの鳥はうたえる」
    (新宿武蔵野館)
  • 芥川賞候補になった佐藤泰志の小説を三宅唱の脚本・監督で映画化した意欲作。柄本佑、石橋静河、染谷将太の個性派3人が函館の街を舞台に3人の夏のひと時を演じている。 タイトルは劇中に登場するビートルズの「And Your Bird Can Sing」を直訳したものだという。

    冷凍倉庫のアルバイトで知り合った僕(柄本)と静雄(染谷)は共同生活を始める。静雄はレコードを持っていたがすべてがビートルズのもので、ビートルズの「And Your Bird Can Sing」を歌って聞かせた。その後僕は函館の郊外にある書店で働き始めるが、そこで一緒に働いていた佐和子(石橋)と付き合うようになり、静雄と僕の生活の中に佐和子も入り込んで3人で朝まで飲み明かしたり、楽しい生活が続くがやがて、佐和子が書店の店長と不倫関係があったことがわかったり、静雄と佐和子が親密になったりして3人の仲に波紋が広がるというストーリー。

    仕事に遅刻したり、本の万引き犯を追っかけようとせず同僚を怒らせたり、佐和子との最初のデートをすっぽかしたり、惰性で生きているようなつかみどころのない若者を柄本が、ニートな若者を染谷がそれぞれ個性的に演じている。また「映画 夜空はいつも最高密度の青色だ」でキネマ旬報ベスト・テン新人女優賞などを受賞した石橋も存在感を見せている。個性派3人の競演が最後までこの映画に緊張感を与え、最後まで引き付けられた。 (9月1日公開)

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