「軍中楽園」新兵と娼婦の甘く切ないラブストーリー

(2018年9月10日)

  • クリス・プラット
  • 「軍中楽園」(東京・渋谷区のユーロスペース)

「モンガに散る」のニウ・チェンザー監督が監督・脚本・エグゼクティブ・プロデユーサーを務めた台湾映画。戦後の台湾で40年間公然の秘密とされた軍のための娼館を舞台に、娼婦と兵士たちのドラマを叙情的に描いている。

1969年、中国と台湾が激しく対立していた時代に、砲弾が飛び交う最前線の金門島に配属された新兵のルオ・パルタイ(イーサン・ルアン)は、精鋭部隊に選抜されるが特訓中に泳げないことが発覚して「軍中楽園」と呼ばれる売春宿を管理する831部隊に配属され、娼婦たちの世話に明け暮れる。陰があるが凛として透明感を漂わせる娼婦ニーニー(レジーナ・ワン)と仲良くなるパルタイは、ある日恋人から別れを告げる手紙が届き悲しみに打ちひしがれるなか、ニーニーがその悲しみを受け止め、2人は惹かれあうようになる。だがニーニーは深くて暗い過去の秘密を背負っていた。時代にほんろうされた2人のドラマがリアルに叙情的に描かれている。

また、娼婦たちの人間模様や、小悪魔的な娼婦に入れあげて結婚を夢見るパルタイの元上司で大陸出身のベテラン兵ラオジャン(チェン・ジェンビン)の生き様など”軍中楽園“のドラマはあくまでリアルでエモーショナルで感情移入させられる。
(ユーロスペースなどで5月26日公開)