「泣き虫しょったんの奇跡」 将棋の世界の人間ドラマ

(2018年9月10日)

  • クリス・プラット
  • 「泣き虫しょったんの奇跡」
    (ユーロスペース)

プロの棋士になる夢に破れたが周囲に支援もありプロ棋士に再チャレンジして見事プロになった瀬川昌司5段の同盟自伝を松田龍平、野田洋次郎、染谷将太、永山絢斗、國村隼、松たか子らの豪華キャストで豊田利晃監督が映画化した。

小学生のころから将棋に熱中して隣家の同級生鈴木悠野(野田)と腕を磨きあい、プロの棋士を目指して奨励会に入るが、26歳までに4段に上がれず、規定によりプロの道を閉ざされてしまい会社員になる。そうしたなか、アマチュアの強豪棋士・藤田守(小林薫)や新聞記者の新條耕一(三浦誠己)らの支援でプロに編入する道を探す。奨励会で26歳までに4段になること以外プロになることは認められていなかったが、ついには将棋界を動かし奇跡を実現する。

実話だけにりアリティがある。豊田監督自身奨励会に在籍していたことから、将棋を指すシーンのりアリティにこだわったという。羽生善治竜王も「それぞれの対局シーンがとても迫力があり臨場感がありました。(中略)そして何よりも瀬川さんの起こした奇跡が実感できました」とコメントを寄せている。

キャスト人も豪華だ。松田を中心に野田、染谷、永山、松、小林らに加えて母親役の美保純、個性的な棋士役で新井浩文、早乙女太一、妻夫木聡らが出演。またイッセー尾形、石橋静河、そして通りすがりのファン役で藤原竜也がワンシーンだけ登場するなど贅沢なキャスト人がドラマを盛り上げている。将棋の世界を超えた見ごたえのある人間ドラマだ。 (9月7日公開)